「ずれの合計 2.89」は、大きいのか小さいのか
50分 | キーボードがあるとよい準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a09)。「教師」を押す。この回は第7回で引いた直線と、第8回で作った重回帰のモデルをそのまま測る回。第7回・第8回のまとめの数(2.89/2.61)を板書に書いておくと早い。体験 01 は端末の中だけで動く。体験 02 は Python を動かす部品を読み込むので、ネットにつながる必要がある(つながらない場合は、画面の数を電卓で確かめても同じ授業になる)。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は予想を選ばせてから「30 人」を押させる。教師が先に押して見せない。
時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 ずれを、比べられる数に直す 20分 / 節2 重回帰のモデルを測る 15分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分
数学科との重なり 数学Ⅰ「データの分析」の平均・分散・相関、数学B の統計と重なる。決定係数の式の導出はここではしない。ここでは「何と何を比べた割合なのか」を言葉で言えるところまでにする。
この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) ア(ウ)。[解説]「モデルの評価」。内容の取扱い (3)「アの(ウ)及びイの(ウ)については、アの(イ)及びイの(イ)で行ったモデル化や処理、解釈・表現の結果を受けて行う」。[設計指針 第2版]D5L2「実データに対する重回帰・時系列・移動平均・クラスタなどの分析ができる」(高選)、K2L2「結果を評価し、必要なら反復改善を行える」。単元設計は 単元設計のページ)
売上と何の関係もない「日直の出席番号」を足しても、ずれは下がった。下がったことだけでは、よくなったとは言えない。第7回の直線も同じで、「ずれの合計 2.89」という数だけを見せられても、大きいのか小さいのか分からない
モデルのよさは、何で測るのか
問いに挙手(ずれの合計/当たった回数/決められない)。ここでは答えない。今日は第7回・第8回で自分たちが作ったモデルを、そのまま測る回だと伝える。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
第7回の直線を測る
第8回の 2 つの式で
合計のままでは、件数の多いほうが必ず負ける

第7回と同じ 15 人。直線は 睡眠時間 = 7.65 − 0.035 × 通学時間(前回みんなで探して行き着いた直線)。まず下の予想を 1 つ選ぶ。次に上のボタンで、予測のしかたと人数を切り替える
※ 1 人あたりの平均のずれ=ずれの絶対値を足して人数で割った数。二乗平均平方根=ずれの合計を人数で割ってから平方根をとった数。どちらも「1 人あたり何時間ずれるか」を表すが、二乗平均平方根のほうが大きく外した点に強く反応する
進め方(18分) ①「直線で予測」のまま表を読ませ、いちばん大きくずれた人を探させる(3分) ②「いつも平均で予測」に切り替え、4 つの数を比べる(4分) ③ここで予想を選ばせる(2分) ④「30 人にする」を押す(3分) ⑤書いて送る(6分)。
数の答え 直線・15 人: 合計 2.89/平均のずれ 0.41/二乗平均平方根 0.44/決定係数 0.676。いつも平均(6.45 時間)で予測: 合計 8.92/平均のずれ 0.64/二乗平均平方根 0.77/決定係数 0.000。直線・30 人: 合計 5.78(2 倍)/平均のずれ 0.41(同じ)/二乗平均平方根 0.44(同じ)/決定係数 0.676(同じ)。
山場 人数が変われば合計は変わる。だから第7回の 2.89 と、人数の違う別のデータの合計は比べられない。件数で割った数なら比べられる。これが「指標」を使う理由。
決定係数の読み方 「何も知らないときは、全員に平均の 6.45 時間と答えるしかない。そのときのずれの合計が 8.92。直線を使うとそれが 2.89 まで減った。減った割合 0.68 が決定係数」。1 に近いほど、平均で答えるより説明できている。いつも平均で予測すると必ず 0 になることを画面で見せる。
いちばん大きなずれ 通学 22 分の人(ずれ −0.68 時間)。平均のずれ 0.41 に対して、この 1 人だけで倍近い。指標は 1 つの数にまとめるので、こういう人は数の中に隠れる(第6回のまとめ 01 と同じこと)。目標 01・02。
| 残差 | 実際の値 − モデルが言う値。1 つひとつのずれ。表にすると、どこで外したかが見える |
| ずれの合計 | 残差を二乗して全部足した数。件数が増えれば必ず増えるので、件数の違うものとは比べられない |
| 平均のずれ | 件数で割った数。「1 件あたり何だけ外すか」。単位がもとのデータと同じなので、いちばん説明しやすい |
| 二乗平均平方根 | 二乗してから平均し、平方根をとった数。大きく外した点に強く反応する。大外れを嫌う場面で使う |
| 決定係数 | 「いつも平均で答えたときのずれ」を 1 として、モデルでどれだけ減らせたかの割合。0 〜 1。平均で答えると 0 |
※ どれが正しいという話ではなく、目的で選ぶ。大外れが困る場面では二乗平均平方根、人に説明する場面では平均のずれ
板書に 3 行だけ残す。「合計は比べられない」「件数で割ると比べられる」「決定係数は平均で答えたときと比べた割合」。式は書かせない。単位に注目させると、平均のずれ(時間)と決定係数(単位なし)の違いがはっきりする。
前回作った 2 つの式に、同じ物差しを当てる

yosoku3 を heikin(いつも平均の 176 本と答える)に書き換えて実行し、決定係数が 0 になることを確かめる※ jissai が前回の 14 日の売れた本数、yosoku3 と yosoku4 が前回作った 2 つの式が言う本数。書いたものはこの端末に残り、どこにも送られない
日直の出席番号を足したら、決定係数は 0.9929 から 0.9934 に上がった。これは「モデルがよくなった」と言えるか
分かれ方を読み上げ、「よくなっていない」と「決められない」の両方を発言させる。ここは次回の入口なので、答えを閉じない
進め方(13分) 実行と読み取り 5 分。③ の書き換え 4 分。投票 4 分。
結果 3 列の式: 平均のずれ 2.61/二乗平均平方根 2.86/決定係数 0.9929。4 列の式: 2.51/2.75/0.9934。いつも平均(176 本): 平均のずれ 30.43/二乗平均平方根 33.86/決定係数 0.0。
③ の書き換え 最後の 2 行のどちらかを hakaru("平均で答える", heikin) に変えるだけでよい。決定係数がぴったり 0 になる。「決定係数 0 は、モデルが平均と同じということ」。
山場 関係のない列を足しても決定係数は上がる。3 つの指標のどれも、手元のデータで測っている限り、列を増やせば必ずよく見える。だから「指標が上がった」は「よくなった」と同じではない。この物差しの外側から確かめる方法が要ることを言って、次回につなぐ。
つまずき 実行しても何も出ない場合は、ネットにつながっているかを確かめる。つながらない環境では、画面の 14 個の数を電卓で 3 つだけ計算させれば同じ授業になる。目標 02・03。
| 測った | 第7回の直線は決定係数 0.68、第8回の 3 列の式は 0.9929。同じ物差しで並べられる |
| 上がった | 日直の出席番号を足すと 0.9934 に上がる。売上と関係がないのに上がる |
| なぜ | モデルを作ったときと同じデータで測っているから。式は、そのデータに合わせて作られている |
| 足りないこと | 指標は「手元のデータにどれだけ合っているか」しか言わない。まだ見ていないデータで当たるかは、これでは分からない |
※ 次回、手で作ったモデルと、道具が作ったモデルを並べて比べる。差がどこから来るのかを見て、直す所を決める
「手元のデータで測っている」の一行が、この単元の後半の骨。第12回で、データを分けて測ると何が起きるかを実際の数で見る。今日の指標の名前と読み方は、第16回の課題でそのまま使うので、板書を写させる。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。「決定係数 0.99 のモデルです」と言われたとき、自分が次に確かめることを 1 つ書く
3 分。「件数」「どのデータで測ったか」「いちばん外した点は」「何を予測しているのか」が出る。4 つとも板書に残し、第16回の相互評価の観点として使う。
次回は「道具のモデルとの比較と改善」。第7回で手で探した直線と、道具が式で解いた直線を並べて、差がどこから来るのかを見る。