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情報Ⅱ (4) 情報システムとプログラミング | 第3回

障害と情報漏えいへの備え

仕組みを設計するには、うまくいかない道を先に描いておく必要がある

50分
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードは新しいものにする。「教師」を押す。前回描いた図(ノートか端末)を必ず手元に出させる。この回は、その図の上に異常の道を書き足す。

投影 体験 01 は端末内で完結する。体験 02 の右の一覧は、10 件ほど集まってから映す。

時間配分 前回まとめ・目標 5分 / 節1 正常でない流れ(体験01 14分) / まとめ 4分 / 節2 確保する側に回る(体験02 18分) / まとめ・自己評価・ふりかえり 9分

この回の評価(単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 情報セキュリティを確保する方法や技術を、止まる・漏れる・書き換わるに対応させて説明している(体験01・02)【重点】
  • 思考・判断・表現 自分が描いた図の上に、正常でない流れとその手当てを書き加えている(体験02)【重点】
  • 態度 使う人が困る場面から考えようとしている(ふりかえり)

指導要領 解説 情報Ⅱ (4) ア(ア)「情報セキュリティを確保する方法や技術について理解し技能を身に付ける」。設計指針 J1L3(構造・仕組みやその中の情報の流れを正常以外も把握。高選)、A4L3。情報Ⅰ (4) で学んだ機密性・完全性・可用性の 3 要素を前提に、確保する側の設計へ進む回。

深入りしない範囲 暗号方式の中身や、サーバの設定・データベースの権限管理には立ち入らない。「何を守るために、どんな手当てを設計に入れるか」までにとどめる。

前回のまとめ

うまくいく道を、図にした

外の相手→処理→残す場所→外の相手

前回描いた図は、すべてうまくいったときの道だった。読み取れて、つながって、書き込めて、返ってくる。しかし実際の仕組みは、そうでない日がある

図書室の端末がつながらない日、貸出はどうなるのか

教師用メモ

前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。問いは 30 秒。「紙に書いて後で入れる」「貸せない」などが出る。ここで答えを決めず、体験 02 で自分の図に書かせる。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
起きうる困りごとを止まる・漏れる・書き換わるに分けられる
02
それぞれに対する確保する方法や技術を挙げられる
03
自分の図に、正常でない流れと手当てを書き加えられる
01 | 14分
3つに分ける

困りごとの種類

手当て | 4分
確保する側

方法と技術

02 | 18分
図に書き足す

困ること→手当て

SECTION 01

正常でない流れ

動かない、見られる、変わっている

店の端末に「ただいま利用できません」と表示され、レジの前で立ち止まっている客と店員
体験 01

起きうる困りごとを、3つに分ける

情報Ⅰ で学んだ 3 つの要素は、裏返すと「起きたら困ること」になる。下の 9 件を 3 つに分ける。まず上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す

止まる = 使いたいときに使えない漏れる = 見せたくない人に見られる書き換わる = 中身が正しくなくなる
教師用メモ

進め方(14分) 一人で 6 分、答え合わせ 4 分。そのあと「自分が調べた仕組みで、いちばん起きそうなのはどれか」を 2 人で 4 分話す。

情報Ⅰ とのつなぎ 止まる=可用性が失われる。漏れる=機密性が失われる。書き換わる=完全性が失われる。情報Ⅰ では「3 つの要素を守る」までだった。この単元では、守るための手当てを設計に入れる側に回る。

迷いやすい所 「集中しすぎて返ってこない」を「書き換わる」に入れる生徒がいる。中身は正しいままなので「止まる」。「日付が置き換わる」は、読めるし動くが信じられなくなるので「書き換わる」。目標 01。

まとめ 01

確保する側に回ると、手当ての形が決まってくる

止まる(可用性)電源や通信が切れても続けられる手順を決めておく(紙に控えてあとで入れる、別の経路に切り替える)。大事な部分は二重にする。記録の控えを別の場所に取る
漏れる(機密性)見られる人を絞る(誰が何をしてよいかを決める)。やりとりの中身を暗号にする。持ち出せる形にしない。名前や番号を必要な分しか集めない
書き換わる(完全性)入ってきた値を、受け取った側で確かめる(数の範囲、日付の形)。いつ誰が変えたかの記録を残す。二重に数えて突き合わせる
共通して要ること「起きたら誰が、何をするか」を先に決めておく。手当ては技術だけではなく、人の手順も含む
教師用メモ

4分。表は読み上げず、体験 01 の 9 件を 1 件ずつ「では、作る側は何を用意するか」と問い返す形で埋める。

強調 解説の言う「情報セキュリティを確保する方法や技術」は、暗号などの技術だけを指していない。止まったときの手順も方法のうち。目標 02。

深入りしない範囲 暗号の仕組みや権限の設定方法には入らない。「何のために入れるか」で止める。

SECTION 02

自分の図に、書き足す

異常の道を描いて初めて設計は使えるものになる

前回描いた流れの図に、赤い色で分かれ道と注意書きを書き足している高校生の手元
体験 02

起きたら困ることと、そのときの手当てを書き出す

前回描いた図を開く。矢印か処理を 1 か所選び、そこで起きたら困ることを書く。次に、作る側として用意しておく手当てを書く。図には、その分かれ道を書き足しておく

※ 前の回の図が手元にない人は、図を描き直さなくてよい。「図書室の貸出」の流れを思い出して、どこか 1 か所を選べばよい

止まる漏れる書き換わる
起きたら困ること | 図のどこで起きるかも書く
そのときの手当て | 誰が何をするかまで書く

全員の「困ること → 手当て」が右に並ぶ。同じ困りごとに違う手当てが出た 2 組を並べて、どちらが使う人にとって楽かを問う

みんなの、困ることと手当て
教師用メモ

進め方(18分) 一人で 8 分(図への書き足しも含む)。2 人組で「その手当てで本当に回るか」を確かめ合う(5分)。直して送り、全体で 3 件拾う(5分)。

問い返し 「紙に控える」と書いた生徒には「その紙は誰が持ち、いつ捨てるか」を問う。止まる手当てが、漏れる原因を新しく作ることがある。手当ては別の困りごとを生むことに気づかせたい。

C の生徒への手立て 「止まる」を選ばせ、「そのとき使う人は何ができなくなるか」を一行書かせる。そこから手当てを一つだけ考えさせる。

評価 ここで集まった一覧が、この回の評価場面(異常時の流れの書き出し)。目標 03。

まとめ 02

手当てを入れると、別の困りごとが生まれる

止まる手当てが生む問題紙に控えると、紙が残る。控えを別の場所に取ると、その場所も守らなければならない
漏れる手当てが生む問題見られる人を絞りすぎると、必要な人が使えなくなる。合言葉を増やすと、使う人が書き留めてしまう
書き換わる手当てが生む問題確かめる項目を増やすほど、入力に時間がかかる。厳しくしすぎると、正しい入力もはじかれる
だから設計になるどれも「全部やる」ことはできない。何を、どこまで守るかを選ぶのが設計。選んだ理由が言えることが大事
教師用メモ

3分。「安全と使いやすさは、どこかで交換になる」で締める。第4回で、この交換が社会にどう出たかを扱う。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の操作で答える

01
3つに分ける 止まる・漏れる・書き換わる。情報Ⅰ の 3 要素の裏返しだった
02
確保する方法 技術だけでなく、止まったときの手順も方法のうちだった
03
図に書き足す 自分の図に、正常でない道と手当てを書き加えた
自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01困りごとを止まる・漏れる・書き換わるに分けられる
02それぞれに対する確保する方法や技術を挙げられる
03自分の図に正常でない流れと手当てを書き加えられる
できただいたいまだ
教師用メモ

1分。「まだ」が多い目標は、第4回の冒頭で拾い直す。

ふりかえり

安全にするために、我慢していると気づいたこと

一文でよい。「〇〇を守るために、△△が不便になっている」の形で書く

みんなが見つけた交換
教師用メモ

3分。出てきたものを 2〜3 個読み上げる。次回は、この交換を社会全体で見る。あるサービスが広まったとき、便利になった人と困った人がいる。