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情報Ⅱ (3) 情報とデータサイエンス | 第12回

変数の絞り込み

列を増やすほど、手元のデータに合いすぎるようになる

50分
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a12)。「教師」を押す。この回は端末の中だけで動くので、ネットにつながらなくても進められる。第9回で使った「平均のずれ」の意味を板書に出しておく。第9回の「手元のデータで測っているから下がる」という一行を、今日ここで数にする。

投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は、予想を選ばせてから「来客数」を押させる。教師が先に押して見せない。

時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 分けて測ると、増やした分が見える 22分 / 節2 残す列と、外す列 13分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分

数学科との重なり 直接は重ならない。ただし「データの一部で作り、残りで確かめる」という考え方は、数学B の標本と母集団の話とつながる。ここでは式は扱わない。

この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) イ(ウ)。[解説]の学習活動「データを説明する変数を減らしたり、変数を減らすことによってどのような利点があるかを考察したりする」。[設計指針 第2版]D5L2、E2L3(必要な情報を選び出して整理する)。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 学習用と確認用に分けて測り、2 つの値の動きの違いを読んでいる(体験01)
  • 思考・判断・表現 減らして良くなったことを、実際の数で挙げている(体験01・02)。残す列と外す列を、理由をつけて決めている(体験02)
  • 態度 手元の数がよくなることと、使えるモデルになることを分けて考えようとしている(ふりかえり)
前回のまとめ

強い列が、使える列とは限らなかった

来客数 0.94気温 0.86降水量 −0.68→手に入る時点で選ぶ

前回は列を足す方を見た。第8回では、関係のない列を足してもずれが下がることも見た。では、減らすと何が起きるのか。減らしたら悪くなるだけに思えるが、そうではない

列を減らして、良くなることはあるのか

教師用メモ

問いに挙手(ある/ない/分からない)。ここでは答えない。「手元のデータで測る限り、増やせば必ず下がる」(第8・9回)を確認してから、今日はその測り方を変えると伝える。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
データを学習用と確認用に分けて測る意味を言える
02
列を増やしすぎたときに起きることを、実際の数で示せる
03
残す列と外す列を、理由をつけて決められる
01 | 22分
分けて測る

8 日で作り、6 日で確かめる

02 | 13分
残す列と、外す列

理由をつけて決める

SECTION 01

分けて測ると、増やした分が見える

作るのに使わなかったデータで確かめる

14行の表を8行と6行にはさみで切り分け、片方だけを見ながら式を作っている高校生2人
体験 01

8 日で式を作り、残りの 6 日で確かめる

前回と同じ 14 日。上の 8 日(白)だけを使って式を作り、下の 6 日(灰色)で確かめる。下の 6 日は式を作るときにいっさい使わない。まず下の予想を 1 つ選ぶ。次に上のボタンで、使う列を左から順に足していく

—
学習用 8 日の平均のずれ(本)
—
確認用 6 日の平均のずれ(本)
いまの式(学習用 8 日から作った)
列を 1 つ以上選ぶ

※ 学習用の値は列を足すほど必ず下がる(第8回で見たこと)。確認用の値は、式を作るのに使っていない日で測っているので、そうとは限らない

予想 | 列を左から順に全部足していくと、確認用 6 日の平均のずれは
クラスの予想
いちばん良かった列の組
教師用メモ

進め方(20分) ①気温だけ(2分) ②+降水量(2分) ③+大会(3分) ④ここで予想を選ばせる(2分) ⑤+来客数(3分) ⑥+日直の出席番号(2分) ⑦書いて送る(6分)。必ず左から順に足させる。順番を変えると数が変わる。

数の答え(学習用 → 確認用、平均のずれ・本) 気温だけ 13.38 → 18.87。+降水量 11.04 → 8.94。+大会 2.82 → 2.50。+来客数 0.91 → 7.15。+日直の出席番号 0.70 → 7.80。

山場 学習用は 13.38 → 11.04 → 2.82 → 0.91 → 0.70 とずっと下がる。確認用は 18.87 → 8.94 → 2.50 → 7.15 → 7.80 で、3 列の所がいちばん小さく、そこから増える。ここで「列を減らしたほうが良かった」が数で出る。

来客数で悪くなるのが意外な理由 来客数は売上といちばん強く関係している列(前回 0.94)。それでも悪くなるのは、8 日しかないのに 4 つの列で説明しようとしたから。式が 8 日の細かい上下にまで合わせにいってしまい、別の日には合わなくなる。これを過剰な当てはめという。「行数に対して列が多すぎる」と言い換えるとよい。

もう一つ見せる 気温と大会だけ(降水量を外す)を押させると、学習用 4.41/確認用 9.44。降水量は残したほうがよい列だと分かる。減らせば良いのではなく、どれを減らすかで決まる。目標 01・02。

まとめ 01

合いすぎた式は、別の日に合わない

分けて測るデータを学習用(式を作る)と確認用(測るだけ)に分ける。確認用は作るときに使わない
学習用の値列を足すほど必ず下がる。13.38 → 11.04 → 2.82 → 0.91 → 0.70
確認用の値途中から上がる。18.87 → 8.94 → 2.50 → 7.15 → 7.80
過剰な当てはめ行数に対して列が多いと、式が手元のデータの細かい上下にまで合わせにいく。その分、別のデータには合わなくなる
だから減らす確認用の値がいちばん小さい所で止める。今回は気温・降水量・大会の 3 列

※ 減らせばよいわけではない。降水量を外すと確認用は 2.50 から 9.44 に悪くなる。どれを減らすかで決まる

教師用メモ

「過剰な当てはめ」は板書に残す。第9回で置いた「手元のデータで測っているから下がる」の答えが、ここで出そろう。第16回の課題で、班のデータが 20 行以上あれば同じ分け方をさせる。

SECTION 02

残す列と、外す列

数だけでなく、集める手間や説明のしやすさからも決める

ホワイトボードに書いた列の名前を、残す側と外す側に分けて書き写している高校生3人
体験 02

外した列と、外した理由を並べる

5 つの列のうち、自分が残す列と外す列を 1 つと、その理由を送る。理由は「確認用の値」だけでなく、下の 3 つの見方からでもよい

数で決めるその列を外したとき、確認用の平均のずれがどう動くか
集める手間毎日その値を手に入れられるか。手に入らない列は、式に入っていても使えない(前回の来客数)
説明のしやすさ5 列の式は 6 つの数が並ぶ。売店の人に 1 分で説明できるか
残す列 | いくつでも
外す列と、外す理由 | 1 つ選んで

「残す列 → 外す列と理由」が右に並ぶ。同じ列を外していても理由が違うものを 2 つ選んで読み上げる

みんなの残す列と、外す理由
教師用メモ

進め方(11分) 書いて送る 5 分。読み上げ 4 分。「同じ列を外していても、理由が違う」を 2 例出す 2 分。

想定される回答 日直の出席番号 → 売上と関係がないから/係数がほぼ 0 だから。来客数 → 前日に分からないから/確認用が悪くなるから。降水量 → 外すと悪くなるので残す、が正しい。

読み上げで拾う対比 「来客数は、数の上でも外したほうがよかったし、そもそも前日に手に入らない。2 つの別々の理由が、同じ結論を指している」。逆に、日直の出席番号は確認用の値が 7.15 → 7.80 とわずかしか動かない。数だけ見ていると外す理由が弱い。関係がないという理由のほうが強い。

C の生徒への手立て 上の 3 つの見方のどれか 1 つを指さして、「これで言うとどうなるか」と聞く。目標 03。

まとめ 02

減らして良くなったことを、数で言う

当たり方確認用の平均のずれが 7.80 → 2.50。まだ見ていない日でも当たるようになった
集めやすさ手に入らない列(来客数)が式から消えた。前日に予測できるモデルになった
説明のしやすさ式の中の数が 6 つから 4 つになった。「気温・雨・大会で決まる」と一言で言える
残った 3 列気温・降水量・大会の有無。第8回で作った式と同じ組み合わせに戻ってきた

※ 「減らした」だけでは改善の報告にならない。減らす前と後の数を並べて初めて、良くなったと言える(第10回のまとめ 02)

教師用メモ

3 つの利点(当たり方・集めやすさ・説明のしやすさ)を板書に残す。[解説]の「変数を減らすことによってどのような利点があるか」に直接答える枚。次回はデータを分ける話に移るが、今日の「行数に対して列が多すぎる」の感覚はそのまま使う。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の操作で答える

01
分けて測る 8 日で作り、使わなかった 6 日で確かめる。作ったデータで測ると必ず良く見える
02
数で示す 学習用 0.70 まで下がったのに、確認用は 2.50 → 7.80 に悪化した
03
理由をつけて 数・集める手間・説明のしやすさ。3 つのどれからでも決められる
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01学習用と確認用に分けて測る意味を言える
02列を増やしすぎたときに起きることを、実際の数で示せる
03残す列と外す列を、理由をつけて決められる
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

手元でよく当たることと、使えることの違い

一文でよい。「手元のデータではよく当たるのに、使えないモデル」がどんなものか、自分の言葉で書く

みんなの言い方
教師用メモ

3 分。「合わせすぎ」「行が少ないのに列が多い」「その日にしかない事情まで式に入れた」が出る。板書に残す。

次回は「クラスタリング」。今日までは 1 本の式で全部を説明しようとしてきた。次回は、先に似た日をまとめてから見る。