名前を出さずに書けるが、書いたことは全部残る。その両方をこの教室で確かめる
50分準備 教室コードは新しいものにする。「教師」を押す。体験 01 は投影側であとから「端末の印と時刻」が表示される(教師表示のみ)。最初は生徒に言わない。
時間配分 前回まとめ・目標 4分 / 節1 匿名で書く 14分 / 節2 実名と匿名 12分 / 節3 消せるか 14分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 6分
教科書: 新編情報Ⅰ 12 ネットコミュニケーションの特徴(p.38)。
この回の評価(指導要領 (2) ア(ア) イ(ア)。匿名性・記録性、状況に応じたメディアの選択。設計指針 H のジレンマとして「忘れられる権利」。単元設計は 単元設計のページ)
ふりかえりの枚の自己評価の分布を見て、「まだ」が多い目標を次回冒頭で拾い直す。
ネットの手段(メッセージ・投稿・掲示板)には、手紙や電話にはない特徴が 2 つある。今日はその 2 つを、この教室で実際に起こしてみる
名前を出さずに書くと、何が変わるか
前回のふりかえり(つながり方が変わった例)を 1 つ読み上げてから進む。
名前なしで、教室に一言
得失を分ける
忘れられる権利を考える
誰が書いたか分からない。本当に

名前は出ない。この授業(情報の授業)について思っていることを一言。良いことでも困っていることでもよい。人を傷つける言葉は書かず、自分がどう感じたかを書く
進め方(10分)
端末の印は端末ごとの乱数で、氏名とは結びついていない。そのことも正直に言う。「結びつけようと思えば、座席と時刻でできる」が現実。
※ 記録は悪いことだけではない。検索履歴や購入履歴から、自分に合った情報や広告が出る(アクセス記録の活用)。そのぶん、見せたくないものも記録されている
目標 01。第1単元の残存性・複製性(第1回)と、匿名でも特定される(第4回)をここで結ぶ。
必要性と危険性を比べて、場面で選ぶ

下の 8 つを 4 つに分ける。まず上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す。全部に印を付けたら「答え合わせ」
進め方(6分) 3 分で答え合わせ。そのあと「自分なら、どんな場面で実名、どんな場面で匿名?」を隣と 1 分。教科書: 実名を出すこと、出さないことは、必要性と危険性を比較して慎重に判断する。
フリマアプリのように、業者が仲介して匿名のまま取り引きできる仕組み(エスクロー)も匿名の活用例。
けんかをして、家族に謝りたい。今日は帰りが遅く、直接は会えない。どれで伝える? 前回の 2 つの軸と、今日の記録性を思い出して選ぶ
正解はない。「メッセージは残るから、あとで読み返してもらえる」「声のほうが気持ちが伝わる」の両方が出る。目標 02。感情を伝える場面では、記録性がプラスにもマイナスにもなる。
10 年前の記事を、検索結果から消してほしい

実際にあった裁判。ある人が、10 年以上前の自分の借金に関する新聞記事が検索結果に出続けるのを、消してほしいと訴えた。記事そのものは事実で、新聞社のサイトには残る。検索結果から外すことを認めるべきか。理由をつけて送る
進め方(10分) 一人で 4 分。立場ごとに理由が並ぶ。答えは出さない。EU の裁判所は 2014 年に「忘れられる権利」を認めた(教科書コラム)。日本では認められにくい。
拾いたい発言 「事実なら残すべき」vs「昔のことで今も不利になる」。「新聞社のサイトには残るのに、検索から消す意味は?」→ 記録性の中でも「見つけやすさ」が力を持つ、という気づき。
「認める」側の人に「政治家の過去の不祥事も消してよい?」と聞くと、条件つきに動く。公共性という軸が出れば十分。目標 03。
| 消せない | 一度公開された情報は、記録・蓄積・検索・複製・伝達され、完全に消去することは難しい。軽い気持ちの冗談や写真が、時間がたってから見つかる |
| 忘れられる権利 | 過去の情報を検索結果から外す権利。EU で 2014 年に認められた。事実の記録を残す価値と、個人が過去に縛られない価値のジレンマ |
| フェイクニュース | ニュースに見せかけた意図的なうそ。同じ意見の人が集まる場で意見が極端になる(サイバーカスケード)ことで広がる。異なる意見の人とどう話すかが課題 |
匿名でも記録は残り、消せない。だから出す前に考える。同時に、社会の側も権利の線を引き直し続けている
ディープフェイク(AI で顔や声を差し替える)にも一言。記録が「本物かどうか」まで揺れる時代であることを添える。
文字だけの場合とそれ以外を比べ、落ちるものをノートに書く
※ この枚は提出しない。自分の手で確かめて、分かったことをノートに書く
進め方 提出させない枚。手を動かして確かめるところまで。机間指導で、止まっている生徒だけを見る。
5分。誤解が起きた例を 1 つ全体で共有する。
道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。今日の体験のどれかに触れて、自分の行動として書く
3 分。次回からデジタルの仕組み(0 と 1)に入る。「記録が残る」の中身が 0 と 1 であることを予告してよい。