外れると分かっているものを、どこまで任せてよいか
50分 | 班で行う準備(授業前) 教室コードを新しく決める(例: 7a15)。「教師」を押す。この回は端末の中だけで動くので、ネットにつながらなくても進められる。4 人の班にしておく(立場を 1 人 1 つ持つため)。第14回の結果(8 つのうち 6 つ当たり、外れたのは上に払いのある 1 と横棒の短い 7)を板書に残しておく。第13回のふりかえりで出た「人を分けるときに気をつけること」も並べて書いておくと、討論で拾える。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 は立場を割り当ててから、討論の前の自分の立場を選ばせる。教師の考えは、まとめ 02 まで言わない。
時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 立場を割り当てて討論する 22分 / 節2 任せてよい条件を言葉にする 13分 / まとめ・自己評価・ふりかえり 10分
この回で気をつけること 「機械は怖い」「機械は正確だ」のどちらにも寄せない。数を根拠に話させる(第14回の 6 / 8、第12回の確認用の値)。特定の生徒の書き方や成績を例に出さない。
この回の評価(指導要領 情報Ⅱ (3) イ(ウ)。[解説]の (3) の学習活動「データの処理や分析を行うことによって人間の判断は必要なくなるのか、情報技術が発達しても人間の判断が必要な部分があるのか等について、討論する」。[設計指針 第2版]X3L2・X3L3(人工知能の信頼性・公平性・透明性・個人情報保護・責任と、規制の可能性)。単元設計は 単元設計のページ)
前回、数え方を変えると直る文字がある代わりに、別の文字が崩れた。人によって書き方に幅があること自体は直せない。つまり外れる文字は、これからも必ず残る。それでも、この読み取りを使う場面はいくらでもある
外れると分かっているものを、どこまで任せてよいのか
問いに挙手(全部任せてよい/人が確かめる/任せない)。ここでは答えない。今日は自分の意見ではない立場を割り当てられること、最後にもう一度自分の立場を選び直すことを先に言う。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
自分の意見ではない側から
5 つの見方で測る
自分の意見ではない側から言ってみる

場面はこの 1 つだけ。班の 4 人がちがう立場を持つ。自分がほんとうにそう思うかは関係ない。割り当てられた立場で、根拠を挙げて話す
※ 立場の割り当ては、班の中の出席番号の小さい順に A・B・C・D。4 人そろわない班は、少ない立場を教師が指定する
進め方(20分) ①場面を読み、800 個・200 個を確かめる(3分) ②立場を割り当て、ここで討論の前の自分の立場を選ばせる(3分) ③各自、割り当てられた立場の根拠を 2 つ書く(4分) ④班の中で A → B → C → D の順に 1 分ずつ主張(4分) ⑤自由に反論(4分) ⑥根拠を 1 つ送る(2分)。順番を守らせると、声の大きい生徒だけの話にならない。
出てくる根拠 A: 600 個は当たる/人も疲れれば間違える/基準がそろう。B: 1 行目の黒が 3 の答案だけ人に回せば、外れる 200 個の大半を拾える。C: 点は本人に返るもの。機械が決めた点だと、なぜその点かを説明できない。D: 外れる人がいつも同じ人になる。上に払いのある 1 を書く生徒は、毎回損をする。
山場 D の「いつも同じ人が損をする」が出たとき止める。200 個がばらばらに散るのと、特定の書き方の人に集まるのとでは、話がまったく違う。第13回で「人をグループに分けたとき、境目の人はどうなるか」を出したのと同じ問題。ここが公平性。
C の生徒への手立て 立場カードの 1 行目をそのまま読ませてから、「その立場の人が、いちばん困ることは何か」を聞く。目標 01。
| A 全部任せる | 守るのは速さと、基準のそろい方。人が採点しても見落としはある、という点は事実 |
| B 人が確かめる | 守るのは当たり方。自信のないものだけ人に回せば、外れる 200 個の大半を拾える |
| C 決めるのは人 | 守るのは説明できること。なぜその点かを本人に言えないなら、点にしてはいけない |
| D 任せない | 守るのは公平さ。外れる人がいつも同じ人になる。書き方で毎回損をする人が出る |
| 共通しているもの | 4 つとも「機械は当たる/当たらない」ではなく、外れたとき誰がどう困るかを見ている |
※ 200 個がばらばらに散るのと、特定の書き方の人に集まるのとでは、まったく別の問題。当たり方の数だけでは、この差は見えない
4 つの立場を勝ち負けにしない。「どれが正しいか」ではなく「何を守ろうとしているか」で板書に整理する。最後の一行が節 2 の入口。「当たり方の数だけでは見えないものがある」から、5 つの見方が要る。
「任せる」と「任せない」の間に条件がある

人工知能を使ってよいかを考えるとき、世界で共通して挙がるのが下の 5 つ。体験 01 の場面が、いまそれぞれを満たしているかを班で 1 つずつ選ぶ。押すと下の判定が変わる
※ この判定は端末の中で計算しているだけで、どこにも送られない。5 つの見方の名前だけは、そのまま覚えて使う
討論と 5 つの見方のあと。いまの自分の立場を、もう一度選ぶ
討論の前の帯(体験 01)と並べて投影する。動いた人に「どの発言で動いたか」を言わせる。動かなかった人にも理由を言わせる
進め方(11分) ①5 つの見方を読み上げる(2分) ②班で 1 行ずつ選ぶ(4分) ③投票(2分) ④前の帯と並べて、動いた人に理由を言わせる(3分)。
想定される判定 信頼性は「あやしい」(8 つで測っただけ。第12回の確認用のように、別の答案では測っていない)。公平性は「満たしていない」(外れが特定の書き方に集まる)。透明性は「満たしている」(1 行目の黒の数を見ていると言える)。個人情報保護は「満たしている」(端末の中だけ、名前は読ませない)。責任は「満たしていない」(外れた点をだれが直すか決めていない)。5 つのうち 2〜3 しか満たしていない。
山場 立場は A → B・C へ動くことが多い。D から C へ動く生徒も出る(条件を付ければ使えると気づくため)。「任せる/任せない」の 2 択ではなく、条件を付けて任せ方を決められることが今日の答え。
規制の話 時間があれば一言。5 つを満たしているかを、使う人だけの判断にせず、あらかじめ決まりにしておくという考え方がある。世界にはそういう法律を作った所もある。ここは名前を挙げず、考え方だけ言う。目標 02・03。
| 信頼性 | どれだけ当たるかを、作るときに使っていないデータで測ったか。8 つで測った 6 / 8 は、まだ根拠にならない(第12回) |
| 公平性 | 外れが特定の人に集まっていないか。上に払いのある 1 を書く人は、毎回損をする |
| 透明性 | 何を見て決めたかを、外の人に説明できるか。今回は「1 行目の黒の数」と言える |
| 個人情報保護 | 読ませたものが、誰のものか分かる形でどこかに残っていないか。名前は読ませない(第14回) |
| 責任 | 外れて不利益が出たとき、誰が引き受け、どう直すかが決まっているか |
※ 「任せる/任せない」の 2 択ではなく、5 つのどれが欠けているかで任せ方が決まる。欠けたまま使うなら、あらかじめ決まりにしておくという考え方もある
5 つの語は板書に残して写させる。次回の課題カードの最後の欄「機械に任せられる判断・任せられない判断」を、この 5 つの語で書かせる。第13回で出た「人を分けるときに気をつけること」と、今日の公平性がつながっていることを一言。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。身のまわりで機械が決めている場面を 1 つ挙げ、5 つの見方のどれが足りないかを書く
3 分。「動画やおすすめの並び順(透明性)」「入学や採用の書類の並べ替え(公平性・責任)」「顔で人を見分けるしくみ(個人情報保護)」「自動運転(責任)」が出る。5 つの語を使って書けているかを見る。板書に残す。
次回は「予測モデルの作成と改善」。単元末の課題で、班で現実のデータからモデルを作り、指標で測り、改善案を示す。カードの最後の欄に、今日の 5 つの語で「任せられる判断・任せられない判断」を書く。使うデータは今日のうちに決めておかせる。