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情報Ⅱ (1) 情報社会の進展と情報技術 | 第3回

伝え方の広がりと失われたもの

手段は増え続けたが、そのぶん失われたものもある

50分
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードを入れる(この単元で使い回してよい)。「教師」を押す。節1 の分類ゲームは端末の中だけで動くので、教室コードがなくても遊べる。

投影 節1 は生徒の端末で各自に操作させ、投影は問題文だけ出す。節2・節3 は右の欄を投影して読み上げる。

時間配分 前回のまとめ・目標 3分 / 節1 手段を分ける 15分 / 節2 増えて、失われたもの 15分 / 節3 この用件をどれで伝えるか 10分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 7分

この回の評価(指導要領 解説 (1) ア(イ)「情報技術の発展によりコミュニケーションが多様化したこと」。設計指針 G1L3、G2L4(メディアの社会的役割)。重点は知識・技能。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 伝える手段を「相手の人数」と「時間のずれ」で分類している(体験01・まとめ01)
  • 思考・判断・表現 手段が増えて得られたものと失われたものを、具体の場面で挙げている(体験02)
  • 態度 場面に合う手段を、相手の立場を考えた理由をつけて選んでいる(体験03・ふりかえり)

情報Ⅰ (2) で学んだ「相手に伝わる形」は説明し直さない。ここは手段が増えた歴史と、その社会的な役割の変化を見る。

前回のまとめ

技術が先に走り、決まりがあとから追いかける

技術が広まる→困りごと→法や制度

前回は年表に決まりの行を足した。今日は年表の中でも「伝える」に絞る。手段はいくつまで増えたのか。増えたことで、何が便利になり、何がなくなったのか

手段が増えると、伝わり方はどう変わるのか

教師用メモ

前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
伝える手段を、相手の人数と時間のずれで分類できる
02
手段が増えて得られたものと失われたものを、場面で言える
03
場面に合う手段を、相手の立場を考えた理由をつけて選べる
01 | 15分
手段を分ける

10 個の手段に、3 つの印を付ける

02 | 15分
増えて、失われたもの

教室ぜんぶで書き出して読み合う

03 | 10分
どれで伝えるか

一つの用件を、立場を選んで書く

SECTION 01

手段を分ける

相手は何人か。相手は今そこにいるか

机の上に、封筒・黒電話・新聞・テレビ・携帯端末が輪になって置かれ、真ん中の高校生がどれにしようか迷っている
体験 01

10 個の手段に、3 つの印を付ける

まず上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す。全部に印を付けたら「答え合わせ」。合っていないものは枠が濃くなる。この部品は端末の中だけで動く

1対1 で同時 = 相手も今そこにいる1対1 で時間差 = 相手は後で見る1対多 = 大勢に一度に届く
教師用メモ

進め方(10分) 一人で 5 分。答え合わせのあと、迷ったものを 2 つ聞く。メッセージアプリは両方が正解にしてある。相手が読んでいれば同時、寝ていれば時間差。同じ道具で二つの使われ方をするところがこの回の要。

拾いたい発言 「SNS は 1 対多だけど、返信は 1 対 1」→ そのとおり。新しい手段ほど一つの道具の中で切り替わる。だから相手がどちらのつもりでいるかがずれる。

情報Ⅰ (2) 第1回で扱った同期・非同期、個別・マスの分類を思い出させるが、定義は説明し直さない。

まとめ 01

増えたのは数ではなく、組み合わせの自由

昔手段ごとに使い方が決まっていた。電話は同時、手紙は時間差、新聞とテレビは 1 対多。道具を選べば、伝わり方も決まった
今一つの端末の中に全部入り、同じアプリが 1 対 1 にも 1 対多にもなる。同時にも時間差にもなる。道具では伝わり方が決まらない
だから起きること送る側と受け取る側で、どのつもりかがずれる。すぐ返せると思う人と、後で見ると思う人が同じ画面にいる

手段が増えるとは、選ぶ責任が道具から人へ移るということ。何を使うかは自分が決める

教師用メモ

目標 01。板書は「昔=道具が決める/今=人が決める」の 2 行。節3 の選択につながる。

SECTION 02

増えて、失われたもの

便利になった話だけでは、半分しか見ていない

家の玄関先で、郵便受けから手紙を取り出す手と、同じ場所で画面の通知を見ている手が並んで描かれている
体験 02

手段が増えて、失われたもの

「便利になった」は書かない。代わりに、増えたことでなくなった・減った・やりにくくなったことを一文で書く。家族に聞いた話でもよい

失われたもの
教師用メモ

進め方(12分) 一人で 4 分、読み合いと討議に 8 分。並んだものを「時間」「関係」「表現」の三つに口頭で分ける。分ける作業をクラスでやることが討議になる。

想定回答 考える間 ・ 待つ時間 ・ 会って話す機会 ・ 声の調子や表情 ・ 手書きの字 ・ 断る余地 ・ 忘れられること ・ 近所の人と話す機会。

拾いたい発言 「読んだかどうかが相手に分かるので、返さない自由がなくなった」。技術が増やしたのは選択肢だが、同時に「使わない」という選択を難しくした、という指摘は必ず取り上げる。

まとめ 02

誰でも発信できる時代に、メディアの役割は消えていない

得られたもの誰でも、いつでも、どこからでも、大勢に発信できる。届く速さと範囲が変わった。声を上げにくかった人にも回路ができた
失われたもの考える間、待つ時間、会う機会、返さない自由。表情や声の調子が落ちて、意図が伝わりにくくなった
メディアの役割新聞やテレビの役割は「たくさんの人に届ける」ことだけではない。何を伝えるか選び、事実かどうか確かめ、責任を引き受ける。この役割は、誰でも発信できるようになっても残る

誰でも発信できるということは、選ぶ・確かめる・責任を持つを、発信する一人ひとりが引き受けるということ

教師用メモ

目標 02。設計指針 G2L4(メディアの社会的役割)はここ。情報Ⅰ (1) で扱ったバイアスや情報の確かめ方には触れるだけにして、深追いしない。

SECTION 03

どれで伝えるか

同じ用件でも、選んだ手段で伝わり方が変わる

部室の前で言おうか迷っている高校生と、その頭の中に電話・短い文・直接話す 3 つの場面が浮かんでいる
体験 03

大事な断りを、どれで伝えるか

ずっと続けてきた活動を、都合でやめることになった。世話になった相手に伝える。どれで伝えるかを一つ選び、なぜそれかを書く。正解は一つではない。相手の立場から書けているかを見る

選んだ手段の分かれ方が右上に、理由が右下に出る。理由が相手の側から書けているものを読み上げる

クラスの選び方
選んだ理由
教師用メモ

進め方(8分) 一人で 3 分。分かれたら、少数の側の理由を先に読む。「相手が聞き返せるか」「記録が残るか」「相手の時間を奪うか」の三つが出れば十分。

拾いたい発言 「手段が増えたのに、いちばん重い話は昔のままの手段を選ぶ人が多い」。ここが今日のまとめにつながる。手段は増えたが、置き換わったわけではない。

まとめ 03

新しい手段は、古い手段を消さずに積み重なる

会って話す+手紙+電話+放送+ネットの手段
置き換えではない新しい手段が来ても、古い手段は残る。残る理由がある。重い話・謝る・頼む場面では、相手が聞き返せる手段が選ばれる
選ぶ基準相手は誰か。何人か。今すぐ届く必要があるか。記録が残ってよいか。相手が聞き返せるか。相手の時間を奪わないか
教師用メモ

目標 03。次回は相手が人ではなく機械になる。「相手が聞き返せるか」は、そのまま次回の問いになる。

今日のまとめ

3つの目標を、自分の言葉で確かめる

01
分類 相手の人数と時間のずれ。今は一つの道具が両方になるので、伝わり方を決めるのは道具ではなく人
02
得たもの・失ったもの 速さと範囲を得て、考える間・待つ時間・返さない自由を失った。選ぶ・確かめる・責任を持つは発信する側に移った
03
選ぶ 新しい手段は古い手段を消さない。相手が聞き返せるか、記録が残ってよいかで選ぶ
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01伝える手段を、相手の人数と時間のずれで分類できる
02手段が増えて得られたものと失われたものを、場面で言える
03場面に合う手段を、相手の立場を考えた理由をつけて選べる
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

自分が手段を選ぶとき、これから確かめること

一文でよい。今日の三つの体験のどれかに触れて、自分の行動として書く

みんなの行動
教師用メモ

3 分。次回予告は口頭で: 「次は、伝える相手が人ではなく機械のとき。機械に言われて嫌なことを集める」。