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情報Ⅰ (2) コミュニケーションと情報デザイン | 第7回

目的に応じたデジタル化

1 秒 187 MB の動画が、なぜ送れるのか。捨ててよいものを捨てるのが圧縮

50分
教師用メモ

準備 教室コードは新しいものにする。「教師」を押す。体験 01・03 は端末内で完結する。

時間配分 前回まとめ・目標 4分 / 節1 同じものをまとめる 14分 / 節2 戻せるか 12分 / 節3 点か線か 14分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 6分

教科書: 新編情報Ⅰ 17 目的に応じたデジタル化(p.48)。

この回の評価(指導要領 (2) ア(ア) イ(ア)。可逆圧縮と非可逆圧縮、ラスタ形式とベクタ形式、画質とファイルサイズのトレードオフ。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 ランレングス圧縮の手順、可逆・非可逆の違い、ラスタとベクタの違いを説明している(体験01・03・まとめ)
  • 思考・判断・表現 データの用途から可逆・非可逆を選び(体験02)、圧縮率を自分で計算している(体験01)。表現したい方法に応じた形式を選べる
  • 態度 身のまわりのファイルの拡張子や画質設定に興味を持ち、目的に応じて選ぼうとしている(ふりかえり)

ふりかえりの枚の自己評価の分布を見て、「まだ」が多い目標を次回冒頭で拾い直す。

前回のまとめ

動画は 1 秒 187 MB | そのままでは送れない

1 画素 24 ビット×1,920 × 1,080×30 fps=1 秒 約 187 MB

それでもスマホで動画が見られる。誰かが、意味を保ったままデータを小さくしている。今日はそれを自分の手でやる

「白白白白白黒黒黒」を、もっと短く言えるか

教師用メモ

「白 5、黒 3」と言える生徒がいれば、それがランレングス。前回「まだ」の目標があれば 2 分拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
ランレングス圧縮を自分で行い、圧縮率を計算できる
02
可逆圧縮と非可逆圧縮の違いを説明し、データの用途に応じて選べる
03
ラスタとベクタの違いを、拡大したときの見え方から説明できる
01 | 14分
同じものをまとめる

塗った絵を短く書く

02 | 12分
戻せるか

用途で選ぶ

03 | 14分
点か線か

拡大して比べる

SECTION 01

同じものをまとめる

「ラーメン 1 つ」を 4 回言うより「ラーメン 4 つ」

カウンターで同じ丼を4つ注文する高校生と、指を4本立てて一言で伝える店員の2コマ
体験 01

塗った絵を、繰り返しでまとめて短くする

8×8 のマスを塗る(なぞれる)。右に、そのままの 64 ビットと、「同じ色が何個続くか」で書き直したデータが出る。どんな絵が縮み、どんな絵が縮まないかを試す

そのまま(1 行ずつ、白 0 / 黒 1)
ランレングス(色と、続く個数)
64
元のビット数
—
圧縮後のビット数 | 1 区切り 4 ビット(色 1 + 個数 3)
—
圧縮率 = 後 ÷ 前
教師用メモ

進め方(10分)

  • 「縞にする」→ 横一列が同じ色なので大きく縮む。「バラバラにする」→ 縮まず、むしろ増える(1 区切りに 4 ビット使うため)。
  • 「圧縮率」が 100% を超える場合を見せる。圧縮は必ず縮むわけではない。データの並びに繰り返しがあるときだけ効く。
  • 自分で N の字や自分の頭文字を描いて、圧縮率を隣と比べる。

言葉 ランレングス圧縮 = 同じ値が続く部分をまとめて符号化する可逆圧縮。「すもももももももものうち」(13 文字)→「す 1 も 8 の 1 う 1 ち 1」。圧縮率 = 圧縮後 ÷ 圧縮前 × 100%。目標 01。

まとめ 01

圧縮 | 意味を保ったまま、データ量を減らす

00000111→白 5 ・ 黒 3→元に戻せる
圧縮データを効率よく保存・伝送するために、意味を保ったまま一定の手順でデータ量を減らす処理。戻すことを展開(解凍)という
ランレングス同じ値が連続する部分を「値と個数」にまとめる。縞や単色の面には効く。バラバラの並びには効かず、増えることもある
圧縮率圧縮後のデータ量 ÷ 圧縮前のデータ量 × 100%。小さいほどよく縮んでいる

※ 1 秒 187 MB の動画が数 MB になるのは、これに加えて「人が気づかない部分を捨てる」からで、それが次の節

教師用メモ

目標 01。動画は前のフレームと「変わった部分だけ」を送る、という発想も繰り返しの省略の一種と一言。

SECTION 02

戻せるか

完全に戻せる圧縮と、戻せないけれど小さい圧縮

左は折りたたんで元通りに広げられる紙、右は握って小さく丸められたが完全には戻らない紙。高校生が両方を持っている
体験 02

完全に戻す必要があるか

可逆圧縮=完全に元に戻せる(ランレングスなど)。非可逆圧縮=人が気づきにくい部分を捨てて大きく縮めるが、完全には戻らない。下のデータはどちらで圧縮すべきか。タップして分け、「答え合わせ」

可逆でなければ困る = 1 ビットでも変わると壊れる非可逆でよい = 少し変わっても人は気づかない
教師用メモ

進め方(7分) 3 分で答え合わせ。「写真は可逆でないと困るのでは?」という声には、「印刷用の元データは可逆(PNG など)、SNS に送るなら非可逆(JPEG)」と用途で答える。同じデータでも目的で変わる、が要点。

拡張子: JPEG・MP3・MP4 は非可逆、PNG・ZIP は可逆。スマホの写真は JPEG か HEIC。目標 02。

まとめ 02

可逆と非可逆 | 目的が決める

可逆圧縮
圧縮前の状態へ完全に戻せる
繰り返しを省略する(ランレングスなど)
文章・プログラム・データ・設計図
PNG、ZIP
非可逆圧縮
完全には戻らないが、大きく縮む
人が認識しにくい部分(近い色・聞こえない音)を削る
写真・動画・音楽の配信
JPEG、MP3、MP4

高音質・高画質とは、標本化を細かく、量子化を細かく、圧縮を少なくすること。そのぶん重い。画質とファイルサイズはトレードオフ。目的に応じて選ぶ

教師用メモ

目標 02。「雑に非可逆圧縮すると 184 KB → 4 KB になるが画質は悪い」の実例をスマホの写真アプリの画質設定で見せてもよい。

SECTION 03

点か線か

拡大すると、ぎざぎざになる画像と、ならない画像

同じ円の絵を虫めがねで拡大していて、左はマス目のぎざぎざが見え、右はなめらかな線のまま
体験 03

拡大して、違いを見つける

同じ円と文字を 2 つの方法で描いてある。つまみで拡大する。左は「点(画素)の集まり」、右は「中心と半径、座標」の情報で描いている。どちらが、どう変わるか

ラスタ | 点の集まり(24 × 24 画素)
データ: 各画素の色(24 × 24 = 576 個の値)
ベクタ | 形の情報
A
データ: 円 中心 (100,100) 半径 60 / 文字 A 位置 (100,112) 大きさ 40
教師用メモ

進め方(10分) 拡大を 1 → 8 に。左は輪郭にぎざぎざ(画素が見える)、右はなめらか。「右はなぜぎざぎざにならない?」→ 描くたびに形の情報から計算し直しているから。

言葉 ラスタデータ(ビットマップ): 画素を並べて表現。写真に向く。拡大するとぎざぎざ。ベクタデータ: 形状・座標・色・大きさの情報で表現。ロゴ・図・文字に向く。拡大しても劣化せず、データが小さいことが多い。

見分け方: 拡大してぎざぎざが出るか(教科書やってみよう 17)。フォントもベクタ(第4回)。目標 03。

まとめ 03

ラスタとベクタ | 表したいものに合わせて選ぶ

ラスタデータ画素を並べて表す。写真のように細かい色の変化に向く。拡大すると輪郭がぎざぎざになる。データ量は画素数で決まる
ベクタデータ形状・座標・色・大きさの情報で表す。ロゴ・地図・文字・図に向く。拡大しても劣化しない。要素が少なければデータは小さい
目的に応じて写真はラスタで非可逆、ロゴはベクタ、文章は可逆。同じ「画像」でも、何を表したいかで形式が変わる

デジタル化は必ず何かを捨てる。何を捨ててよいかを決めるのは目的。それが「目的に応じたデジタル化」

教師用メモ

デジタルの仕組みはここまで。次回から情報デザイン(伝える側の設計)。「捨ててよいものを決める」は次回の抽象化そのもの。

道具で探す

ランレングス法で、かえって増えるデータ

道具でいろいろな模様をためし、ランレングス法で「かえって増える」データを 1 つ見つけて出す

可逆圧縮と非可逆圧縮戻せる圧縮と戻せない圧縮を、同じデータで比べる
  1. 「この枚で開く」を押す
  2. 同じ画像を 2 つの方法で圧縮する
  3. 戻したときの差を見る
この授業のページの中で開く。終わったら「閉じてこの枚に戻る」で戻る
ランレングス法同じ値の連続を、値と個数に置き換える
  1. 「この枚で開く」を押す
  2. 縞模様と、こまかい模様で試す
  3. 縮まない場合があることを確かめる
この授業のページの中で開く。終わったら「閉じてこの枚に戻る」で戻る
見つけたものを、一文で
みんなの見つけたもの
教師用メモ

進め方 見つけた人から出す。全員に同じ答えを求めない。出てきたものを 2〜3 個読み上げ、共通点を言葉にする。

6分。ランレングスは手で数えた結果と突き合わせる。ハフマンは発展。

道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の操作で答える

01
ランレングス 同じ色が続く部分を「色と個数」に。縞は縮み、バラバラは増えた。圧縮率 = 後 ÷ 前
02
可逆と非可逆 文章・プログラムは可逆、写真・動画・音楽は非可逆でよい。画質とサイズはトレードオフ
03
ラスタとベクタ 点の集まりは拡大でぎざぎざ、形の情報は劣化しない。写真はラスタ、ロゴはベクタ
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01ランレングス圧縮を行い、圧縮率を計算できる
02可逆・非可逆の違いを説明し、用途で選べる
03ラスタとベクタの違いを拡大の見え方から説明できる
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

自分のスマホで、画質や容量を選んだ経験

一文でよい。「〇〇のとき、△△を選んだ(選ぶ)」の形。今日の言葉(可逆・非可逆・ラスタ・ベクタ)を 1 つ使う。自分のスマホでの経験が無い人は、学校の端末で写真や動画を扱ったときのことでよい

みんなの経験
教師用メモ

3 分。次回から情報デザイン。「捨ててよいものを決めるのは目的」を持ち越す。