説明に使う列を増やすと、関係のない列でもずれは必ず小さくなる
50分 | キーボードがあるとよい準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a08)。「教師」を押す。体験 01 は端末の中だけで動く。体験 02 は Python を動かす部品を読み込むので、ネットにつながる必要がある(つながらない場合は、式を紙で計算させても同じ授業になる)。実際に配れる公開データがある場合は、同じ手順を最後に当てさせるとよい。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は、予想を選ばせてから「日直の出席番号」を押させる。教師が先に押して見せない。
時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 列を増やすと、ずれはどうなるか 20分 / 節2 作った式で、予測する 15分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分
数学科との重なり 数学Ⅰ「データの分析」の回帰、数学B の統計と重なる。係数を求める式の導出はここではしない([解説]も「統計ソフトウェア等をあえて用いずに重回帰分析等のモデルを作成」する活動を想定している)。ここでは「変数を選ぶ」「増やした結果を読む」に時間を使う。
この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) イ(イ)。[解説]の学習活動「重回帰分析等のモデルを作成し、その予測モデルに関する評価指標を調べ……改善が必要であるかを議論する」。[設計指針 第2版]D5L2「実データに対する重回帰・時系列・移動平均・クラスタなどの分析ができる」(高選)。単元設計は 単元設計のページ)
前回のモデルは、説明に使う列が1 つだった。1 つでは説明しきれないものが多い。売店の売上は、気温だけでは決まらない。列を増やすとどうなるか
列を増やせば、予測はよくなるのか
問いに挙手(よくなる/変わらない/悪くなる)。ここでは答えない。体験 01 で「必ず小さくなる」ことを見せ、それが「よくなった」と同じではないことに気づかせる。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
14 日分で確かめる
数を入れて動かす
増やせば下がるが、下がったから正しいとは言えない

ある売店の 14 日分。まず下の予想を 1 つ選ぶ。次に上のボタンで、売れた本数の説明に使う列を選ぶ(何個でも)。選ぶたびに式が作り直され、右の 2 つの数が変わる
※ 式の中の数は係数。「その列が 1 増えると、売れた本数が何本動くか」を表す。「大会の有無」はある日を 1、ない日を 0 にした列(名前の列は、こうして数にする)
進め方(18分) ①気温だけを選ばせる(2分) ②降水量を足す(3分) ③大会の有無を足す(3分) ④ここで予想を選ばせる(2分) ⑤日直の出席番号を足す(3分) ⑥書いて送る(5分)。
数の答え 気温だけ: 平均のずれ 14.28 本/合計 4116。+降水量: 8.86/1556。+大会の有無: 2.61/114。+日直の出席番号: 2.52/106。
山場 売上と何の関係もない「日直の出席番号」を足しても、ずれは小さくなる。列を増やせば必ず下がる。だから「下がった=よいモデルになった」とは言えない。ここが第9回の入口。
係数を読ませる 3 列の式で、気温の係数は約 5.5 で、「気温が 1 ℃ 上がると約 5.5 本多く売れる」。大会の係数は約 24 で、「大会がある日は約 24 本多い」。日直の番号の係数は −0.1 で、ほとんど 0。係数がほぼ 0 の列は、効いていない。
もう一つ起きること 列が増えるほど式が長くなり、人に説明しにくくなる。第12回で「変数の絞り込み」を扱う。目標 01・02。
| 重回帰 | 説明に使う列を 2 つ以上にして予測する形。式は「切片 + 係数×列 + 係数×列 …」 |
| 係数 | その列が 1 増えたときに、予測が何だけ動くか。ほぼ 0 の列は効いていない |
| 名前の列 | そのままでは式に入らない。あり=1、なし=0 の列にして入れる |
| 増やすと得られる | 手元のデータへのずれが小さくなる。効いている要因が係数で見える |
| 増やすと起きる | 関係のない列でもずれは下がる。式が長くなり、説明しにくくなる |
※ では、よくなったかどうかは何で決めるのか。次回、その物差しを扱う
ここで答えを言わない。「手元のデータで測っているから下がる」という言い方だけ置いて、第9回につなぐ。式の導出は数学に任せる。
数を入れると値が返ってくる

※ この式は体験 01 で作ったもの。kion が気温(℃)、ame が降水量(mm)、taikai が大会の有無(ある=1、ない=0)。返る数は、その日に売れる本数の予測。書いたものはこの端末に残り、どこにも送られない
進め方(13分) 実行 3 分。②③ を各自 6 分。④ を全体で 4 分。
結果 yosoku(30,0,0)=197.2、yosoku(30,0,1)=221.5(差 24.3 = 大会の係数)、yosoku(20,20,0)=116.2。気温を 1 ℃ 上げると 5.5 本ずつ増える。
④の押さえ yosoku(45,0,0)=279.7 と、数は返ってくる。しかしもとの 14 日の気温は 18〜33 ℃。45 ℃ の日は 1 日もない。式は範囲の外でも数を返すが、その数は根拠がない。第6・7回の「点の外は言えない」と同じこと。機械は止めてくれないので、止めるのは人になる。
つまずき 実行しても何も出ない場合は、ネットにつながっているかを確かめる。つながらない環境では、式を紙に書いて電卓で同じ 4 つを計算させれば同じ授業になる。目標 03。
| 使い方 | 列の値を入れると、予測が返る。これが予測モデル |
| 読み方 | 係数を見れば、何がどれだけ効いているかが分かる。大会の日は約 24 本多い |
| 止めない | 気温 45 ℃ を入れても数は返る。もとのデータにない範囲では、その数に根拠がない |
| 次に測る | このモデルが当たっているかどうかは、まだ測っていない。次回、指標で測る |
※ 使った 14 日は、ある 1 つの売店の、ある期間のもの。別の店・別の季節にそのまま当てはめられない
第9回では、この 14 日で作ったモデルをそのまま対象にする([解説]内容の取扱い (3)「アの(イ)及びイの(イ)で行ったモデル化や処理、解釈・表現の結果を受けて行う」)。今日の式を残しておくよう伝える。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。「ずれが下がったから足す」以外の決め手を書く
3 分。「係数がほぼ 0」「理由が説明できる列だけ」「集めるのが大変な列は入れない」が出る。板書に残し、第12回(変数を減らす)で戻る。
次回は「モデルの評価指標」。今日作ったモデルを対象にして、当たり方を測る物差しを扱う。