賛成と反対を、割り当てられた立場で本気で戦わせる。そのあと、自分の考えを決め直す
50分 班で行う準備(授業前) 教室コードを入れる(この単元で使い回してよい)。「教師」を押す。班は 4 人で、賛成 2 人・反対 2 人に割り当てる。自分の意見と違う立場に当たることを先に伝えておく。付せんか紙を各班に 1 枚配ると、討論中のメモに使える。
投影 節1 の分かれ方の棒は、討論のあいだも消さずに残しておく。節3 の棒と並べて比べる。
時間配分 前回のまとめ・目標 3分 / 節1 討論の前の立場 15分 / 節2 立場を割り当てた討論 15分 / 節3 討論の後の立場 10分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 7分
この回の評価(指導要領 解説 (1) イ(ウ)「人工知能の導入と普及による雇用の影響について、賛否両論の立場について討論」。設計指針 X3L2・X3L3(AI の信頼性・公平性・透明性・個人情報保護・責任と、AI に指示する人間の役割)、H3L4。重点は思考・判断・表現と態度。単元設計は 単元設計のページ)
正解を示さない。教師が結論を言うと、この回の目的が消える。
前回は、自分ひとりの判断の話だった。今日は同じ問いを、社会の規模で扱う。工場、店、事務、運転、医療。仕事を AI に任せるかどうかを、立場を割り当てて討論する
AI が仕事をするようになると、人は何をするのか
前回の自己評価で「まだ」が多かった目標があれば、ここで 2 分拾う。前回の「手放したくない判断」を 2 つ読み上げてから入ると、討論に熱が入る。
※ AI(エーアイ)= 人工知能。人がやっていた「見分ける・訳す・答えを作る」を、大量のデータから学んだコンピュータにやらせる技術。雇用 = 人をやとって働いてもらうこと
いまの自分の立場と理由を出す
班で討論し、相手の強い一言を集める
もう一度選び、前の棒と比べる
議論を始める前に、いまの自分を記録しておく

ある会社が、これまで人がやってきた受付と事務の仕事を AI に置き換えると発表した。いまの自分の立場を一つ選び、理由を書く。あとで討論をしてから、もう一度選び直す
分かれ方の棒はこのあとも残す。節3 の棒と並べて、動いたかどうかを見る
進め方(8分) 一人で 3 分。棒が出たら人数だけ読み上げ、理由は 2 つだけ読む。ここで議論を始めない。議論は節2 で。
この棒の写真を撮っておくか、この枚を残したまま節3 へ行くと比べやすい。
| 仕事の増減 | なくなる仕事があるのは確か。一方で、機械を作る・直す・使い方を教える仕事が生まれる。増える仕事と減る仕事は同じ人には来ない |
| 誰が得をするか | 費用が下がるのは会社。安くなるのは客。困るのはその仕事をしていた人。得と損の行き先が違う |
| 責任 | AI が間違えたとき、誰が責任を取るのか。動かすと決めた人か、作った人か、使った人か |
| 公平さ | 学習に使った過去の記録が偏っていれば、判断も偏る。偏りは目に見えないところで働く |
この四つは、賛成側も反対側も使える。どの論点を重く見るかで立場が分かれる
目標 01。この四つを板書して、討論中に指させる。設計指針 X3L2・X3L3 の「信頼性・公平性・透明性・責任」がここに対応する。
自分の意見でない側に立って、本気で言う

討論のあいだ、または終わったあとに送る。書くのは自分の主張ではなく、相手の側から出た一言。いちばん強いと思ったもの、答えにくかったものを短く。何度出してもよい。「便乗」を押すと、その続きとして書ける
進め方(12分) 班で討論 8 分(賛成 2 分 → 反対 2 分 → 自由に 4 分)。そのあと 4 分で、相手側から出た強い一言を送る。自分の主張を書いてしまう生徒がいたら、その場で言い直させる。
賛成側に渡す材料 単純で危険な作業から人を外せる ・ 人手が足りない現場が回る ・ 費用が下がって値段が下がる ・ 新しい仕事が生まれる ・ 24 時間対応できる。
反対側に渡す材料 職を失った人がすぐ次の仕事に就けるとは限らない ・ 間違えたときの責任があいまい ・ 学習データの偏りで不公平が起きる ・ 相手が人でないと困る場面がある ・ 決め方が外から見えない。
ねらい 設計指針 G4L3(自分の望みと違う発言でも相手の立場を理解する)。相手の一言を書き取れたことをその場でほめる。
危険な作業から人を外せる。人手不足の現場が回る。費用が下がる。24 時間対応できる。人にしかできない仕事に人を回せる
職を失った人が次の仕事に就けるとは限らない。責任の持ち主があいまいになる。学習の偏りが不公平を生む。決め方が外から見えない
どちらも正しい。だから世の中は全部任せるか、全部やめるかではなく、条件を決める方向へ進む。誰が責任を持つか、どこまで機械に決めさせるか、外から確かめられるか
目標 02。教師が結論を言わない。「条件を決める方向」まで示して止める。第7回の展望で、生徒が自分の条件を書く。
動いてよい。動いた理由を言えることが力になる

討論を終えたいまの立場を一つ選ぶ。押せるのは 1 回だけ。前の枚の棒と並べて、教室ぜんぶがどう動いたかを見る。立場が変わっても、変わらなくてもよい
前の棒と比べる。「条件つきで賛成」が増えていれば、討論が効いた印
進め方(8分) 1 分で投票。前の枚に戻って棒を並べて見せる。動いた生徒に「何を聞いて動いたか」を 2 人聞く。動かなかった生徒にも「なぜ動かなかったか」を 1 人聞く。動かないことも判断だと言う。
ここが評価の場面(立場を変えた後の意見)。ふりかえりと合わせて態度の評価に使う。
| 討論の目的 | 勝つことではなく、相手の根拠を自分の中に入れて、自分の考えを作り直すこと |
| 変わった人 | どの一言で変わったかを言えるようにする。それが自分の判断の根拠になる |
| 変わらなかった人 | 相手の根拠を聞いたうえで変わらなかったのなら、それは強い。何を聞いても揺るがなかった理由を言えるようにする |
| 次につながること | ここで気になった領域が、第7回の展望のテーマになる。情報Ⅱ の最後の単元で行う探究のテーマ候補にもなる |
目標 03。次回は班で 10 年後を展望する。今日の討論で気になった領域を各自メモさせておく。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る。正直に選ぶほど、次回の授業が自分に合う
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。動いたなら、どの一言で動いたか。動かなかったなら、何を聞いても揺るがなかった理由を書く
3 分。次回予告は口頭で: 「次の 2 回が単元末の課題。班で領域を一つ選び、10 年後を展望して提案を出す。今日気になった領域を覚えておく」。