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情報Ⅰ (3) コンピュータとプログラミング | 第9回

モデル化とシミュレーション

本物ではないのに、知りたいことは分かる。何を残して何を捨てるかを自分で決める

50分
教師用メモ

準備 教室コードは新しいものにする。「教師」を押す。体験 03 は全員の回答が集まる。

時間配分 前回まとめ・目標 4分 / 節1 モデルを分ける 14分 / 節2 数式にする 14分 / 節3 やってみられないこと 12分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 6分

教科書: 新編情報Ⅰ 29 モデル化とシミュレーション(p.80)。

この回の評価(指導要領 (3) ア(ウ)。モデル化とシミュレーションの考え方や方法。内容の取扱い(4)「モデルの違いによって結果が異なることを扱う」。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 モデルを物理・図的・数理に分け、単純化とは何を残し何を捨てることかを説明している(体験01)
  • 思考・判断・表現 水位の数理モデルで、数を変えると結果が変わることを確かめ、目的によって残す要素が変わることを述べている(体験02)
  • 態度 実際にやってみられない事柄に目を向け、シミュレーションで確かめようとしている(体験03・ふりかえり)

ふりかえりの枚の自己評価の分布を見て、「まだ」が多い目標を次回冒頭で拾い直す。

前回のまとめ

毎回変わる数を作り、部品に名前を付けた

random.randintdef / return→おみくじが動いた

乱数は「やってみたらどうなるか」を、コンピュータの中で何度も試すための道具だった。では、何を試すのか。試す対象そのものをコンピュータの中に作る。それがモデル

地球儀は地球ではない。それでも役に立つのはなぜか

教師用メモ

問いを 30 秒考えさせてから次へ。「大きさは違うが、位置関係は同じだから」が出れば十分。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
モデルを物理・図的・数理の 3 つに分け、単純化とは何かを言える
02
数理モデルで数を変えると結果が変わることを確かめ、目的でモデルが変わると言える
03
シミュレーションが使われる理由を、3 つの型に当てはめて説明できる
01 | 14分
モデルを分ける

模型・図・数式

02 | 14分
数式にする

水そうの水位

03 | 12分
やってみられない

3 つの理由

SECTION 01

モデルを分ける

残すものを決めると、捨てるものが決まる

机の上に地球儀と路線図と数式を書いたノートが並び、高校生がそれぞれを見比べている
体験 01

これは、どの種類のモデルか

下の 12 個を分ける。まず上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す。全部に印を付けたら「答え合わせ」

物理モデル = 形のある模型図的モデル = 図で表す数理モデル = 数式で表す
教師用メモ

進め方(10分) 一人で 5 分。答え合わせのあと、路線図で 2 分使う。「実際の線路は曲がっているのに、路線図はまっすぐ。距離もばらばら。それでも役に立つのはなぜ?」→ 乗り換えの順番だけ残して、形と距離を捨てているから。これが単純化。

言葉 モデル = 対象を単純化して表現したもの。単純化 = 本質となる形や特性を取り出し、ほかを切り捨てること。モデル化 = 実物をもとにモデルを作ること。

同じ対象でも目的が違えばモデルは違う。学校を「避難経路」で見れば図的モデル、「模型」で見れば物理モデル。目標 01。

SECTION 02

数式にする

数にすれば、コンピュータが動かせる

蛇口から水そうに水がたまっていくのを、ストップウォッチと定規を持った高校生が計っている
体験 02

水そうの水位 | つまみを動かすと、結果が変わる

1 分に a cm ずつ水位が上がる水そうを、水位 = a × 時間 という式で表した。これが数理モデル。つまみを動かすと、水位のグラフと満水になる時刻が変わる

3
60

※ このモデルは「蒸発」「水の温度」「そそぐ勢いの変化」を切り捨てている。水位を知るという目的には要らないから

教師用メモ

進め方(10分) a を 3 → 6 に。「満水までの時間が半分」。高さを変える。「同じ式でも、数を変えれば別の水そうを表せる。これがモデルを使う強み」。

ここが要点 モデルの数(パラメータ)を変えれば、実物を作り替えなくても別の場合が試せる。部品を交換する費用も手間もかからない。第10回のコンピュータシミュレーションにつながる。

問い 「このモデルは何を捨てている?」→ 蒸発、水の温度、蛇口をひねる強さの変化、水そうの形(底面積が一定でない場合)。「捨てたものが効いてくる場面は?」→ 数日置く場合は蒸発が効く。目的が変われば、残すものが変わる。目標 02。

まとめ 01・02

モデル | 目的に応じて、残すものと捨てるものを決めたもの

モデル・単純化対象を単純化して表現したものがモデル。単純化とは、本質となる形や特性を取り出し、ほかを切り捨てること。実物をもとにモデルを作ることをモデル化という
3 つの分類物理モデル(模型。実物・拡大・縮小)、図的モデル(流れや関係を図で)、数理モデル(数式で)
目的で変わる対象が同じでも、目的が違えば取り出す部分と切り捨てる部分が違う。できあがるモデルも違う
数理モデルの強み数を変えるだけで別の場合を試せる。コンピュータで効率よく計算できる
教師用メモ

「単純化」は「手抜き」ではなく「目的に対する判断」だと強調する。何を捨てたか言えることが、モデルを使う人の責任。

SECTION 03

やってみられない

だから、モデルで試す

炎に包まれた建物の絵と、衝突する自動車の絵が並んだ掲示を、高校生が真剣に見ている
体験 03

やってみたいが、実際にはやりにくいこと

身のまわり・社会のどちらでもよい。理由は、①一度しかできない ②費用や時間がかかる ③危険が伴う のどれかに近い言葉で書く

やってみたいこと
実際にはやりにくい理由

全員の「やってみたいこと → やりにくい理由」が右に並ぶ。理由を 3 つの型(一度きり・費用と時間・危険)に振り分けながら読む

みんなの やってみたいこと → 理由
教師用メモ

進め方(10分) 一人で 4 分、読み上げながら 3 つの型に分類 5 分。

教科書の例 一度しかできない: スポーツの試合、手術。費用や時間がかかる: 建物の耐震実験、植生の変化。危険が伴う: 火災の広がり方、自動車の衝突実験。

結論 実物で実験したほうが精度は高い。それでも、この 3 つの理由があるからシミュレーションを行う。「精度」と「やれるかどうか」の間で選んでいる。

身近な例: 飛行機の操縦訓練(フライトシミュレーター)、自動車の開発(衝突・空力)、気候モデル(眞鍋淑郎の 2021 年ノーベル物理学賞)。目標 03。

まとめ 03

シミュレーション | モデルを使った実験

実物で実験する→一度きり / 費用と時間 / 危険→モデルを作って、その中で試す
シミュレーション実際の問題を解決するために行う、モデルを使った実験。適切にモデル化できれば、実際に起こり得ることを予測できる
行う理由①一度しかできない ②費用や時間がかかる ③危険が伴う。実物での実験のほうが精度は高いので、選んでいることを忘れない

次回は、これをコンピュータでやる。さいころを 1 万回振る

教師用メモ

目標 03。次回は乱数を使ったコンピュータシミュレーションと、モデルが適切かの検討。

予想

数を 1 つ変えると、結果はどれくらい変わるか

モデルの数を変えると結果が変わる。別の題材でも同じことが起きるかを見る

確かめる前に、いまの予想を 1 つ選ぶ。当たっていなくてよい。予想を置いておくと、違ったときに気づける

選んだ人数が右に出る。分かれているところを 1 つ読み上げてから次へ

クラスの予想
教師用メモ

予想を先に(2分) 先に道具を開くと、触って終わる。予想を置いてから確かめると、違ったところが残る。

6分。水そうの式と同じ形(数を変えると結果が変わる)を、別の題材で確かめる。

道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。

確かめる

道具で確かめて、予想と合っていたかを見る

モデル化とシミュレーションモデルの数値を変えて、結果の変わり方を見る
  1. 「この枚で開く」を押す
  2. 数値を 1 つだけ変えて結果を見る
  3. そのモデルが切り捨てているものを 1 つ言う
この授業のページの中で開く。終わったら「閉じてこの枚に戻る」で戻る
確かめて分かったことを、一文で
確かめて分かったこと
教師用メモ

進め方 手順のとおりに触らせる。終わったら前の枚の予想と見比べ、外れた人を 2 人読み上げる。

6分。水そうの式と同じ形(数を変えると結果が変わる)を、別の題材で確かめる。

道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の操作で答える

01
3 つの分類 物理・図的・数理。路線図は形と距離を捨て、順番だけ残した。それが単純化
02
数理モデル 水位 = a × 時間。a を変えると満水の時刻が変わった。捨てたのは蒸発と温度
03
行う理由 一度きり・費用と時間・危険。実物のほうが精度は高いと知ったうえで選ぶ
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01モデルを 3 つに分け、単純化とは何かを言える
02数理モデルで、数を変えると結果が変わることを説明できる
03シミュレーションが使われる理由を 3 つの型で説明できる
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

身のまわりのモデルを一つと、それが捨てているもの

一文でよい。「〇〇は、△△を残して □□ を捨てている」の形

みんなの見つけたモデル
教師用メモ

3 分。「捨てているもの」まで書けているものを 2 つ読み上げる。次回はコンピュータで動かす。