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情報Ⅰ (1) 情報社会の問題解決 | 第3回

情報モラルと法

投稿ひとつが、マナーの話か、ルールの話か、法律の話か。実際の事件で線を引く

50分
教師用メモ

準備 教室コードは前回と別のものにする。上のバーに入れて「教師」を押す。

時間配分 前回まとめ・目標 4分 / 節1 事件で線を引く 15分 / 節2 自由の範囲 15分 / 節3 消えない 10分 / まとめ・ふりかえり 6分

教科書: 新編情報Ⅰ 04 情報モラル(p.14)。事件は実際に報道されたものを、人名・店名を伏せて使う。

この回の評価(指導要領 (1) ア(イ) イ(イ)。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 マナー・ルール・法律の3層と、2つの事件が罪になる理由(威力業務妨害、名誉毀損・侮辱、肖像権・プライバシー権)を説明している
  • 思考・判断・表現 自由の範囲の境目を、他者の人権と自分の責任から説明している(体験02の一組)。法律が追いつかない例を挙げられる
  • 態度 投稿の前に見直す、を自分の行動として書いている(ふりかえり)

ふりかえりの枚の自己評価(できた/だいたい/まだ)の分布を見て、「まだ」が多い目標を次回冒頭で拾い直す。

前回のまとめ

問題は理想と現実のギャップ | 頑張るで埋めず、課題に分ける

発見→定義→計画→実行→振り返り

情報技術は問題解決の道具。集める・分析する・実行する・共有する、のどこでも使える。ただし、使い方を間違えると、自分と他人を傷つける道具にもなる

今日は、その線引きの話

教師用メモ

前回の 5 ステップを 1 人に言わせる。ワークシートを開いて確認してもよい(各自の端末に残っている)。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
投稿の問題を、マナー・ルール・法律の 3 つに分けて言える
02
SNS での自由の範囲を、他人の権利と自分の責任から説明できる
03
ネットの情報が消えないことが、自分の将来にどう関わるかを言える

※ SNS(エスエヌエス)= 文章や写真を投稿して、たくさんの人とやり取りする仕組み。見知らぬ人にも届く

01 | 15分
事件で線を引く

実際の投稿を 3 つに分ける

02 | 15分
自由の範囲

どこまで自由で、どこからダメか

03 | 10分
消えない

特定までの時間を当てる

SECTION 01

事件で線を引く

「悪ふざけ」で済むのか、店が潰れるのか

スマホで撮った写真を投稿しようとしている高校生と、その画面を心配そうに見る友人
体験 01

この投稿は、どれ

ケース 1 | 洗浄機に入った写真
飲食店のアルバイト学生が、店の食器洗浄機に自分が入っている写真を撮って SNS に投稿した。ふざけた写真として仲間に見せるつもりだった。投稿は拡散し、店には苦情の電話が殺到した。店は営業停止になり、のちに閉店した。
この投稿の問題は、どのレベル? 1 つ選ぶ
みんなの判断
教師用メモ

進め方(5分) 読んで 1 分で選ばせる。棒が出そろったら「法律の問題」を選んだ人に「何罪?」と聞く。答えられなくてよい。

答え 法律の問題。店の営業を妨げた「威力業務妨害」にあたりうる。加えて、店に対する損害賠償(民事)。雇い主側も責任を問われることがある。

「問題なし」が数人いてもよい。そのまま次のケースへ。

体験 01

この投稿は、どれ

ケース 2 | 電車で撮って「キモい」
大学生が、電車で向かいに座っていた見知らぬ男性をこっそり撮影し、「キモいのいた」と写真つきで投稿した。批判のコメントが集まって炎上し、逆に大学生の実名と顔写真が探し出されて公開された。大学から無期停学の処分を受けた。
この投稿の問題は、どのレベル? 1 つ選ぶ
みんなの判断
教師用メモ

答え 法律の問題。撮られた側の「肖像権」(勝手に撮影・公開されない権利)と「プライバシー権」の侵害。「キモい」と公開したことは「名誉毀損」「侮辱」にあたりうる。

拾いたい発言 「投稿した側も特定された」。次の節 3 の伏線。「見知らぬ人だから」「冗談だから」は理由にならない、を確認する。

まとめ 01

マナー、ルール、法律 | 3 つの層

マナー
他人に迷惑をかけない、不快にさせない。日常のモラルとネットは同じ。匿名でも無責任な発言や誹謗中傷はしない
ルール
マナーだけで解決できない問題に、決まりを作る。家庭のフィルタリング、学校や店の決まり
法律
特に重要なルールは、強制力を持った法律になる。不正アクセス禁止法、個人情報保護法、特定商取引法、青少年インターネット環境整備法

※ 2 つの事件が罪になった理由: 威力業務妨害、名誉毀損・侮辱、肖像権とプライバシー権の侵害。法律は社会の変化に追いつかないことがあり、「法律にないからよい」とはならない

教師用メモ

目標 01。法律名は 4 つを読み上げる程度でよい。「法律が追いついていない例」を 1 つ聞くと盛り上がる(生成 AI、ドローン、電動キックボード)。

SECTION 02

自由の範囲

何を言ってもよい。では、どこまで

スマホを持って迷っている高校生と、その向こうに見えない相手の影
体験 02

ここまでは自由、ここからはダメ

憲法は思想・言論の自由を保障している。SNS で「これは自由でいい」と「これはもうダメ」の境目を、自分の言葉で一組書く。人や店の名前は書かず、「友達」「近くの店」のように役割で書く

自由でいい | ここまでは
ここからダメ | 超えたら

全員の境目が右に並ぶ。「ダメ」側に共通するものを探す

みんなの境目 | 自由でいい → ここからダメ
教師用メモ

進め方(8分) 一人で 3 分。集まったら「ダメ」側を読み上げ、共通点を聞く。「他人が出てくる」「本当かどうか分からない」「特定できる」が出れば十分。

想定回答 意見を言う/人を名指しで攻撃する ・ 感想を書く/嘘を書く ・ 自分の写真/他人の写真 ・ 匿名で批評/匿名で脅す。

拾いたい発言 「自分のことなら自由、他人が絡むとダメ」。次の枚の「他者の人権」につながる。

言語活動

自由は、どこで止まる

境目に共通していたものを、言葉にする。それぞれをタップすると答えが開く。開く前に、隣と 1 つずつ言ってみる

01他人が出てきたらダメ、が多かった
他者の人権を侵害しない 意見を持つのも発信するのも自由。ただし相手の肖像権・プライバシー・名誉を傷つけた時点で、自由の外に出る
02「本当かどうか」が境目になった
責任の範囲を超えない 書いたことの結果は自分が引き受ける。拡散も「自分の考えの表明」と受け取られる。元の投稿者でなくても責任は生まれる
03鍵アカなら大丈夫、と思った
ネットに秘密の場所はない 友達のみ公開でも、スクリーンショットで外に出る。短時間で消える投稿も同じ。前回の「残存性」「複製性」そのもの
04どんどんエスカレートした
一線は一度に越えない 少しずつ危険レベルが上がる。「前も大丈夫だった」が、越えてはいけない一線を見えなくする
教師用メモ

ペアで 1 分。投影で 1 つずつ開く。03 は前回の情報の特性と結びつける。目標 02 はここで達成。

SECTION 03

消えない

炎上から特定まで、何時間かかるか

面接の場で、面接官が机の上のタブレットを見ており、就活生が緊張している
体験 03

特定まで、何時間

ケース 2 の大学生は、投稿から実名・顔写真・大学名が探し出されるまで、どのくらいかかったと思う?

1 つ選ぶ
みんなの予想
教師用メモ

答え 数時間以内。過去の投稿、友達のアカウント、写り込んだ制服や背景から、複数人が手分けして特定する。「1 週間」を選んだ人が多いほど、次の枚が効く。

「特定された後どうなった?」を聞いてから次へ。

まとめ 03

デジタルタトゥー | 消したつもりでも、残る

ネットに残り続ける削除しても、コピーとスクリーンショットが残る。時間がたってから炎上することもある
進学・就職に影響する企業は面接者の SNS を探し、過去の投稿を見ることがある。内容によっては不採用になりうる
拡散にも責任がある自分が元の投稿者でなくても、拡散した相手に影響が出れば過失になる

投稿する前に、数年後の自分と、関係する人がそれを見たときどう思うか、を一度考える。良かれと思っても、他人の情報は「公開」しない

教師用メモ

目標 03。脅すだけで終わらせない。「だから投稿するな」ではなく「投稿する前に一度見直す」が今日の結論。次回(個人情報)で、特定される仕組みそのものを扱う。

道具で探す

法では止められないものを、一つ見つける

道具の場面をためし、「法では止められないが、してはいけない」ものを 1 つ見つけて出す

情報モラル場面ごとに、法とモラルのどちらの問題かを判断する
  1. 「この枚で開く」を押す
  2. 場面を 3 つ以上ためす
  3. 「法では止められないもの」を 1 つ見つける
この授業のページの中で開く。終わったら「閉じてこの枚に戻る」で戻る
見つけたものを、一文で
みんなの見つけたもの
教師用メモ

進め方 見つけた人から出す。全員に同じ答えを求めない。出てきたものを 2〜3 個読み上げ、共通点を言葉にする。

5分。「違法ではないが、してはいけない」の例に時間を使う。

道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の判断で答える

01
マナー・ルール・法律 2 つの事件はどちらも法律の問題だった。威力業務妨害、名誉毀損・侮辱、肖像権・プライバシー権
02
自由の範囲 意見は自由。他者の人権を侵害した時点で外に出る。責任の範囲を超えない。ネットに秘密の場所はない
03
消えない 特定は数時間。削除しても残り、進学・就職に関わる。投稿の前に、数年後の自分の目で見直す
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01投稿の問題を、マナー・ルール・法律の 3 つに分けて言える
02SNS での自由の範囲を、他人の権利と自分の責任から説明できる
03ネットの情報が消えないことが、自分の将来にどう関わるかを言える
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す(分布は 24 時間残る。スクリーンショットで控える)。

ふりかえり

今日いちばん「気をつけよう」と思ったこと

一文でよい。今日の 3 つの体験のどれかに触れて書く

みんなのふりかえり
教師用メモ

3 分。いくつか読み上げて終わる。回答は 24 時間で消える。