一覧へ 情報Ⅱ (3) 第14回 | 手書き文字の認識
情報Ⅱ (3) 情報とデータサイエンス | 第14回

手書き文字の認識

機械が見ているのは、25 個の数だけ

50分 | キーボードがあるとよい
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a14)。「教師」を押す。体験 02 は Python を動かす部品を読み込むので、ネットにつながる必要がある(つながらない場合は、8 つの見本の「1 行目の黒マスの数」を手で数えさせれば同じ授業になる)。

この回で扱わないもの 書かせるのは数字の 1 と 7 だけ。名前・生年月日・住所など、個人が分かるものは書かせない。[解説]が (3) の学習活動について「個人情報が含まれる場合などは、その取扱いに十分に留意することが必要」としているため。書いたものは端末の中だけに残り、どこにも送られない。この 2 点を、体験 01 の冒頭で生徒に言う。

投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は予想を選ばせてから、8 つの見本を出す。

時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 絵を、数の並びに変える 18分 / 節2 数だけで見分ける 17分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分

この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) イ(イ)。[解説]の学習活動「簡単な手書き文字を画像やピクセルデータ等に変換し、それらの文字を認識する処理について考える」。[設計指針 第2版]X1L4「機械学習やニューラルネットワーク等を実際に手元の問題に活用することができる」(高選)。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 手で書いた形を 25 個の数の並びに変え、その並びから特徴を数として取り出している(体験01・02)
  • 思考・判断・表現 認識できた文字とできなかった文字の差がどこから来たかを述べ、判定の条件を変えて確かめている(体験02)
  • 態度 個人が分かるものを書かないという約束を守り、書いたものがどこに残るかを確かめている(体験01)
前回のまとめ

機械は分けるだけで、名前はつけなかった

近いほうに入れる中心を置き直す→名前をつけるのは人

前回まで扱ってきたのは、はじめから数が並んでいる表だった。では、手で書いた文字のような、数でないものはどう扱うのか。機械はそれを見ることができるのか

機械は、書かれた文字の何を見ているのか

教師用メモ

問いに挙手(形/線の向き/数)。ここでは答えない。今日は「絵を数の並びに変える」ところから自分の手でやると伝える。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
手で書いた形を、0 と 1 の並びに変えられる
02
その並びから特徴を数として取り出し、判定するしくみを作れる
03
読めた文字と読めなかった文字の差が、どこから来たかを言える
01 | 18分
絵を、数の並びに変える

5×5 のますで書く

02 | 17分
数だけで見分ける

判定のしくみを直す

SECTION 01

絵を、数の並びに変える

ますを塗って、塗ったら 1、塗らなければ 0 にする

方眼のますを鉛筆で塗って数字の形を作り、横に0と1を書き並べている高校生2人
体験 01

5×5 のますに書いて、25 個の数にする

ますを押すと塗れる。もう一度押すと消える。書くのは数字の 1 か 7 だけ。名前や、自分だとわかるものは書かない。まず下の予想を 1 つ選んでから、いろいろな書き方を試す。書いたものはこの端末の中だけに残る

機械に渡る形(1 行が 1 段)
0
1 行目(いちばん上の段)の黒いますの数
0
全体の黒いますの数

※ 機械にはこの 25 個の数しか届かない。「線がまっすぐ」「上に払いがある」という言い方は届かない。言いたいことは、すべて数え方に置き換える必要がある

予想 |「1 行目の黒いますの数」だけを見て、1 と 7 を見分けられるか
クラスの予想
試して分かったこと
教師用メモ

最初に必ず言うこと 「書くのは 1 か 7 だけ。名前や、自分だと分かるものは書かない」「書いたものは、この端末の中だけに残る。どこにも送られない」。

進め方(16分) ①「1 の見本」を押して 25 個の数を見せる(3分) ②自分でいろいろな 1 と 7 を書く(5分) ③ここで予想を選ばせる(2分) ④1 行目の数がどう変わるかを見る(3分) ⑤書いて送る(3分)。

気づかせること ①同じ「1」でも、まっすぐ引く人、上に払いをつける人、下に台をつける人がいる。25 個の数はまったく別のものになる。②上に払いをつけた 1 は、1 行目の黒が 3 になる。7 と見分けがつかなくなる。③横棒を短く書いた 7 は、1 行目の黒が 2 しかない。

押さえ 人が「1 に見える」と言えるのは、書き方の幅を知っているから。機械は 25 個の数しか持っていない。「上に払いがある」と言いたければ、それを数え方に翻訳しなければならない。目標 01。

まとめ 01

形は、数え方に翻訳しないと届かない

画像を数にするますに区切り、塗ってあれば 1、なければ 0。5×5 なら 25 個の数の並び。これがピクセルデータ
細かさますを細かくすれば形は正確になるが、数の個数が増える。28×28 なら 784 個
特徴を取り出す25 個をそのまま使わず、「1 行目の黒の数」のような数にまとめる。第12回の「列を減らす」と同じ考え方
翻訳が要る「上に払いがある」「線がまっすぐ」は機械に届かない。数え方に置き換えて初めて届く
書かないもの名前・生年月日など、個人が分かるものは扱わない。この授業では 1 と 7 だけ

※ 第4回で表記ゆれを直したのと同じで、ここでも人が「何を数えるか」を決めている。決めないと機械は動かない

教師用メモ

「特徴を取り出す」を板書に残す。第12回の変数を減らす話と同じ形であることを一言つなぐ。細かさの話(784 個)は、第16回で扱うデータの大きさの感覚づくりになる。

SECTION 02

数だけで、見分けさせる

読めた文字と読めなかった文字が出る

画面に並んだ8つの手書きの見本と、それぞれの判定結果の丸とバツを見比べている高校生
体験 02

8 つの見本を、判定させてみる

8 つの書き方の見本。上の 4 つが「1」、下の 4 つが「7」。人が見れば全部読める。機械には、この 25 個ずつの数しか届かない

やること ①「実行」を押して、8 つのうち何個当たったかを見る ② × になった見本を、上の絵と見比べる ③ shikii = 3 を 4 に変えて実行し、どれが直ってどれが直らないかを見る ④ ue 以外の数え方(たとえば全体の黒の数)で見分けられないか試す
実行結果

※ 25 個の数のうち、判定に使っているのは1 行目の 5 個だけ。書いたものはこの端末に残り、どこにも送られない

読めなかった文字が出た。いちばん大きな原因はどれだと思うか

3 つとも本当の理由。分かれ方を読み上げ、「今日その場で直せるのはどれか」を問う

クラスの見立て
教師用メモ

進め方(15分) 実行と読み取り 4 分。②の見比べ 3 分。③の書き換え 4 分。投票 4 分。

結果 shikii = 3 のとき 6 / 8。× になるのは「1 上に払い」(1 行目の黒 3 → 7 と判定)と「7 かなり短い」(1 行目の黒 2 → 1 と判定)。shikii = 4 にすると 7 / 8(「1 上に払い」が直り、「7 かなり短い」は直らない)。shikii = 5 にすると 6 / 8(今度は「7 横棒みじか」が × になる)。

山場 しきいを動かすと、直る文字がある代わりに、別の文字が崩れる。1 つの数だけで見分けようとしている限り、どこかで必ず取りこぼす。数え方そのものを増やす/変えるしかない。

④のヒント 全体の黒の数は 1 が 5〜7、7 が 9〜12。zen(g) >= 8 で判定させると 8 / 8 になる。ただし「全体の黒の数」は、太く書いた 1 では簡単に増える。この 8 つで全部当たっても、次の 8 つで当たるとは限らない(第12回の確認用と同じ話)。

投票の押さえ 3 つとも本当の理由。ただし今日その場で直せるのは数え方だけ。ますの細かさはデータの取り方、書き方の幅はそもそも直せない。直せる所と直せない所を分けるのが、第10回でやった改善の考え方。目標 02・03。

まとめ 02

読めた文字と、読めなかった文字の差

読めたまっすぐな 1、横棒の長い 7。数え方が想定した書き方に合っていた
読めなかった上に払いのある 1、横棒の短い 7。数え方の想定から外れた書き方
しきいを動かすと片方は直るが、もう片方が崩れる。1 つの数では、どこかで必ず取りこぼす
直せること数え方を増やす・変える。ますを細かくする。もっと多くの書き方を集める
直せないこと人によって書き方に幅があること自体。だから、外れる文字は必ず残る

※ 8 つで全部当たっても、次の 8 つで当たるとは限らない。作るのに使ったデータで測っているから(第12回)

教師用メモ

最後の一行で、第12回とつなぐ。実際の文字認識は、数え方を人が決めるのではなく、大量の見本から機械に決めさせている。ただしやっていることは同じ「数に翻訳して、判定する」だと一言。次回は、この「必ず外れる文字が残る」を人の判断の話に広げる。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の操作で答える

01
数にした 5×5 のますを塗って、25 個の 0 と 1 にした。機械にはこれしか届かない
02
判定を作った 1 行目の黒が 3 以上なら 7。8 つのうち 6 つが当たった
03
差を言った 外れたのは、上に払いのある 1 と、横棒の短い 7。数え方の想定の外
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01手で書いた形を、0 と 1 の並びに変えられる
02並びから特徴を数として取り出し、判定するしくみを作れる
03読めた文字と読めなかった文字の差が、どこから来たかを言える
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

読み取りが外れると、誰が困るか

一文でよい。手書きの読み取りが外れたときに困る場面を 1 つ挙げ、そこで人がすべきことを書く

みんなが挙げた場面
教師用メモ

3 分。「郵便番号」「答案の採点」「金額の読み取り」「アンケートの集計」が出る。「自信がないものは人に回す」という案が出たら板書に残す。次回の討論でそのまま使う。

次回は「機械に任せる判断の限界」。今日は必ず外れる文字が残ることを見た。次回は、外れたときに誰が責任を持つのかまで話す。