決まりができる前に、技術はもう広まっている。その間に何が起きるのか
50分準備(授業前) 教室コードを入れる(第1回と同じでよい。同じにすると第1回の年表がそのまま右に出る)。「教師」を押す。前回の年表の CSV を開いておくと、節2 で示せる。
投影 節1 の投票は、全員が押し終わってから結果を大きく見せる。押している途中で読み上げない。
時間配分 前回のまとめ・目標 3分 / 節1 どちらが先に動いたか 15分 / 節2 追いつくまでの間 15分 / 節3 年表に足す 10分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 7分
この回の評価(指導要領 解説 (1) ア(ア)、内容の取扱い (1)「情報セキュリティ及び情報に関する法規・制度についても触れる」。設計指針 H1L3(情報技術による可能性やリスクと、不正競争防止法や秘密保持契約等を含む法・制度のあり方)。重点は知識・技能と思考・判断・表現。単元設計は 単元設計のページ)
情報Ⅰ (1)(4) で学んだ法の中身は説明し直さない。ここは「いつ、なぜできたか」だけを見る。
前回の年表は「技術の行」だけでできていた。今日は同じ年表に、もう一段「法と制度の行」を重ねる。重ねると、二つの行がずれていることが見える
技術と決まりは、どちらが先に動くのか
前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。前回のふりかえりを 1 つ読み上げてから進む。
6 つの事例を、全員で投票して分ける
いま決まりがないことと、要る決まり
法と制度の行を 1 行、教室の年表へ
走っていく技術と、あとから追いかける決まり

6 つのうち、決まりより技術のほうが先に広まったと思うものを選ぶ。いくつ選んでもよい。1 つ押すたびに 1 票が送られ、右の棒が伸びる。押し直しはできないので、決めてから押す
棒がそろったら、6 つとも技術が先だったことを順に確かめる。最後の 1 つはまだ議論の途中
進め方(10分) 2 分で投票。棒が出たら種明かし: 6 つとも技術が先。困りごとが起きてから決まりができた。生成 AI と学習データは、いまも議論の途中で決まりきっていない。
対応する決まり 迷惑メール → 送信のルールを定める法律 ・ 無断ログイン → 不正アクセスを禁じる法律 ・ 個人データ → 個人情報を守る法律 ・ 中傷 → 発信者の情報を開示する仕組みと刑の見直し ・ 自動運転 → 道路交通法の改正 ・ 生成 AI → 検討中。年号は覚えさせない。順序だけ。
拾いたい発言 「全部技術が先なら、決まりは常に遅れる」→ そのとおり。だから節2 で「遅れている間に何が起きるか」を考える。
| なぜ遅れるのか | 困りごとが起きて初めて問題として認められる。決まりを作るには、事実を調べ、関係する人の意見を聞き、議論して決める手続きが要る。手続きには時間がかかる |
| 遅れは悪いことか | そうとは限らない。まだ何が問題か分からないうちに厳しい決まりを作ると、役に立つ使い方まで止まる。早すぎる決まりも、遅すぎる決まりも困る |
| だから要るもの | 決まりがない間を埋めるのは、使う人と作る人の判断。会社どうしの秘密保持の約束のように、法律以外の取り決めで埋めることもある |
目標 01。情報Ⅰ で扱った各法の中身はここで説明し直さない。「いつ、なぜできたか」だけ。設計指針 H1L3 の入口。
決まりがない期間に、誰が困るのか

身のまわりで「これは決まっていないのでは」と思うことを一つ。次に、その決まりを自分が作るつもりで書く。禁止だけでなく「こうすれば使ってよい」の形でもよい
右に「決まりがない → 要る決まり」が並ぶ。禁止だけの案と、条件つきで使える案に分けて読む
進め方(12分) 一人で 4 分、送るのに 2 分、読み上げと討議に 6 分。並んだ案を「禁止する案」と「条件つきで使ってよい案」に口頭で分ける。どちらが多いかを言葉にする。
想定回答 課題を AI に書かせる ・ 顔写真を勝手に学習に使われる ・ 教室の会話を録音される ・ 配達ロボットが歩道を通る ・ 学校が集めた学習の記録を誰が見てよいか。
拾いたい発言 「禁止すると、まじめに使う人まで困る」「守れるかどうかを誰が確かめるのか」。この二つが、実際の法を作るときの争点そのもの。討議の中心にする。
| 遅れの間に起きること | 被害を受けた人が救われない。どこまでやってよいか分からず、使う側も作る側も止まる。先に始めた人だけが得をすることもある |
| 埋める三つ | 法律(守らないと罰がある)、契約や約束(会社どうしの秘密保持など)、マナーと社内の方針。三つを重ねて隙間を埋める |
| よい決まりの形 | 全部禁止ではなく「何のためなら、どこまで、誰の同意で使ってよいか」を書く。そうすると新しい使い方をつぶさずに、困る人を減らせる |
情報Ⅰ では「いまの法はこうなっている」を学んだ。ここでは誰かがそれを決めたことを見ている。決めるのはこれからの社会に生きる人
目標 02。設計指針 H1L3 にある「不正競争防止法や秘密保持契約等を含む法・制度」は、ここでは「契約や約束でも埋める」という一言だけ。深入りしない。
技術の行の下に、法と制度の行を引く

前回の年表に足す 1 行を送る。「どの技術のあとに、どんな決まりが来たか」を一文で。今日出た 6 つでも、自分で気づいたものでもよい
進め方(7分) 一人で 3 分。並んだ行を 3 つ読み上げ、「技術が先」の形になっているかを確かめる。ここが評価の場面(年表への追記)。
第7回の評価規準では、展望の根拠に技術の変化だけでなく法や制度の変化も挙げられると A になる。その材料をここで作っている、と生徒に言っておく。
目標 03。次回からは「伝え方」の話に移るが、年表は開いたままにしておく。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。今日出た「決まりがないこと」の中から一つ選び、自分が決める側ならまず何を決めるかを書く
3 分。次回予告は口頭で: 「次は伝え方。手段がどこまで増えたのか、増えて何が失われたのかを見る」。