覚える、調べる、計算する、選ぶ。どこまでを機械に渡してきたのか
50分準備(授業前) 教室コードを入れる(この単元で使い回してよい)。「教師」を押す。節2 で数学の確率・統計に触れるので、既習かどうかを事前に確かめておく。
投影 節1 は右の欄がそろってから投影して読み上げる。節2 は分かれ方の棒を先に見せてから、理由を読む。
時間配分 前回のまとめ・目標 3分 / 節1 何を任せているか 15分 / 節2 この判断、任せるか 15分 / 節3 手放したくない判断 10分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 7分
この回の評価(指導要領 解説 (1) ア(ウ)「情報技術の発展が人の知的活動に及ぼす影響」。設計指針 X1L3、I3L2。重点は知識・技能と思考・判断・表現。単元設計は 単元設計のページ)
数学科との連携の場面(解説が (5) で求めているもの)。おすすめが確率で出ていることに触れる。
前回は「代わりに言う」の線を引いた。今日は「代わりに考える」の話。覚える、調べる、計算する、選ぶ。人がやっていた頭の仕事が、どこまで機械に移ったのか
自分は、どの判断をすでに機械に任せているのか
前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。
任せていることと、その結果を対にする
一つの場面で、立場を選んで書く
一つだけ選んで、理由を書く
気づかないうちに渡していたものを、机の上に出す

覚える、調べる、計算する、道を選ぶ、次に何を見るかを選ぶ。自分が機械に任せていることを一つ。次に、任せた結果どうなったかを、よい面でも悪い面でも書く
右に「任せていること → その結果」が並ぶ。四つ(覚える・調べる・計算する・選ぶ)のどれかを言いながら読む
進め方(12分) 一人で 5 分、読み合いに 7 分。並んだものを四つに分けながら読む。「選ぶ」に入るものが少なければ、こちらから「次に見る動画を選んでいるのは誰か」と問う。
想定回答 電話番号や漢字を覚えること ・ 道順を決めること ・ 計算 ・ 綴りの確認 ・ 次に見る動画 ・ 買うものの候補 ・ 予定を思い出すこと ・ 文章の下書き。
拾いたい発言 「任せたと思っていなかった」。おすすめは自分で選んだつもりになりやすい。ここが節2 につながる。
| 機械に移ったもの | 覚えること、探すこと、計算すること、候補を並べて順位をつけること。速さと量では人が勝てない |
| 人の側に残ったもの | 何を問うかを決めること。答えを受け取って自分で決めること。決めた結果の責任を引き受けること |
| 変わったこと | 道具が変われば考え方も変わる。紙の辞書を引いていたころは、隣の語も目に入った。検索は、探した語だけを返す |
任せること自体は悪くない。問題は、任せていることに気づかないまま任せること
目標 01。「問いを立てる・決める・責任を持つ」の三つを板書。第7回の展望で、人が担う役割を書くときにここへ戻る。
おすすめは、確率で並べられた候補にすぎない

これまでの成績と、似た人がどこへ進んだかから、機械が進路の候補を順に並べて出してきた。どこまで任せるかを一つ選び、その根拠を書く。正解は一つではない
分かれ方が右上、根拠が右下に出る。「似た人のデータ」と「自分」の違いに触れている根拠を読み上げる
進め方(12分) 一人で 4 分、討議に 8 分。分かれたら、両端の立場から 2 人ずつ理由を聞く。
数学とつなぐ(3分) おすすめの順位は、似た条件の人の記録から「その人がそれを選ぶ確からしさ」を計算して並べたもの。数学で扱った確率・統計の考え方がそのまま使われている。大きい割合でも外れる人はいる、という点を確かめる。
拾いたい発言 「機械はうまくいった人の記録しか持っていない」「珍しい進路は候補に出てこない」。データにないものは勧められない、という限界が出れば十分。
| どう作られるか | 似た条件の人が過去に何を選んだかを集め、その人がそれを選ぶ確からしさを計算して順に並べる。数学の確率・統計の考え方がそのまま使われている |
| だから外れる | 割合が大きくても外れる人はいる。データにない選び方は候補に出てこない。過去の偏りは、そのまま順位に写る |
| 任せ方は三段 | そのとおりにする / 候補として見て自分で決める / 見ない。同じ道具でも、任せ方でその後が変わる |
機械が出すのは候補であって、決定ではない。決めているのは、それを採る自分
目標 02。データサイエンスの中身は情報Ⅱ (3) で扱う。ここでは「過去の記録から確からしさを出している」までで止める。
全部渡してしまわないために、一つだけ残す

機械がどれだけ賢くなっても、これは自分で決めたいという判断を一つ。判断と理由をつなげて一文で書く
進め方(8分) 一人で 3 分。並んだものを 4〜5 個読み上げ、共通する言葉を探させる。「自分にしか分からない」「あとで後悔したくない」「責任を持ちたい」が出る。
ここで出たものは、第6回の討論と第7回の展望で「人が担うべき役割」として再登場する。授業後に回答を保存しておく。
| 知的活動の変化 | 覚える量より、どこを探すかを知っていることが役に立つようになった。計算の速さより、何を計算させるかを決める力が要るようになった |
| 気をつけること | 任せると、その力は使わなくなる。使わない力は落ちる。落ちてもよい力と、落ちては困る力を自分で分ける |
| 残すべきもの | 問いを立てる、決める、責任を引き受ける。この三つを手放すと、機械の出した候補がそのまま自分の人生になる |
目標 03。次回は同じ話を社会の規模でやる。仕事を AI に任せるかどうかを、立場を割り当てて討論する。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。今日の三つの体験のどれかに触れて、自分の行動として書く
3 分。次回予告は口頭で: 「次は討論。AI に仕事を任せるかどうかを、賛成と反対の立場を割り当てて議論する。班を作っておく」。