ずれの合計をいちばん小さくする直線を手で探す
50分 | キーボードがあるとよい準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a07)。「教師」を押す。体験 01 は端末の中だけで動く。つまみは指でもマウスでも動くが、キーボードの矢印キーだと 1 目盛りずつ動かせるので細かく合わせやすい。板書に「クラスの最小」を書く欄を作っておく。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は最初に投影でつまみを大きく動かし、合計の数が動くことを全員に見せてから各自にやらせる。統計ソフトの操作は教えない。
時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 ずれを、数にする 22分 / 節2 クラスでいちばん小さい値 13分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分
数学科との重なり 数学Ⅰ・Ⅱ の一次関数と最小値、数学Ⅰ「データの分析」の回帰直線と重なる。式を立てて解く所は数学に任せる。ここでは「評価する値を決めて、それを小さくするように選び直す」という考え方に時間を使う。
この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) ア(イ) イ(イ)。[解説]「データに基づく現象のモデル化と処理」。[設計指針 第2版]C4L2「モデルの上で系統的に選択肢を列挙したり評価値を改良したりして最適化が行なえる」(高選)。単元設計は 単元設計のページ)
前回の 15 人の図に、今日は直線を引く。引けば、点のない所の値も言えるようになる。ただし「よい直線」を決めるには、よさを数で表す必要がある
「いちばんよく合う直線」は、何で決まるのか
問いに挙手(見た目/計算/決められない)。「見た目で決める」を否定しない。体験 01 で、見た目で引いた直線と数がいちばん小さい直線がずれることを見せる。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
つまみで探す
全員の数を並べる
よさを数にすれば選び直せる

前回と同じ 15 人。傾きと切片のつまみを動かすと、直線が動く。点から直線までの縦の線が「ずれ」。その二乗を全部足したものが「ずれの合計」。この数をいちばん小さくするのが今日の作業
※ 傾き=通学時間が 1 分増えたときに、直線の上で睡眠時間が動く量。切片=通学時間が 0 分のときの直線の高さ。つまみを押してから矢印キーで 1 目盛りずつ動かせる
進め方(20分) ①投影でつまみを大きく動かし、合計が大きく変わることを見せる(3分) ②各自で探す。片方を止めてもう片方だけ動かすことを助言する(10分) ③いちばん小さかった値を board に書き出す(4分) ④「なぜ二乗するのか」を問う(3分)。
二乗する理由 上にずれた点と下にずれた点をそのまま足すと打ち消し合って 0 に近づき、ひどい直線でも小さく見える。二乗すればどちらも正になり、大きなずれほど強く効く。「絶対値で足す」でもよいが、二乗のほうが計算で扱いやすい(そこは数学で扱う)。
答え このつまみの範囲で最小になるのは 傾き −0.036、切片 7.7、ずれの合計 2.90。式で解いた値は 傾き −0.035、切片 7.65、合計 2.89 でほぼ同じ。手で探しても、式で解いても、同じ所に来る。
探し方を言語化させる 「切片を止めて傾きだけ動かし、いちばん小さい所で止める。次に傾きを止めて切片を動かす。これを繰り返す」。これが最適化の基本の形(設計指針 C4L2)。目標 01・02。
| ずれ | 実際の値 − 直線が言う値。上にずれれば+、下にずれれば− |
| なぜ二乗 | そのまま足すと+と−が打ち消し合う。二乗すればどちらも正になり、大きなずれほど強く効く |
| ずれの合計 | 二乗したものを全部足した数。小さいほど、直線が点に近い。この数が「よさ」 |
| 探し方 | 片方を止めて、もう片方を動かす。いちばん小さい所で止めて、次はもう片方。これを繰り返す |
※ ずれの合計をいちばん小さくする直線を求めるやり方を最小二乗法という。式で一気に解く方法は数学で扱う
「よさを数にすると、選び直せる」がこの回の核。第9回の評価指標は、この「よさの数」を目的に合わせて選び直す話になる。
全員の数を並べると、同じ所に集まる

節 1 で自分がいちばん小さくできた傾き・切片と、そのときのずれの合計を送る。左に「傾き と 切片」、右に「ずれの合計」。全員分が並んだら、いちばん小さい人の値をクラスの答えにする
全員の「傾きと切片 → ずれの合計」が右に並ぶ。いちばん小さい値を board に書き、その傾きと切片を読み上げる
※ 送ったあと、自分の直線で「通学 45 分の人」を予測してみる。節 1 の画面に、予測した値と実際の値(5.6 時間)が出ている
進め方(12分) 送る 4 分。並んだ値を小さい順に読む 4 分。いちばん小さい直線をクラスの答えにして板書 2 分。予測の確認 2 分。
気づかせること ①ばらばらに探したのに、ほとんどの人が同じ辺りに来る。②ずれの合計が近くても、傾きと切片は少し違う。③合計が 2.90 より小さい値は出ない(この範囲では、そこが最小)。
予測の押さえ 通学 45 分 → 直線が言う値は約 6.08 時間。実際は 5.6 時間。0.48 時間ずれている。直線は 1 人ひとりを当てるものではなく、全体の傾向を表す。
範囲 この 15 人の通学時間は 8 分から 70 分。通学 120 分の人を、この直線で予測してはいけない(前回の「点の外は言えない」)。目標 03。
| 予測に使う | 通学時間を直線に入れると、睡眠時間が出る。これがモデルの最も簡単な形 |
| 当たらない | 1 人ひとりは当たらない。通学 45 分の人は、予測 6.08 に対して実際 5.6。ずれるのが普通 |
| 範囲の中だけ | 点があるのは 8 分〜70 分。その外はこの直線では言えない |
| 形が合っているか | 点が曲がって並んでいるなら、直線を当てること自体が合っていない(前回の組 B) |
※ 「ずれの合計 2.90」は小さいのか大きいのか。この数だけでは分からない。第9回で、当たり方を測る指標を扱う
最後の一行が第9回への渡し。ここで「小さければよいのでは」と聞く生徒が出たら、「データが 30 人になったら合計は増える。人数が違うと比べられない」と返して、次回につなぐ。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。今日の直線を「使ってはいけない場面」を 1 つ書く
3 分。「範囲の外」「ほかの学年」「1 人の予測に使う」「点が曲がっているとき」が出る。4 つとも板書に残す。
次回は「重回帰による予測」。通学時間だけでは説明しきれない。使う変数を増やすと何が起きるかを、実際の数で見る。