手で探した直線は、道具の答えとどれだけ違ったか
50分 | キーボードがあるとよい準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a10)。「教師」を押す。第7回で各自が見つけた傾き・切片・ずれの合計を、手元に用意させておく(板書に残っていればそれでよい。残っていない生徒には、クラスの答え 傾き −0.036・切片 7.7 を使わせる)。体験 01 は Python を動かす部品を読み込むので、ネットにつながる必要がある(つながらない場合は、この枚の表の数を読ませれば同じ授業になる)。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は予想を選ばせてから実行させる。教師が先に実行して見せない。
時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 手の答えと、道具の答え 20分 / 節2 どこを直すかを議論する 15分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分
数学科との重なり 数学Ⅰ「データの分析」の回帰直線の式と重なる。式の導出は数学に任せる。ここでは「道具は何を計算しているのか」を 1 行で言えるところまでにする。
この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) イ(ウ)。[解説]の学習活動「統計ソフトウェア等をあえて用いずに重回帰分析等のモデルを作成し、その予測モデルに関する評価指標を調べ、ソフトウェアで作成したモデルと比較して、そのモデルにどのような改善が必要であるかを議論する」。内容の取扱い (3)「アの(イ)及びイの(イ)で行ったモデル化や処理、解釈・表現の結果を受けて行う」。[設計指針 第2版]D5L2、K2L2「結果を評価し、必要なら反復改善を行える」。単元設計は 単元設計のページ)
前回、第7回の直線を測ったら決定係数は 0.676 だった。ただし、あの直線はつまみを手で動かして探したもの。式で一気に解く道具を使えば、もっとよい直線が出るのだろうか
手で探した答えは、道具の答えとどれだけ違うのか
問いに挙手(大きく違う/少し違う/ほとんど同じ)。ここでは答えない。第7回で自分が見つけた傾き・切片を手元に出させる。[解説]が「あえて統計ソフトウェアを用いずに作ったモデルと、ソフトウェアのモデルを比較する」活動を挙げていることを、生徒に言う必要はないが、教師は意識して進める。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
並べて差を見る
案を出して便乗する
同じデータに二通りのやり方を当てる

第7回と同じ 15 人。データはこの枚の中にある。まず下の予想を 1 つ選ぶ。次に waga_a と waga_b を第7回で自分が見つけた傾き・切片に書き換えて実行する(見つけた値が手元にない人は、クラスの答え −0.036 と 7.7 のままでよい)
waga_a と waga_b を自分の値に書き換える ②「実行」を押す ③ 2 行の数を見比べて、どの桁から違うかを見る ④ 傾きを -0.10 に変えて実行し、大きく外したときにどの数がどれだけ動くかを見る※ 道具がしているのは、第7回に手でやったことと同じこと。ずれの合計をいちばん小さくする傾きと切片を、つまみを動かす代わりに式で一度に出している。書いたものはこの端末に残り、どこにも送られない
進め方(18分) ①値を書き換えて実行(4分) ②ここで予想を選ばせる(2分。実行前に選ばせたい生徒がいれば、それでもよい) ③2 行を読み比べる(4分) ④傾きを −0.10 にして実行(3分) ⑤書いて送る(5分)。
数の答え 手(−0.036 / 7.7): ずれの合計 2.8959/平均のずれ 0.4131/決定係数 0.6752。道具: 傾き −0.0350/切片 7.6525/ずれの合計 2.8885/平均のずれ 0.4125/決定係数 0.6761。差は小数第 3 位から。④ 傾き −0.10: ずれの合計 95.87、平均のずれ 2.19、決定係数 −9.751(マイナスになる。平均で答えるより悪いという意味)。
山場 手で探しても道具で解いても、ほとんど同じ所に来る。つまり「係数をもっと正確に出す」ことでは、このモデルはほとんど良くならない。直す所は別にある。ここが節 2 の入口。
決定係数がマイナス ④ で必ず出る。「0 が平均で答えたとき。それより悪いとマイナスになる」と一言だけ言えばよい。
つまずき 書き換えでエラーが出るのは、全角の記号かマイナス記号のことが多い。「最初に戻す」で戻せる。ネットにつながらない環境では、この枚の数を読ませて②③④の話だけをすれば同じ授業になる。目標 01・02。
| 傾き | 切片 | ずれの合計 | 決定係数 | |
|---|---|---|---|---|
| 手で探した | −0.0360 | 7.7000 | 2.8959 | 0.6752 |
| 道具が解いた | −0.0350 | 7.6525 | 2.8885 | 0.6761 |
| 差 | 0.0010 | 0.0475 | 0.0074 | 0.0009 |
| 道具は何をしたか | 手でやったことと同じことを、式で一度に行う。つまみを動かす代わりに、いちばん小さい所を直接出す |
| 差はどれくらい | 決定係数で 0.0009。この差は、使う場面ではまず効かない |
| だから | 「もっと正確に係数を出す」ことでは、このモデルは良くならない。直す所は別にある |
| 残っている値 | 決定係数 0.68。ずれの 3 割はまだ説明できていない。ここが伸びしろ |
「道具は速いが、やっていることは同じ」を押さえる。道具を使えばよいモデルになる、という思い込みをここで外す。最後の行(0.68 の残り 3 割)が節 2 への渡し。
係数ではないなら、何を変えるのか

決定係数 0.68。残りの 3 割を説明するには、何を変えればよいか。「係数を直す」以外で、短く書いて送る。当たり外れは問わない。人の案の「便乗」を押すと、その続きとして書ける
思いついたら短く書いて「送る」を押す。人の書いたものの「便乗」を押すと、その続きとして書ける。「便乗をやめる」で自分の思いつきに戻る
進め方(13分) 出す 6 分。教師が 3 つの型に仕分けながら読み上げる 5 分。「自分の班なら、どれから試すか」を口頭で 2 分。
出てくる案と、その仕分け ①データを変える: 人数を増やす/学年をそろえる/自己申告をやめて記録で測る/外れた 1 人に事情を聞く。②列を変える: 起きる時刻・部活の有無・寝る時刻・アルバイトの有無を足す。③形を変える: 直線ではなく曲線にする/通学 40 分までと、それ以上で分ける。この 3 つの型で板書に整理する。
押さえ どれも「係数を直す」ではない。改善とは、モデルの中の数を直すことではなく、何を使ってどう作るかを変えることをいう。②は第11・12回で、①の「外れた点」は第16回で扱う。
C の生徒への手立て 案が出ない生徒には、上の 4 つの帯を 1 つ指さして「これを直すなら何をするか」と聞く。目標 03。
| データを変える | 件数を増やす。対象をそろえる。測り方を変える。外れた点の事情を調べる |
| 列を変える | 説明に使う列を足す、入れ替える、減らす。次回から 3 回、ここを扱う |
| 形を変える | 直線をやめる。範囲を区切って別々に当てる。グループに分けてから当てる |
| 変えないもの | 係数。道具でも手でも同じ値になる。ここを直しても伸びない |
※ 改善案を出したら、直す前と直したあとを同じ指標で比べる。比べなければ、直したかどうか分からない
最後の一行は第16回の評価規準(A 水準「改善前後を比べている」)に直接つながる。ここで一度言っておく。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。道具が出した数を使う前に、自分が確かめておくことを 1 つ書く
3 分。「渡したデータが合っているか」「どの列を使ったか」「外れた点はどこか」「その数が何を意味するか」が出る。板書に残す。
次回は「多変量データの可視化」。今日出た「列を変える」の中身に入る。どの列とどの列が強く関係しているかを、複数の散布図を並べて読む。