機械が見ているのは、25 個の数だけ
50分 | キーボードがあるとよい準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a14)。「教師」を押す。体験 02 は Python を動かす部品を読み込むので、ネットにつながる必要がある(つながらない場合は、8 つの見本の「1 行目の黒マスの数」を手で数えさせれば同じ授業になる)。
この回で扱わないもの 書かせるのは数字の 1 と 7 だけ。名前・生年月日・住所など、個人が分かるものは書かせない。[解説]が (3) の学習活動について「個人情報が含まれる場合などは、その取扱いに十分に留意することが必要」としているため。書いたものは端末の中だけに残り、どこにも送られない。この 2 点を、体験 01 の冒頭で生徒に言う。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は予想を選ばせてから、8 つの見本を出す。
時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 絵を、数の並びに変える 18分 / 節2 数だけで見分ける 17分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分
この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) イ(イ)。[解説]の学習活動「簡単な手書き文字を画像やピクセルデータ等に変換し、それらの文字を認識する処理について考える」。[設計指針 第2版]X1L4「機械学習やニューラルネットワーク等を実際に手元の問題に活用することができる」(高選)。単元設計は 単元設計のページ)
前回まで扱ってきたのは、はじめから数が並んでいる表だった。では、手で書いた文字のような、数でないものはどう扱うのか。機械はそれを見ることができるのか
機械は、書かれた文字の何を見ているのか
問いに挙手(形/線の向き/数)。ここでは答えない。今日は「絵を数の並びに変える」ところから自分の手でやると伝える。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
5×5 のますで書く
判定のしくみを直す
ますを塗って、塗ったら 1、塗らなければ 0 にする

ますを押すと塗れる。もう一度押すと消える。書くのは数字の 1 か 7 だけ。名前や、自分だとわかるものは書かない。まず下の予想を 1 つ選んでから、いろいろな書き方を試す。書いたものはこの端末の中だけに残る
※ 機械にはこの 25 個の数しか届かない。「線がまっすぐ」「上に払いがある」という言い方は届かない。言いたいことは、すべて数え方に置き換える必要がある
最初に必ず言うこと 「書くのは 1 か 7 だけ。名前や、自分だと分かるものは書かない」「書いたものは、この端末の中だけに残る。どこにも送られない」。
進め方(16分) ①「1 の見本」を押して 25 個の数を見せる(3分) ②自分でいろいろな 1 と 7 を書く(5分) ③ここで予想を選ばせる(2分) ④1 行目の数がどう変わるかを見る(3分) ⑤書いて送る(3分)。
気づかせること ①同じ「1」でも、まっすぐ引く人、上に払いをつける人、下に台をつける人がいる。25 個の数はまったく別のものになる。②上に払いをつけた 1 は、1 行目の黒が 3 になる。7 と見分けがつかなくなる。③横棒を短く書いた 7 は、1 行目の黒が 2 しかない。
押さえ 人が「1 に見える」と言えるのは、書き方の幅を知っているから。機械は 25 個の数しか持っていない。「上に払いがある」と言いたければ、それを数え方に翻訳しなければならない。目標 01。
| 画像を数にする | ますに区切り、塗ってあれば 1、なければ 0。5×5 なら 25 個の数の並び。これがピクセルデータ |
| 細かさ | ますを細かくすれば形は正確になるが、数の個数が増える。28×28 なら 784 個 |
| 特徴を取り出す | 25 個をそのまま使わず、「1 行目の黒の数」のような数にまとめる。第12回の「列を減らす」と同じ考え方 |
| 翻訳が要る | 「上に払いがある」「線がまっすぐ」は機械に届かない。数え方に置き換えて初めて届く |
| 書かないもの | 名前・生年月日など、個人が分かるものは扱わない。この授業では 1 と 7 だけ |
※ 第4回で表記ゆれを直したのと同じで、ここでも人が「何を数えるか」を決めている。決めないと機械は動かない
「特徴を取り出す」を板書に残す。第12回の変数を減らす話と同じ形であることを一言つなぐ。細かさの話(784 個)は、第16回で扱うデータの大きさの感覚づくりになる。
読めた文字と読めなかった文字が出る

8 つの書き方の見本。上の 4 つが「1」、下の 4 つが「7」。人が見れば全部読める。機械には、この 25 個ずつの数しか届かない
shikii = 3 を 4 に変えて実行し、どれが直ってどれが直らないかを見る ④ ue 以外の数え方(たとえば全体の黒の数)で見分けられないか試す※ 25 個の数のうち、判定に使っているのは1 行目の 5 個だけ。書いたものはこの端末に残り、どこにも送られない
読めなかった文字が出た。いちばん大きな原因はどれだと思うか
3 つとも本当の理由。分かれ方を読み上げ、「今日その場で直せるのはどれか」を問う
進め方(15分) 実行と読み取り 4 分。②の見比べ 3 分。③の書き換え 4 分。投票 4 分。
結果 shikii = 3 のとき 6 / 8。× になるのは「1 上に払い」(1 行目の黒 3 → 7 と判定)と「7 かなり短い」(1 行目の黒 2 → 1 と判定)。shikii = 4 にすると 7 / 8(「1 上に払い」が直り、「7 かなり短い」は直らない)。shikii = 5 にすると 6 / 8(今度は「7 横棒みじか」が × になる)。
山場 しきいを動かすと、直る文字がある代わりに、別の文字が崩れる。1 つの数だけで見分けようとしている限り、どこかで必ず取りこぼす。数え方そのものを増やす/変えるしかない。
④のヒント 全体の黒の数は 1 が 5〜7、7 が 9〜12。zen(g) >= 8 で判定させると 8 / 8 になる。ただし「全体の黒の数」は、太く書いた 1 では簡単に増える。この 8 つで全部当たっても、次の 8 つで当たるとは限らない(第12回の確認用と同じ話)。
投票の押さえ 3 つとも本当の理由。ただし今日その場で直せるのは数え方だけ。ますの細かさはデータの取り方、書き方の幅はそもそも直せない。直せる所と直せない所を分けるのが、第10回でやった改善の考え方。目標 02・03。
| 読めた | まっすぐな 1、横棒の長い 7。数え方が想定した書き方に合っていた |
| 読めなかった | 上に払いのある 1、横棒の短い 7。数え方の想定から外れた書き方 |
| しきいを動かすと | 片方は直るが、もう片方が崩れる。1 つの数では、どこかで必ず取りこぼす |
| 直せること | 数え方を増やす・変える。ますを細かくする。もっと多くの書き方を集める |
| 直せないこと | 人によって書き方に幅があること自体。だから、外れる文字は必ず残る |
※ 8 つで全部当たっても、次の 8 つで当たるとは限らない。作るのに使ったデータで測っているから(第12回)
最後の一行で、第12回とつなぐ。実際の文字認識は、数え方を人が決めるのではなく、大量の見本から機械に決めさせている。ただしやっていることは同じ「数に翻訳して、判定する」だと一言。次回は、この「必ず外れる文字が残る」を人の判断の話に広げる。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。手書きの読み取りが外れたときに困る場面を 1 つ挙げ、そこで人がすべきことを書く
3 分。「郵便番号」「答案の採点」「金額の読み取り」「アンケートの集計」が出る。「自信がないものは人に回す」という案が出たら板書に残す。次回の討論でそのまま使う。
次回は「機械に任せる判断の限界」。今日は必ず外れる文字が残ることを見た。次回は、外れたときに誰が責任を持つのかまで話す。