一覧へ 情報Ⅱ (1) 第4回 | 機械との対話
情報Ⅱ (1) 情報社会の進展と情報技術 | 第4回

機械との対話

相手が人でないと分かっていても、言われ方に腹が立つことがある。その正体を見る

50分
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードを入れる(この単元で使い回してよい)。「教師」を押す。節1 は量を出す部品なので、時間を区切って一気に出させる。

投影 節1 の右の欄は、たまってから投影する。少ないうちに映すと出しにくくなる。

時間配分 前回のまとめ・目標 3分 / 節1 機械に言われて嫌なこと 15分 / 節2 どう言われたらよいか 15分 / 節3 機械が代わりに言ってよいこと 10分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 7分

この回の評価(指導要領 解説 (1) ア(イ) イ(イ)「人と機械がコミュニケーションするためのコンテンツや情報デザイン」。設計指針 X3L1 から X3L2 へ、B6L3 の入口。重点は思考・判断・表現。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 人と機械のやりとりが、人どうしのやりとりと何が違うかを説明している(まとめ01)
  • 思考・判断・表現 機械に言われて嫌なことを挙げ、どう言われたらよいかに書き直している(体験01・体験02)
  • 態度 機械が人に代わって言ってよいことの線を、理由をつけて自分で引いている(体験03・ふりかえり)

情報Ⅰ (2) の情報デザインの手法は説明し直さない。ここは「相手が機械のときの配慮」に絞る。

前回のまとめ

選ぶ基準は、相手が聞き返せるかどうか

相手は誰か/何人か/聞き返せるか

前回は、伝える相手が人だった。今日は相手が機械になる。券売機、自動の応答、音声の受け答え、行き先を勧めてくる画面。相手が機械でも、伝わり方の良し悪しはある

機械に言われて嫌なことは、なぜ嫌なのか

教師用メモ

前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。前回の「聞き返せるか」が今日の軸になる。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
人と機械のやりとりが、人どうしと何が違うかを言える
02
機械に言われて嫌なことを、どう言われたらよいかに書き直せる
03
機械が人に代わって言ってよいこと・いけないことの線を、理由をつけて引ける
01 | 15分
言われて嫌なこと

教室ぜんぶで量を出す

02 | 15分
どう言われたらよいか

嫌だった言い方を書き直す

03 | 10分
代わりに言ってよいか

6 つの場面を、全員で選ぶ

SECTION 01

言われて嫌なこと

画面の向こうに人はいなくても、腹は立つ

券売機の前で立ち止まり、少し困った顔で画面を見上げている高校生。画面には赤い枠と大きな注意の印が出ている
体験 01

機械に言われて嫌なことを、量で出す

券売機、案内の画面、自動の応答、音声の受け答え、勧めてくる広告。言われて嫌だったこと、困ったことを短く送る。何度出してもよい。人のアイデアの「便乗」を押すと、その続きとして書ける

0
全員が出した数
0
自分が出した数
0
便乗して生まれた数
出てきた「嫌なこと」
教師用メモ

進め方(12分) 4 分で出せるだけ出す。数を読み上げて競わせてよい。そのあと 6 分で、出てきたものを口頭で四つに分ける(決めつけ/言い方/断れない/理由が分からない)。分ける作業がこの回の討議。

想定回答 エラーとだけ出て理由がない ・ 押す場所が分からない ・ 何度も同じことを聞かれる ・ 途中で戻れない ・ 勝手に好みを決めつけてくる ・ 断る選択肢がない ・ 急かされる ・ 人につないでもらえない ・ やたら明るい口調。

拾いたい発言 「機械なのに、なぜか馬鹿にされた気がする」。人は相手が機械でも人の言葉として受け取る。ここが情報デザインの出発点。

まとめ 01

嫌さの正体は、四つに分かれる

決めつけこちらの事情を知らないまま、こう思っているはずだと扱ってくる。おすすめや自動の分類がこれに当たる
言い方短すぎる、専門の言葉のまま、責める調子。人なら言い直せるが、機械は同じ文を繰り返す
断れない先へ進むしか道がない。同意しないと使えない。戻る手段がない
理由が分からないなぜ止められたのか、なぜそれを勧められたのかが示されない。だから直しようがない

人どうしなら、相手の顔を見て言い直せる。機械はその場で直せない。だから、作るときに先回りして配慮を入れておくしかない

教師用メモ

目標 01。四つの語を板書。節2 の書き直しは、この四つのどれを直したかを言わせると質が上がる。

SECTION 02

どう言われたらよいか

文句で終わらせず、直した形を出す

同じ画面が左右に並び、左は赤い一言だけ、右は絵と短い手順が三つ並んでいて、高校生が右を指している
体験 02

嫌だった言い方を、書き直す

右の欄には、機械が実際に画面に出す文をそのまま書く。「やさしくする」ではなく、何が起きたか・どうすればよいか・断れるかが分かる文にする

言われて嫌だったこと
こう言われたらよい

右に「嫌だった → こう言われたらよい」が並ぶ。直した文が、まとめ01 の四つのどれを直しているかを見る

みんなの書き直し
教師用メモ

進め方(12分) 一人で 5 分、読み合いに 7 分。よい書き直しの共通点を生徒に言わせる。「何が起きたか」「次にどうするか」「取り消せるか」の三つが入っていればよい。

想定回答 「もう一度」→「番号を確かめてから、もう一度押してください」 ・ 「同意しますか」→「同意しない場合はこの機能だけ使えません。ほかは使えます」 ・ 無言の待ち→「あと 20 秒ほどかかります」。

ここが評価の場面(必要な配慮)。人と機械のあいだのデザインという言葉でまとめる。

まとめ 02

人と機械のあいだにも、デザインが要る

何ができるか分かる押せる場所、次に進む道、いま何を待たれているかが、見ただけで分かる
理由を示す止めた理由、勧めた理由を言う。理由が分かれば、人は自分で直せる
取り消せる戻る、やめる、あとで決める。この三つがあると、人は落ち着いて操作できる
断れる同意しない道を残す。断ったときに何が使えなくなるかも書く

機械の言葉を作るのは人。誰かがその文を書いた。書く側に回ったときに何を守るかが、これから問われる

教師用メモ

目標 02。情報Ⅱ (2) コミュニケーションとコンテンツで、実際に作る側に回る。ここはその入口だと伝える。

SECTION 03

代わりに言ってよいか

機械が人に代わって伝えてよいことは、どこまでか

机をはさんで、片側に人、もう片側に小さなスピーカーの機械が置かれ、その間に一本の線が引かれている
体験 03

機械が代わりに言ってよいと思うものを選ぶ

6 つのうち、機械が人に代わって言ってよいと思うものを選ぶ。いくつ選んでもよい。1 つ押すたびに 1 票が送られ、右の棒が伸びる。押し直しはできない

棒がそろったら、上から下へ票が減っていくことを見せる。減り始めるところが、教室が引いた線

クラスが「よい」とした場面
教師用メモ

進め方(8分) 2 分で投票。棒を見て、票が減り始める場所を指し、そこが線だと言う。答えは出さない。少数の側に理由を 2 人聞く。

拾いたい発言 「速さが命のものは機械でよい」「相手が傷つくことは人が言うべき」「機械が言うと、責任の持ち主が消える」。三つ目が X3L の核心なので必ず言葉にする。

この投票は次回以降にも効く。第6回の討論で「責任は誰にあるか」が争点になる。

まとめ 03

線を引くのは、責任を引き受ける人がいるかどうか

速さが要る・数が多い→機械に向く/相手が傷つく・例外がある→人が言う
機械に向くもの速さが要る、数が多い、内容が決まっている、間違えても取り返せる
人が言うべきもの相手が傷つく、例外の事情がある、聞き返しに答える必要がある、あとで責任を問われる
忘れてはいけないこと機械が言っても、その文を書いた人と、機械にやらせると決めた人がいる。責任は消えない
教師用メモ

目標 03。次回は「人の知的活動」へ。今日の「代わりに言う」が、次回の「代わりに判断する」に変わる。

今日のまとめ

3つの目標を、自分の言葉で確かめる

01
嫌さの正体 決めつけ・言い方・断れない・理由が分からない。機械はその場で言い直せないので、先回りして配慮を入れる
02
配慮の四つ 何ができるか分かる・理由を示す・取り消せる・断れる。機械の言葉を書いたのは人
03
線の引き方 速さと数は機械へ、傷つくことと例外は人へ。機械が言っても責任は消えない
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01人と機械のやりとりが、人どうしと何が違うかを言える
02機械に言われて嫌なことを、どう言われたらよいかに書き直せる
03機械が代わりに言ってよいことの線を、理由をつけて引ける
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

自分が機械の言葉を書く側だったら

一文でよい。今日出た四つの配慮のどれかを選び、自分が作る側ならまず何を守るかを書く

みんなが守ること
教師用メモ

3 分。次回予告は口頭で: 「次は、機械が代わりに判断するようになった話。自分が何を任せているかを洗い出す」。