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情報Ⅱ (1) 情報社会の進展と情報技術 | 単元設計
逆算で設計する(高次の資質・能力 → 単元の目標・評価規準 → 評価課題 → 学習過程 → 形成的評価)。 根拠は三つ。学習指導要領と解説 情報編の「情報Ⅱ」(1)、情報教育課程の設計指針 第2版の (高選) 水準、情報・技術WG のまとめ。本文の [解説][指針][WG] は、下の出典の該当箇所を指す。
この回の並びのファイル名は lessons/5-01〜5-08 です。情報Ⅰ の 4 単元が 1〜4 なので、情報Ⅱ の 5 単元を 5〜9 に続けています。
この単元の位置
[解説]は (1) を「この科目の導入として位置付ける」とし、「将来の情報技術と情報社会の在り方等について討議し発表し合うなどの活動を取り入れる」と求めています。つまりこの 8 回は、知識を並べる導入ではなく、残り 4 単元へ行く動機を作る討議の場です。[解説]自身が、(1) の活動が (2)(3)(4) への動機付けと (5) の探究につながることを期待すると書いています。
情報Ⅰ を履修した生徒が対象です。法規・制度・セキュリティは情報Ⅰ (1)(4)、コミュニケーションとコンテンツは情報Ⅰ (2)、情報システムとデータは情報Ⅰ (3)(4) と関連付けて扱う、と[解説]が指定しています。だから同じ話を二度しません。情報Ⅰ で名前を知ったものを、ここでは「歴史の中でどう変わってきたか」「これからどうなるか」で捉え直します。
本質的な問い
技術が変わると、人の何が変わり、何が変わらないのか。10 年後、自分は何を機械に任せ、何を手放さないのか。
[解説]の (1) 冒頭「情報技術の発展による人や社会への影響に着目し、情報社会の進展と情報技術の関係を歴史的に捉え、将来の情報技術を展望する活動を通して」を、生徒が自分に向けて問える形にしたものです。
単元の目標(3観点)
| 観点 | 単元の目標 | 根拠 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 情報技術の発展の歴史と情報社会の進展の関係を、法規・制度と情報セキュリティの変化も含めて説明できる。技術の発展でコミュニケーションが多様化したこと、人の知的活動が影響を受けたことを説明できる | [解説 ア(ア)(イ)(ウ)]。法規・制度とセキュリティは内容の取扱い (1) の指定 |
| 思考・判断・表現 | 将来の情報技術と情報社会の在り方を、根拠をもって展望できる。コンテンツの創造と活用、情報システムの創造やデータ活用の意義を、社会の変化と結びつけて説明できる | [解説 イ(ア)(イ)(ウ)] |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 立場の違う意見を聞いて自分の考えを決め直し、情報社会の発展に寄与しようとしている | [解説](1) の「情報社会の発展に寄与しようとする態度」 |
[解説 内容の取扱い (1)]: 「この科目の導入として位置付ける。アの(ア)については、情報セキュリティ及び情報に関する法規・制度についても触れる。また、将来の情報技術と情報社会の在り方等について討議し発表し合うなどの活動を取り入れる」。前半が第2回、後半が第6〜8回です。
評価課題(単元末のパフォーマンス課題)
「10 年後の情報社会を一つ展望し、そこで人が担うべき役割を提案する」(第7回・第8回)
- 3〜4 人の班で、情報技術が大きく関わる領域を一つ選ぶ(仕事、医療・介護、学校、交通、店、災害)。[解説]が挙げる「高齢者の孤独感とコミュニケーションロボット」「専門家の知的資産を人工知能に学習させた社会」を例として示します
- 過去 30 年で何が変わったか(第1〜5回で作った年表)を根拠に、10 年後を一つ展望する。願望ではなく、変化の向きから引く
- その社会で人が担うべき役割と、必要になるルールやマナーを一つずつ提案する
- 発表し、他の班から反論を受け、答える。[解説]が求める「賛否両論の立場について討論し」に当たります
| 観点 | B(おおむね満足) | A(十分満足) | C の生徒への手立て |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 展望の根拠に、過去の技術の変化を一つ挙げている | 技術の変化に加えて、法規・制度やセキュリティの変化も根拠にしている | 第1回の年表を開かせ、自分の領域の行を一つ指させる |
| 思考・判断・表現 | 10 年後の社会を書き、人の役割を一つ挙げている | 反論に答えて展望を直し、直した理由を説明している | 「今と同じままだと、何が困るか」を先に書かせる |
| 態度 | 他の班の発表を聞き、質問か意見を一つ出している | 反対の立場の意見を取り入れて、自分の提案を直している | 反対意見を一つだけ選ばせ、「その通りだと思う所」を言わせる |
規準は[指針 H5L4](情報社会における民主主義プロセスに情報技術がどんな役割を果たし、それがどう変化して行くか考えられる)と[指針 X3L3](AI の利用方法や法規制ないしその可能性)を、高校の言葉に直したものです。
各回と評価(形成的評価の場面)
各回のページには、表紙の教師用メモに「この回の評価」を、ふりかえりの枚に「目標の自己評価」(生徒が3段階で答え、投影に分布が出る)を置きます。
| 回 | 題 | [解説] | [指針]の水準 | 重点 | 評価場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 情報技術の年表づくり | ア(ア) | H5L1、D1L4(ビッグデータの登場) | 知 | 班で作った年表(教室に集まる)/ふりかえり |
| 2 | 技術の広まりと法・制度のおくれ | ア(ア)。取扱い (1) の「情報セキュリティ及び法規・制度」 | H1L3(可能性とリスク、不正競争防止法や秘密保持契約を含む法/制度) | 知・思 | 技術が先か、法が先かの判断/年表への追記 |
| 3 | 伝え方の広がりと失われたもの | ア(イ) | G1L3、G2L4(メディアの社会的役割) | 知 | 手段の分類と、失われたものの指摘 |
| 4 | 機械との対話 | ア(イ) イ(イ)。解説の「人と機械がコミュニケーションするためのコンテンツや情報デザイン」 | X3L1 → X3L2、B6L3 の入口 | 思 | 機械に言われて嫌なこと/必要な配慮 |
| 5 | 人の知的活動の変化 | ア(ウ) | X1L3、I3L2 | 知・思 | 自分が機械に任せている判断の洗い出し |
| 6 | AI に任せる仕事と任せない仕事 | イ(ウ)。解説の「人工知能の導入と普及による雇用の影響について、賛否両論の立場について討論」 | X3L2・X3L3、H3L4 | 思・態 | 立場を割り当てた討論/立場を変えた後の意見 |
| 7 | 10 年後の展望 | イ(ア)(イ)(ウ)。内容の取扱い (1) | H5L4、K3L1 | 思 | 展望と根拠(班で提出) |
| 8 | 展望の発表と相互評価 | イ(ア)。取扱い (1)「討議し発表し合う」 | G3L3、G4L3 | 思・態 | 相互評価/反論を受けて直した提案 |
設計指針(第2版)との対応
指針は情報Ⅱ に当たる水準を (高選) と印を付け、「選択科目を通して高等教育に進む生徒が学ぶことが望まれる内容」としています。この単元は導入なので、(高選) の実習項目そのものではなく、(高必) で名前を知ったものを社会の側から捉え直す場所です。
- H. 情報社会/メディアと倫理/法/制度: H1L3「情報技術による人間社会の可能性やリスクと不正競争防止法や秘密保持契約等を含む法/制度のあり方」は大学段階の水準ですが、第2回で「技術と法のどちらが先に動くか」という形で入口を作ります。H5L4(民主主義プロセスと情報技術。高他)は第7・8回の展望と討議で扱います
- X. 人工知能(AI): 指針は X3L2・X3L3 について「AI の動作において信頼性/公平性/透明性/個人情報保護/責任などが問題になる場面やそれに対する規制の可能性を考えさせ、AI に動作を指示する人間の役割を含め、自分がその『人』になったときどうするかを考えさせる」と述べています。第6回の討論がその場面です
- D. データとその扱い: D1L4「ビッグデータとデータマイニングの概要、データはネットや IoT/センサからも来ることを知っている」(高選) は第1回の年表で名前を出し、単元 (3) で実習します
- G. コミュニケーションとメディアおよび協調作業: G3L3(集団の前でプレゼンテーション)と G4L3(自分の望みと違う発言でも相手の立場を理解する)は第8回の相互評価がその場面です
情報Ⅰ とのつながり
[解説]は (1) の扱いについて、情報Ⅰ のどの内容と関連付けるかを名指ししています。そこを二度教えないための対応表です。
| ここで扱うもの | 情報Ⅰ で学んだこと | この単元での捉え直し |
|---|---|---|
| 法規・制度、情報セキュリティ | (1) 情報社会の問題解決、(4) ネットワークとデータの活用 | 「今どうなっているか」→「なぜそう変わってきたか、次はどう変わるか」 |
| コミュニケーションの多様化、情報デザイン、コンテンツ | (2) コミュニケーションと情報デザイン | 「相手に伝わる形」→「人と機械が伝え合う形」 |
| 情報システム、ネットワーク、データの活用 | (3) コンピュータとプログラミング、(4) | 「仕組みが分かる」→「作る意義を語れる」 |
| 問題の発見・解決の方法 | (1) 第9・10回の評価課題 | 一連の流れを、社会規模の問題で使う |
生徒の探究とのつながり
情報Ⅱ は科目そのものが探究に近く、単元 (5) は「この科目のまとめ」として問題発見・解決の探究に充てられます。この単元 (1) は、そのテーマ探しの場でもあります。
- 第6回の討論と第7・8回の展望で出てきた「自分が気になった領域」は、そのまま単元 (5) のテーマ候補になります。復習の「探究へ」で候補を書き溜めます
- メモは端末の中の 探究ノート に集まります。総合的な探究の時間や課題研究のテーマ決めにも、そのまま使えます
- [解説]は (5) について「数学科など他教科とも積極的に連携を図る」と求めています。第5回で「機械に任せている判断」を洗い出すとき、数学の確率・統計で扱ったことを結びつけます
他校でそのまま使える形にする
学校固有の呼び名や、校内で使っている道具の名前は書きません。教室コードで集まる部品は、どの学校でもこのページだけで動きます。
出典
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編
- 文部科学省。解説 情報編(PDF)、高等学校学習指導要領の告示・解説の一覧
- 該当箇所: 第2章 第2節 情報Ⅱ の「1 目標」、「2 内容とその取扱い」の (1) 情報社会の進展と情報技術(ア(ア)(イ)(ウ)、イ(ア)(イ)(ウ))、「(内容の取扱い)」の (1)、および (1) の全体にわたる学習活動の例
- 情報Ⅱ は標準単位数 2 単位の選択科目で、情報Ⅰ を履修した後に選択的に履修されます
情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)
- 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 報告、令和8年(2026年)5月12日。報告本文(PDF)、情報処理学会の紹介ページ
- 使った箇所: 「(2) カテゴリ」の一覧、各カテゴリの項目と水準の表(D・G・H・X)、「学校段階ごとの扱い」の高等学校の記述。(高選) は「選択科目を通して高等教育に進む生徒が学ぶことが望まれる内容」の印です
中央教育審議会 教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ
- 文部科学省。会議のページ(議事録・配付資料)、第11回 配付資料(2026年6月25日)
- 使った要点: 「知識・技能の習得にとどまらず、実際の課題解決で活用できる高次の資質・能力」(要点 2)、「メディアリテラシー、AI、情報モラルを情報技術の適切な取扱いとして明確化」(要点 6)、「逆算し、教科書の見開きを毎時消化する方式から離れる」(要点 7)。審議中のため、方向として参照し、実施は現行の指導要領に合わせます