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単元 (2) コミュニケーションと情報デザイン | 単元設計
逆算で設計する(高次の資質・能力 → 単元の目標・評価規準 → 評価課題 → 学習過程 → 形成的評価)。根拠: 学習指導要領解説 情報編 (2)、新編情報Ⅰ 評価規準例(第2章 11〜20節)、設計指針第2版(カテゴリ B・G を中心に、A・D・H・J)、情報・技術WG の要点。本文の [解説][規準例][指針][WG] は、下の出典の該当箇所を指す。
本質的な問い
同じことを伝えるのに、なぜ伝わる形と伝わらない形があるのか。デジタルは、何を切り捨てて何を運んでいるのか。
単元の目標(3観点)
| 観点 | 単元の目標 |
|---|---|
| 知識・技能 | メディアとコミュニケーション手段の特徴(同期/非同期、1対1/1対多、匿名性・記録性)、デジタル化の手順(標本化・量子化・符号化)と2進法、データ量と圧縮、情報デザインの3要素(抽象化・可視化・構造化)とユニバーサルデザインを、自分で操作した結果と結びつけて説明できる |
| 思考・判断・表現 | 目的と受け手に応じてメディアと表現を選び、精度とデータ量のトレードオフを判断し、デザイン思考の流れで受け手に伝わるコンテンツを設計・改善できる |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 受け手の立場でコンテンツを見直し、相互評価を受けて改善しようとしている |
指導要領の対応: [解説 (2)]ア(ア)(イ)(ウ)、イ(ア)(イ)(ウ)。[解説 内容の取扱い (3)]: 「(2) のアの(イ)については、身近で具体的な情報デザインの例を基に、コンピュータなどを簡単に操作できるようにする工夫、年齢や障害の有無、言語などに関係なく全ての人にとって利用しやすくする工夫などを取り上げる」。この「全ての人」が第9回で、「身近で具体的な例」が第9回の「身近な UI を直す」と第10・11回の評価課題になる。
評価課題(単元末のパフォーマンス課題)
「学校の誰か(新入生・保護者・地域の高齢者のどれか)に、学校のことを 1 枚で伝える」(第10回・第11回)
- ペルソナを 1 人決め(共感)、その人が困っていることを定義し、伝える情報を絞る(抽象化)、並べ方を決め(構造化)、図や表にする(可視化)
- 試作を教室ページに提出し、相互評価(「受け手が明確」「伝える情報が絞れている」「誰でも読める工夫がある」)を受けて直す
- 作る媒体は紙のポスターでもスライド 1 枚でもよい。提出は写真か文章で
| 観点 | B(おおむね満足) | A(十分満足) | C の生徒への手立て |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 抽象化・可視化・構造化のどれを使ったかを示している | 3 つを使い分け、ユニバーサルデザインの工夫を 1 つ以上入れている | 第8回の LATCH の 5 つから 1 つだけ選ばせ、「その順に並べる」だけをやらせる |
| 思考・判断・表現 | ペルソナの困りごとから伝える情報を絞っている | 別の受け手ならどう変えるかまで言える | 「その人が最初に知りたいことは何か」を 1 つだけ口で言わせ、それを 1 枚のいちばん上に置かせる |
| 態度 | 相互評価を受けて直している | 直した点と理由を書き、次の制作に生かすことを挙げている | 受けた評価のうち 1 つだけ選ばせ、「どこを直すか」を 1 行で決めさせる |
各回と評価(形成的評価の場面)
| 回 | 題 | 教科書 | 指導要領 | 評価の重点 | 主な体験(手を動かす) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | コミュニケーション手段の変化 | 11 | ア(ア) イ(ア) | 知 | スマホがなかった頃/同期・非同期×1対1・1対多の分類/場面別にメディアを選ぶ |
| 2 | ネットコミュニケーションの特徴 | 12 | ア(ア) イ(ア) | 思 | 匿名で書くと何が変わる(記録は残る)/実名と匿名の得失/忘れられる権利のジレンマ |
| 3 | デジタルの世界へ | 13 | ア(ア) | 知 | アナログとデジタルの分類/電球5個で何通り/利点と欠点は表裏 |
| 4 | 数値と文字のデジタル表現 | 14 | ア(ア) | 知・技 | 8ビットのスイッチで数と文字/都道府県は何ビット/文字コードとバイト数 |
| 5 | 音と画像のデジタル表現 | 15 | ア(ア) イ(ア) | 知・思 | 波を標本化・量子化する計器/画素を塗ってビット列にする/データ量の計算 |
| 6 | 色と動画のデジタル表現 | 16 | ア(ア) | 知 | 赤・緑・青のつまみで色を作る/光と色の三原色/フレームレートとデータ量 |
| 7 | 目的に応じたデジタル化 | 17 | ア(ア) イ(ア) | 思 | ランレングス圧縮を自分で/可逆・非可逆の使い分け/ラスタとベクタの拡大 |
| 8 | 情報デザイン | 18 | ア(イ) イ(イ) | 知・思 | LATCH で分ける/文字なしで伝える/バラバラの情報を構造化 |
| 9 | ユニバーサルデザイン | 19 | ア(イ) イ(イ) | 思 | 4 つの言葉を例で分ける/色だけで伝わるか(色覚の模擬)/身近な UI を直す |
| 10 | 情報デザインの流れ | 20 | ア(ウ) イ(ウ) | 思 | ペルソナを作る/困りごとから課題へ/伝える情報を絞る |
| 11 | 情報デザインの評価と改善 | 単元末 | イ(ウ) | 思・態 | 試作を提出/相互評価/改訂版 |
設計指針(第2版)との対応
指針の表記は「カテゴリ・項目・水準」。たとえば B5L3 は、カテゴリ B の項目 5「情報デザインに配慮した内容」の水準 3。末尾の (高必) は高校の必履修科目で扱う水準、(中情) は中学校の情報の内容で扱う水準を指す。
- B. 情報の創造とデザイン: 指針は高校で「B5L3、B6L2は、情報科の必履修科目の中で、情報デザインのさまざまな側面として具体的なデザイン実践を交えて学ばせる」とする。B5L3「情報を表現する際の抽象化/視覚化/構造化の重要性、ユーザの視点やユーザエクスペリエンス(UX)について知っている」(高必) は第8回の 3 要素、B6L2「デザイン思考のプロセス(観察/共感/定義/着想/試作/テスト)を知っていて、それに基づき構造を持つコンテンツを作れる」(高必) は第10・11回の評価課題がその場面。B6L1「アクセシビリティ/ユーザビリティ/ユニバーサルデザインなどデザインと社会の関係が分かる」(中情) は中学校の水準なので、第9回では前提として確かめてから「身近な UI を直す」へ進む。B5L4・B6L3 は (高選) なので扱わない
- G. コミュニケーションとメディアおよび協調作業: G1L3「メディア/情報デザイン等のコミュニケーションの要因とそれらがもたらす影響を理解している」(高必) を、指針は「情報科の必履修科目において扱う事が適している」とする。第1・2回のメディアの分類と、第8回の情報デザインがこれに当たる。G2L3「メディアの特性により自分からと他人からで見え方が異なることを理解している」(中情) は第2回の匿名・実名で前提として確かめる。G3L3「共同作業の目的や進め方を集団の前でプレゼンテーションできる」(高必) と G4L3「相手の発言内容が自分の望みと違う時にも相手の立場を理解できる」(高般) は第11回の相互評価。教室全体の投稿が集まる部品は、集団の文脈をそのまま体験させる仕掛け
- A. 情報およびコンピュータの原理: A1L3「デジタル/アナログ、二進表現など、情報の多様な表現方法やその特性を理解している」(中情) は中学校の水準なので、第3・4回は「中学校で聞いた」を前提に確かめてから進む。高校の水準は A2L2「プログラムでデジタル情報を扱うことの意味、圧縮/伸長や分散化/重複化などの意味が分かる」(高必) で、第5〜7回の標本化・量子化・圧縮がこれに当たる。指針は「A2L2…は座学だけでは定着しにくいので、実習を取り入れる」とするので、計器・画素・ランレングス圧縮を自分の手で操作する
- D. データとその扱い: D1L2「テキスト/画像/音の表現、ファイルやデータベースの基本的な概念が分かる」(中情) が第4〜6回の前提。データ量の計算はここから (4) のデータの単元へつなぐ
- H. 情報社会/メディアと倫理/法/制度: H3L3「ジレンマや社会における問題を認識した上で自分の考えを決められる」(中情) を、第2回の「忘れられる権利」で高校の題材に載せ替えて扱う。H4L2「デジタル足跡」(小情) は記録性の話で前提として触れる
- J. システムとその設計: J2L2「システムのインタフェースを評価する基準や手法について理解している」(高必) を、指針は「情報デザインやデザイン思考(B5、B6)の内容とともに学ぶのが自然」とする。第9回の「身近な UI を直す」と、第11回の相互評価の観点(受け手が明確/絞れている/誰でも読める)がその場面
第1単元とのつながり
第1単元の情報の特性(残存性・複製性)が第2回の記録性、第4回の個人情報が第2回の匿名性につながる。第1単元末の提案を「伝わる形にする」のが本単元の評価課題。
生徒の探究とのつながり
この単元で身に付ける「受け手を一人決めて、伝える情報を絞る」「抽象化・可視化・構造化で並べる」「精度とデータ量を目的で決める」は、そのまま総合的な探究の時間や課題研究の道具になる。授業の側からは、次でつなぐ。
- 探究の成果は必ず誰かに届ける。第10・11回の流れ(ペルソナ → 困りごと → 絞る → 並べる → 図にする → 相互評価で直す)は、探究の発表資料・ポスター・レポートを作るときにそのまま使う
- 第1・2回の同期/非同期・1対1/1対多は、探究でインタビューを頼む、アンケートを配る、発表するなど、相手に届ける手段を選ぶときの軸になる
- 第5〜7回のデータ量と精度のトレードオフは、探究で写真・音・動画を記録として残すときの、解像度・形式・圧縮の決め方に使う
- 第9回のユニバーサルデザインは、探究の成果を「読めない人・使えない人がいないか」で見直す観点になる
- 各回の復習の最後は必ず「探究へ」で、その回の考え方を自分の探究のどこで使うかをメモする。メモは端末の中の 探究ノート に集まる。サーバには送らない
他校でそのまま使える形にする
学校固有の呼び名や、校内で使っている道具の名前は書かない。教室コードで集まる部品は、どの学校でもこのページだけで動く。作る媒体(紙・スライド)は学校のもので、提出は写真か文章で受ける。
出典
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編
- 文部科学省。解説 情報編(PDF)、高等学校学習指導要領の告示・解説の一覧
- 該当箇所: 第2章 第1節 情報Ⅰ 「2 内容とその取扱い」の (2) コミュニケーションと情報デザイン(ア(ア)(イ)(ウ)、イ(ア)(イ)(ウ))と、「3 内容の取扱い」の (3)
教科書の評価規準例(指導用資料)
- 東京書籍『新編情報Ⅰ』(教科書番号 情Ⅰ 002-901)の指導用資料「評価規準例」。教科書の紹介ページ
- 第2章 第11〜20節(コミュニケーション手段の変化/ネットコミュニケーションの特徴/デジタルの世界へ/数値と文字のデジタル表現/音と画像のデジタル表現/色と動画のデジタル表現/目的に応じたデジタル化/情報デザイン/ユニバーサルデザイン/情報デザインの流れ)。各節に 知・思・態 の評価規準、評価方法、B・A・C↑ が示されている
- 指導用資料は採用校に配布されるもので、本文はこのページに転記しない。上の表の節番号と水準の使い方だけを示した
情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)
- 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 報告、令和8年(2026年)5月12日。報告本文(PDF)、情報処理学会の紹介ページ
- 使った箇所: 「(2) カテゴリ」の一覧(A〜K、X)、各カテゴリの項目と水準の表(A・B・D・G・H・J)、「学校段階ごとの扱い」の高等学校の記述
中央教育審議会 教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ
- 文部科学省。会議のページ(議事録・配付資料)、第11回 配付資料(2026年6月25日)
- 第1回(2025年9月25日)から第11回までの資料を読んでまとめた要点を使った。審議中のため、方向として参照し、この単元は現行の学習指導要領(平成30年告示)のもとで実施できる形で書いてある