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情報Ⅱ (1) 情報社会の進展と情報技術 | 第6回

AI に任せる仕事と任せない仕事

賛成と反対を、割り当てられた立場で本気で戦わせる。そのあと、自分の考えを決め直す

50分 班で行う
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードを入れる(この単元で使い回してよい)。「教師」を押す。班は 4 人で、賛成 2 人・反対 2 人に割り当てる。自分の意見と違う立場に当たることを先に伝えておく。付せんか紙を各班に 1 枚配ると、討論中のメモに使える。

投影 節1 の分かれ方の棒は、討論のあいだも消さずに残しておく。節3 の棒と並べて比べる。

時間配分 前回のまとめ・目標 3分 / 節1 討論の前の立場 15分 / 節2 立場を割り当てた討論 15分 / 節3 討論の後の立場 10分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 7分

この回の評価(指導要領 解説 (1) イ(ウ)「人工知能の導入と普及による雇用の影響について、賛否両論の立場について討論」。設計指針 X3L2・X3L3(AI の信頼性・公平性・透明性・個人情報保護・責任と、AI に指示する人間の役割)、H3L4。重点は思考・判断・表現と態度。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 AI の導入が雇用に与える影響について、賛成側と反対側の根拠を両方挙げている(まとめ01・まとめ02)
  • 思考・判断・表現 割り当てられた立場で、根拠をつけて主張している(体験02)
  • 態度 討論の後に自分の立場を決め直し、変わった理由・変わらなかった理由を書いている(体験03・ふりかえり)

正解を示さない。教師が結論を言うと、この回の目的が消える。

前回のまとめ

問いを立てる、決める、責任を持つ

覚える・調べる・計算する・選ぶ→機械へ/問いを立てる・決める・責任を持つ→人に残る

前回は、自分ひとりの判断の話だった。今日は同じ問いを、社会の規模で扱う。工場、店、事務、運転、医療。仕事を AI に任せるかどうかを、立場を割り当てて討論する

AI が仕事をするようになると、人は何をするのか

教師用メモ

前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。前回の「手放したくない判断」を 2 つ読み上げてから入ると、討論に熱が入る。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
AI の導入が雇用に与える影響を、賛成と反対の両方の根拠で言える
02
割り当てられた立場で、根拠をつけて主張できる
03
討論のあとで自分の考えを決め直し、変わった理由・変わらない理由を言える

※ AI(エーアイ)= 人工知能。人がやっていた「見分ける・訳す・答えを作る」を、大量のデータから学んだコンピュータにやらせる技術。雇用 = 人をやとって働いてもらうこと

01 | 15分
討論の前の立場

いまの自分の立場と理由を出す

02 | 15分
割り当てられた立場で

班で討論し、相手の強い一言を集める

03 | 10分
討論の後の立場

もう一度選び、前の棒と比べる

SECTION 01

討論の前の立場

議論を始める前に、いまの自分を記録しておく

教室の真ん中に一本の線が引かれ、生徒たちが左右どちらかに立ち、まだ迷って線の上にいる生徒も数人いる
体験 01

いまの自分の立場と、その理由

ある会社が、これまで人がやってきた受付と事務の仕事を AI に置き換えると発表した。いまの自分の立場を一つ選び、理由を書く。あとで討論をしてから、もう一度選び直す

分かれ方の棒はこのあとも残す。節3 の棒と並べて、動いたかどうかを見る

討論の前の分かれ方
その理由
教師用メモ

進め方(8分) 一人で 3 分。棒が出たら人数だけ読み上げ、理由は 2 つだけ読む。ここで議論を始めない。議論は節2 で。

この棒の写真を撮っておくか、この枚を残したまま節3 へ行くと比べやすい。

まとめ 01

この問題の論点は、四つに整理できる

仕事の増減なくなる仕事があるのは確か。一方で、機械を作る・直す・使い方を教える仕事が生まれる。増える仕事と減る仕事は同じ人には来ない
誰が得をするか費用が下がるのは会社。安くなるのは客。困るのはその仕事をしていた人。得と損の行き先が違う
責任AI が間違えたとき、誰が責任を取るのか。動かすと決めた人か、作った人か、使った人か
公平さ学習に使った過去の記録が偏っていれば、判断も偏る。偏りは目に見えないところで働く

この四つは、賛成側も反対側も使える。どの論点を重く見るかで立場が分かれる

教師用メモ

目標 01。この四つを板書して、討論中に指させる。設計指針 X3L2・X3L3 の「信頼性・公平性・透明性・責任」がここに対応する。

SECTION 02

割り当てられた立場で

自分の意見でない側に立って、本気で言う

机を向かい合わせた 4 人の班。二人ずつが向き合い、机の上に賛成と反対の札が置かれている
体験 02

相手の側から出た、いちばん強い一言

討論のあいだ、または終わったあとに送る。書くのは自分の主張ではなく、相手の側から出た一言。いちばん強いと思ったもの、答えにくかったものを短く。何度出してもよい。「便乗」を押すと、その続きとして書ける

0
集まった一言
0
自分が出した数
0
便乗して生まれた数
相手の側の強い一言
教師用メモ

進め方(12分) 班で討論 8 分(賛成 2 分 → 反対 2 分 → 自由に 4 分)。そのあと 4 分で、相手側から出た強い一言を送る。自分の主張を書いてしまう生徒がいたら、その場で言い直させる。

賛成側に渡す材料 単純で危険な作業から人を外せる ・ 人手が足りない現場が回る ・ 費用が下がって値段が下がる ・ 新しい仕事が生まれる ・ 24 時間対応できる。

反対側に渡す材料 職を失った人がすぐ次の仕事に就けるとは限らない ・ 間違えたときの責任があいまい ・ 学習データの偏りで不公平が起きる ・ 相手が人でないと困る場面がある ・ 決め方が外から見えない。

ねらい 設計指針 G4L3(自分の望みと違う発言でも相手の立場を理解する)。相手の一言を書き取れたことをその場でほめる。

まとめ 02

賛否のどちらにも、根拠がある

任せる側の根拠

危険な作業から人を外せる。人手不足の現場が回る。費用が下がる。24 時間対応できる。人にしかできない仕事に人を回せる

任せない側の根拠

職を失った人が次の仕事に就けるとは限らない。責任の持ち主があいまいになる。学習の偏りが不公平を生む。決め方が外から見えない

どちらも正しい。だから世の中は全部任せるか、全部やめるかではなく、条件を決める方向へ進む。誰が責任を持つか、どこまで機械に決めさせるか、外から確かめられるか

教師用メモ

目標 02。教師が結論を言わない。「条件を決める方向」まで示して止める。第7回の展望で、生徒が自分の条件を書く。

SECTION 03

討論の後の立場

動いてよい。動いた理由を言えることが力になる

教室の線の上で、何人かが反対側へ足を踏み出している。動いた生徒も動かない生徒も、隣の人と話している
体験 03

もう一度、自分の立場を選ぶ

討論を終えたいまの立場を一つ選ぶ。押せるのは 1 回だけ。前の枚の棒と並べて、教室ぜんぶがどう動いたかを見る。立場が変わっても、変わらなくてもよい

前の棒と比べる。「条件つきで賛成」が増えていれば、討論が効いた印

討論の後の分かれ方
教師用メモ

進め方(8分) 1 分で投票。前の枚に戻って棒を並べて見せる。動いた生徒に「何を聞いて動いたか」を 2 人聞く。動かなかった生徒にも「なぜ動かなかったか」を 1 人聞く。動かないことも判断だと言う。

ここが評価の場面(立場を変えた後の意見)。ふりかえりと合わせて態度の評価に使う。

まとめ 03

立場は変えてよい | 変えた理由が言えるかどうかが力

討論の目的勝つことではなく、相手の根拠を自分の中に入れて、自分の考えを作り直すこと
変わった人どの一言で変わったかを言えるようにする。それが自分の判断の根拠になる
変わらなかった人相手の根拠を聞いたうえで変わらなかったのなら、それは強い。何を聞いても揺るがなかった理由を言えるようにする
次につながることここで気になった領域が、第7回の展望のテーマになる。情報Ⅱ の最後の単元で行う探究のテーマ候補にもなる
教師用メモ

目標 03。次回は班で 10 年後を展望する。今日の討論で気になった領域を各自メモさせておく。

今日のまとめ

3つの目標を、自分の言葉で確かめる

01
四つの論点 仕事の増減・誰が得をするか・責任・公平さ。どれを重く見るかで立場が分かれる
02
賛否の根拠 どちらにも根拠がある。だから世の中は全部か無かではなく、条件を決める方向へ進む
03
決め直す 変わってもよい。変わった理由、変わらなかった理由を言えることが力
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01AI と雇用の関係を、賛成と反対の両方の根拠で言える
02割り当てられた立場で、根拠をつけて主張できた
03討論のあとで考えを決め直し、その理由を言える
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

自分の立場は動いたか、動かなかったか

一文でよい。動いたなら、どの一言で動いたか。動かなかったなら、何を聞いても揺るがなかった理由を書く

動いた理由・動かなかった理由
教師用メモ

3 分。次回予告は口頭で: 「次の 2 回が単元末の課題。班で領域を一つ選び、10 年後を展望して提案を出す。今日気になった領域を覚えておく」。