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情報Ⅰ (1) 情報社会の問題解決 | 第8回

よりよい情報社会へ

影を小さくし、誰もが使えるようにし、偏りを見抜く。この 3 つはどれも自分の判断が要る

50分
教師用メモ

準備 教室コードは前回と別のものにする。「教師」を押す。

時間配分 前回まとめ・目標 4分 / 節1 影への対応 12分 / 節2 誰もが使える 12分 / 節3 偏らない 16分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 6分

教科書: 新編情報Ⅰ 10 よりよい情報社会へ(p.26)。節3 の「偏り」は指導要領 (1) の「科学的な根拠をもって判断する力」と、(2) メディアの特性の橋渡し。

この回の評価(指導要領 (1) ア(ウ) イ(ウ)。サイバー犯罪・情報格差への対応、望ましい情報社会の構築。設計指針のカテゴリ H「ジレンマや社会的問題」を体験04で扱う。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 サイバー犯罪の種類、デジタルデバイド、ユニバーサルデザインの考え方を説明している(まとめ01・02)
  • 思考・判断・表現 サイバー犯罪の対策を、原因と結びつけて考えている(体験01)。同じ数値のグラフが違って見える理由を言い、便利さと監視のジレンマに根拠をつけて立場を述べている(体験03・04)
  • 態度 よりよい情報社会のために自分が気をつけること・することを、ふりかえりに書いている

ふりかえりの枚の自己評価(できた/だいたい/まだ)の分布を見て、「まだ」が多い目標を次回冒頭で拾い直す。次回から単元末の課題(第9・10回)。

前回のまとめ

光と影は表裏 | 影を小さくするのは問題解決

時間と空間の節約→人にしかできないことが広がる/漏れる・使えない人がいる・体に響く

電子マネーの「困るところ」に、情報が漏れる、使えない人がいる、が出た。今日はその 2 つに正面から向き合い、最後に「情報を受け取る側」の力を確かめる

よりよい情報社会のために、自分は何を判断するのか

教師用メモ

前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
サイバー犯罪の種類と対策を、原因と結びつけて言える
02
デジタルデバイドとユニバーサルデザインを、身近な人の例で説明できる
03
同じ数値でも見せ方で印象が変わることを見抜き、根拠をもって立場を述べられる
01 | 12分
影への対応

犯罪を分類し、対策を出し合う

02 | 12分
誰もが使える

使えない人の困りごとを集める

03 | 16分
偏らない

2 つのグラフと、1 つのジレンマ

SECTION 01

影への対応

専門家に任せる部分と、自分がやる部分

明るい街の通りの一角に、影の中でパソコンに向かう人物のシルエットがあり、手前の高校生が振り返って気づいている
体験 01

サイバー犯罪を分ける

実際に起きている犯罪を 3 つに分ける。まず上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す。全部に印を付けたら「答え合わせ」

不正アクセス = 権利のない者が入る詐欺 = だまして金や情報を取るそのほか = ネットを使ったほかの犯罪

※ ID(アイディー)= 自分を表す名前や番号。SNS(エスエヌエス)= 文章や写真を投稿して、たくさんの人とやり取りする仕組み

教師用メモ

進め方(4分) 3 分で答え合わせ。教科書の分類(不正アクセス禁止法違反/コンピュータ・電磁的記録対象犯罪/その他のサイバー犯罪)を簡略化してある。「その他」が最も多いのが実態。

体験 02

対策を出し合う | 誰が、何を

「誰が・何をする」の形で送る。個人ができること、学校や会社がすること、国や専門家がすること、どれでもよい。人のアイデアの「便乗」を押すと、その続きとして書ける

0
全員の対策
0
自分の対策
0
便乗して生まれた
出てきた対策
教師用メモ

進め方(6分) 2 分でブレスト。投影を「個人」「組織」「国・専門家」に口頭で分ける。個人の対策が前回までの内容(パスワード・更新・リンクを開かない)で言えていれば目標 01。

拾いたい発言 「サポートが終わったソフトを使い続けるのは危険」「生体認証」「二段階認証」。組織: 情報セキュリティポリシー。国: 法律・警察のサイバー部門。

まとめ 01

専門家の対策と、個人の判断の両方が要る

サイバー犯罪不正アクセス、システムへの侵入と書き換え、ネット上の詐欺、誹謗中傷など。新しい技術が出るたびに新しい手口が生まれる
専門家・組織技術的な対策、情報セキュリティポリシー、法律の整備。ただし技術的対策だけでは対応できない
個人基礎的な知識と技術を身につけ、適切に判断し行動する。推測されにくいパスワード、更新プログラム、サポート終了のソフトを使わない、リンクを開く前に止まる

情報化が進むと常に新しい問題が生まれる。だから、覚えた対策より問題解決の考え方(発見 → 定義 → 計画 → 実行 → 振り返り)が効く

教師用メモ

目標 01。「マイナンバーカード」は個人認証の例として口頭で(IC チップの情報で本人確認)。

SECTION 02

誰もが使える

「自分たちが使える」から「誰もが使える」へ

役所の窓口で、高齢の人がタブレットの前で戸惑い、高校生が横から画面を指して手伝っている
体験 03

使えないと困ること、どうすれば使えるか

身近に、スマホやパソコンが使えない・使いにくい人はいるか。祖父母、小さい子、外国から来た人、目や手が不自由な人。その人が困ることと、どうすれば使えるかを一組

使えないと困ること
どうすれば使えるか

全員の「困る → 使える」が右に並ぶ。「使える」側が、機械側の工夫か、人の側の支援かを見る

みんなの 困る → 使える
教師用メモ

進め方(8分) 一人で 4 分。「使える」側を、機械の工夫(大きい字・音声・多言語・簡単な操作)と、人の支援(教える・代わりの手段を残す)に分ける。前者がユニバーサルデザイン。

想定回答 災害情報が届かない→防災無線と紙も残す ・ QR 決済しか使えない店→現金も受け付ける ・ 学校の連絡がアプリだけ→紙でも配る。

まとめ 02

デジタルデバイド | 使える人と使えない人の差が、格差を広げる

使えない→情報の質と量、発言の機会に差→社会的・経済的な格差が広がる
デジタルデバイドコンピュータやネットワークを活用できる人とできない人の間で、得られる情報や機会に差が生じること。解消には、生活に必要な情報を公平かつ安全に届ける仕組みの整備が要る
ユニバーサルデザイン年齢・障害の有無・言語に関係なく、誰もが簡単に使えるようにする工夫。「自分たちが使えるように」から「誰もが使えるように」へ
働き方リモートワークで場所と時間の自由が広がる一方、医療・介護・物流・販売などのエッセンシャルワークには向かない。多様化と、取り残される人の両方を見る
教師用メモ

目標 02。ユニバーサルデザインは第2単元(情報デザイン)で詳しく扱う。ここでは「誰もが」の視点だけ。

SECTION 03

偏らない

同じ数字が、2 倍に見える

同じ2本の棒グラフを、左右の高校生が別の窓から見ていて、一方には差が大きく、もう一方には小さく見えている
体験 04

どちらが「大きく増えた」ように見える

グラフ A
88 91 94 前年 今年
グラフ B
0 50 100 前年 今年

ある高校のスマホ所持率。前年と今年。どちらのグラフが「大きく増えた」と感じる?

みんなの印象
教師用メモ

進め方(5分) 30 秒で選ばせる。棒が出たら種明かし: 2 つは同じ数字(91% → 93%)。A は縦軸を 88 から始めている。「同じ」を選んだ人に、どこを見たかを聞く(縦軸の数字)。

結論 数字は同じでも、見せ方で印象が変わる。作る側には意図がある(意図していなくても偏る)。受け取る側は、軸・出典・比べる相手を確かめる。

体験 05

便利さと監視 | 街のカメラに顔認識を入れるか

市が、駅前の防犯カメラに顔認識を入れて、指名手配犯や迷子を自動で見つける計画を出した。あなたは賛成か、反対か。理由を一つつけて送る

立場
理由
立場と理由
教師用メモ

進め方(8分) 一人で 3 分。立場ごとに理由が並ぶ。答えは出さない。「賛成の理由」と「反対の理由」がどちらも情報の特性(残存性・複製性)と個人情報保護法の話になっていることを指す。

拾いたい発言 「誰が記録を持つのか」「いつ消すのか」「目的以外に使わないと誰が保証するのか」。条件つき賛成の「条件」が、個人データの例外的な第三者提供(個人情報保護法)の考え方そのもの。

これは正解のないジレンマ。根拠をつけて立場を述べ、他の立場の根拠を聞けたら目標 03。

まとめ 03

意図はある | だから根拠を確かめて、自分で決める

バイアス偏った見方や考え方。発信者が意図的に、あるいは無意識に、一つの側面だけの印象を持たせる。グラフ・表・説明文・調査の選択肢にも入り込む
見抜くには縦軸の始まり、比べている相手、出典、誰が何のために出した情報かを確かめる。確かめても真実は分からないかもしれないが、根拠のない意見に流されなくなる
ジレンマ便利さと監視、保護と活用のように、どちらにも理由がある問題がある。正解を覚えるのではなく、根拠をつけて立場を述べ、他の立場の根拠を聞く

よりよい情報社会は、専門家だけが作るものではない。受け取る側の判断が、社会の側を変える

教師用メモ

目標 03。次回からの単元末の課題(問題を見つけ、調べ、提案する)で、この「根拠を確かめる」を実際に使う。

道具で探す

止まると困る人を、一人挙げる

道具で 1 つ選んで流れをたどり、止まったときに困る人を 1 人挙げる

情報システム身のまわりの情報システムが、どうつながって動いているかを見る
  1. 「この枚で開く」を押す
  2. システムを 1 つ選んで流れをたどる
  3. 止まったときに困る人を 2 人挙げる
この授業のページの中で開く。終わったら「閉じてこの枚に戻る」で戻る
見つけたものを、一文で
みんなの見つけたもの
教師用メモ

進め方 見つけた人から出す。全員に同じ答えを求めない。出てきたものを 2〜3 個読み上げ、共通点を言葉にする。

5分。第4単元の第6回(データベース)につながる。

道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の判断で答える

01
サイバー犯罪 不正アクセス・詐欺・そのほか。専門家の対策だけでは足りず、個人の知識と判断が要る。新しい問題には問題解決の考え方
02
誰もが使える 使えない人との差が格差を広げる。機械の工夫(ユニバーサルデザイン)と人の支援、代わりの手段を残す
03
偏らない 同じ数字が見せ方で 2 倍に見えた。軸・出典・相手を確かめる。ジレンマには根拠をつけて立場を述べる
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01サイバー犯罪の種類と対策を、原因と結びつけて言える
02デジタルデバイドとユニバーサルデザインを身近な人の例で説明できる
03見せ方で印象が変わることを見抜き、根拠をもって立場を述べられる
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

よりよい情報社会のために、自分が気をつけること

一文でよい。今日の体験のどれかに触れて、自分の行動として書く

みんなの行動
教師用メモ

3 分。次回予告は口頭で: 「次の 2 回は、自分たちで問題を見つけて提案する。今日までの 8 回が道具箱」。