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情報Ⅱ (4) 情報システムとプログラミング | 単元設計
逆算で設計する。根拠は三つ。学習指導要領と解説 情報編の「情報Ⅱ」(4)、情報教育課程の設計指針 第2版の (高選) 水準、情報・技術WG のまとめ。本文の [解説][指針][WG] は、下の出典の該当箇所を指します。
この回の並びのファイル名は lessons/8-01〜8-16 です。情報Ⅱ の 5 単元を 5〜9 に置いているため、(4) は 8 になります。
この単元の位置
[解説]は (4) を「情報システムの在り方や社会生活に及ぼす影響、情報の流れや処理の仕組みに着目し、情報システムを協働して開発する活動を通して」と定めています。内容の取扱い (4) は「アの(ア)及びイの(ア)については、社会の中で実際に稼働している情報システムを取り上げ、それらの仕組みと関連させながら扱う」と指定しています。
だからこの単元は、調べる(第1〜4回)→ 設計する(第5〜8回)→ 作って統合する(第9〜13回)→ 運用して直す(第14〜16回)の順で進みます。[指針]も同じ構えです。J3L1「システム開発が単なるプログラム作成と違う点について知っている」(高選) が、この単元の入口そのものです。
[解説]は範囲も限定しています。Web システムを扱うならサーバサイドプログラムやデータベースを、計測・制御を扱うならセンサの知識を、それぞれ深入りしない範囲で扱う、と。中学校 技術分野の「計測・制御のプログラミング」の経験を踏まえる、とも書かれています。
本質的な問い
動いている仕組みは、誰かが作った。作る側に回ったとき、自分は何を決め、何に責任を持つのか。
[解説]が (4) の学習活動に挙げる「一人暮らしの高齢者の状況を見守るシステムをグループで制作する」例を、生徒が自分に向けて問える形にしたものです。
単元の目標(3観点)
| 観点 | 単元の目標 | 根拠 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 情報システムの情報の流れと処理の仕組み、情報セキュリティを確保する方法や技術を説明できる。設計を表記する方法と、設計・実装・テスト・運用の流れ、プロジェクト・マネジメントを説明できる。システムを構成するプログラムを制作できる | [解説 ア(ア)(イ)(ウ)] |
| 思考・判断・表現 | 情報システムとサービスの在り方、社会に果たす役割と及ぼす影響を考察できる。いくつかの機能単位に分割して制作し統合するなど、開発の効率や運用の利便性に配慮して設計できる。プログラムを制作し、その過程を評価し改善できる | [解説 イ(ア)(イ)(ウ)] |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 分担を守って進み具合を共有し、他の人が使うことを前提に作ろうとしている | [解説](4) の趣旨、[指針 F3L4・G5L3] |
[解説 内容の取扱い (4)]: 「アの(ア)及びイの(ア)については、社会の中で実際に稼働している情報システムを取り上げ、それらの仕組みと関連させながら扱う」。第1〜4回がこれに当たります。
評価課題(単元末のパフォーマンス課題)
「教室で使える小さな情報システムを、班で分担して作り、動かして、直して引き渡す」(第9〜16回)
- 3〜4 人の班。[解説]が例に挙げるのは「小規模の簡単な掲示板などの Web システム」「サーバと連携して動作する携帯情報端末用のアプリケーション」「コンピュータによる通信を利用した計測・制御システム」です
- 機能単位に分割します。[解説]の見守りシステムの例では「状況を見守るセンサ部分」「異常かどうかを判断する部分」「メッセージを届ける部分」に分けています。班員が一つずつ担当し、並行して作ります
- 統合して動かします。ここで必ず食い違いが出るので、そこが学びの山になります
- クラスの誰かに実際に使ってもらい、自己評価と相互評価を行って改善します
| 観点 | B(おおむね満足) | A(十分満足) | C の生徒への手立て |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 分担した機能のプログラムが、単体で意図どおり動く | 想定外の入力に対しても止まらないよう手当てしている | 第8回の分割図に戻り、自分の担当の入力と出力を一つずつ書かせる |
| 思考・判断・表現 | 機能単位に分けた理由を説明できる | 統合で出た食い違いの原因を、設計か実装かに切り分けて説明している | 「隣の担当に何を渡すか」を先に一行で決めさせる |
| 態度 | 進み具合を共有し、遅れを早めに伝えている | 使った人の指摘を取り入れて直し、直した理由を記録している | 指摘を一つだけ選ばせ、直す所を一行で決めさせる |
各回と評価(形成的評価の場面)
| 回 | 題 | [解説] | [指針]の水準 | 重点 | 評価場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 身のまわりの情報システム | ア(ア)。取扱い (4)。学習活動の POS システムの例 | J1L3(システムの構造/仕組みや情報の流れを把握。高選) | 知 | 調べた仕組みの一覧/ふりかえり |
| 2 | 情報の流れの図示 | ア(ア) | C2L1・C2L2(モデル図を読む/描く。高選) | 技 | データの流れの図(教室に集まる) |
| 3 | 障害と情報漏えいへの備え | ア(ア)「情報セキュリティを確保する方法や技術」 | J1L3(正常以外の流れも把握)、A4L3 | 知・思 | 異常時の流れの書き出し |
| 4 | 情報システムが社会に与えた影響 | イ(ア) | H5L3、J1L3 | 思 | 便利になった人と、困った人 |
| 5 | 伝わる形の設計書 | ア(イ)「情報システムの設計を表記する方法」 | C2L2、J3L2(標準的な図法を知っている。高選) | 技 | 画面の並びと、状態の移り変わりの図 |
| 6 | 開発の工程 | ア(イ)「設計、実装、テスト、運用等のソフトウェア開発のプロセス」 | J3L1(システム開発が単なるプログラム作成と違う点。高選)、J3L2 | 知 | 流れの並べ替えと、抜けの指摘 |
| 7 | 分担と工程の計画 | ア(イ)「プロジェクト・マネジメント」 | F3L4(チームで反復型プロセス/管理とともに構築。高選)、G5L3 | 知・態 | 分担表と締切(教室に集まる) |
| 8 | 機能の分割 | イ(イ)「いくつかの機能単位に分割して制作し統合する」 | F2L4(抽象階層をもつプログラムを設計/構築。高選) | 思 | 分割図と、担当の割り当て |
| 9 | データの保存と管理 | ア(ウ) | D2L3(データベースやデータ構造による取り扱い。高選) | 技 | 保存する項目の設計 |
| 10 | サーバとのやり取り | ア(ウ) | A3L3、J1L3 | 技 | 頼む側と返す側の役割の確認 |
| 11 | 担当部分の実装 | ア(ウ) イ(ウ) | F2L4 | 技 | 単体で動くプログラム(端末に残る) |
| 12 | 結合と動作確認 | イ(イ)(ウ)「制作し統合する」 | F3L4、E2L3 | 技・思 | 統合と、出た食い違いの記録 |
| 13 | 異常な入力による検査 | イ(ウ) | F4L3(複数種類のテストケースや要求仕様に基づき不備を確認し修正。高選) | 思 | テストの一覧と、直した所 |
| 14 | 利用者による試用 | イ(ア)(ウ) | J3L2、G4L3 | 態 | 使った人の反応の記録 |
| 15 | 相互評価 | イ(ウ) | K2L2、G3L3 | 思・態 | 相互評価 |
| 16 | 改善と引き渡し | イ(ウ)「その過程を評価し改善する」 | K2L2 | 思・態 | 改訂版と、直した理由(単元末) |
[解説]の指定どおり、サーバサイドやデータベース(第9・10回)、センサ(計測・制御を選んだ場合)は深入りしません。中学校 技術分野「D 情報の技術」の計測・制御のプログラミングの経験を前提にします。
設計指針(第2版)との対応
- J. システムとその設計: この単元の背骨です。指針は J1L3・J3L1・J3L2 を「情報科の選択科目の中で情報システムに関する主要な内容として実習も併用して学ぶようにするべきである」としています。J3L1「システム開発が単なるプログラム作成と違う点」が第6回、J3L2「複数のプロセスとその善し悪しや標準的な図法」が第5・6回、J1L3「構造/仕組みやその中の情報の流れ(正常以外も)」が第1〜4回です
- C. モデル化とシミュレーション/最適化: C2L1・C2L2(状態遷移図やデータフロー図などのモデル図を読む/描く。高選)について、指針は「情報システムを取り扱うところで、情報システムの理解のためにモデル図を描いてみる、自分たちで情報システムを考案する中でツールとしてモデル図を用いる」形を勧めています。第2回が前者、第5回が後者です
- F. プログラムの活用と構築: F2L4「抽象階層をもつプログラムを設計/構築できる」(高選) について、指針は「手続き/関数による抽象化やオブジェクトによる抽象化に着目させ、自分が開発するプログラムに取り入れさせ、その効果を確認させる」としています。第8・11回です。F3L4(チームで反復型プロセス/管理とともに構築)と F4L3(複数種類のテストケースに基づき不備を確認し修正)は、第7・12・13回で扱います。指針は F4L3 について「AI に調べさせたり修正案を出させるのはよいが、何が問題だったか、なぜどのように直したのかを理解させる」と釘を刺しています
- D. データとその扱い: D2L3(データベースやデータ構造による取り扱い。高選)を第9回で、指針の言う「プログラミングやデータベースの実習により理解させる」形で扱います
- E. 計算モデル的思考: E2L3について指針は「情報システム的な問題解決と組み合わせて学ぶ」としています。第12回の統合がその場面です
情報Ⅰ とのつながり
| 情報Ⅰ で学んだこと | この単元での広げ方 |
|---|---|
| (3) プログラミング。手順を書いて動かす | 他の人と分担して作り、統合する。抽象化で分ける |
| (4) ネットワークと情報システム。仕組みを知る | 仕組みを図に描き、自分たちで設計する |
| [(4)] セキュリティの3要素 | 確保する方法と技術として、異常時の流れまで設計する |
| (1) 情報社会の問題解決。社会への影響 | 作る側の立場で、及ぼす影響に責任を持つ |
生徒の探究とのつながり
探究で「仕組みを作って解決したい」と考えたとき、行き詰まるのはプログラムの書き方ではなく、分けること・決めること・確かめることです。この単元は、そこを扱います。
- 第5回の設計の図、第7回の分担表、第13回のテストは、探究のものづくりにそのまま使えます。復習の「探究へ」で、自分の探究で作りたい仕組みと、その分け方を書き溜めます
- メモは端末の中の 探究ノート に集まります
- 第14回で「利用者による試用」を必ず入れます。探究の成果も、使われて初めて評価できます
他校でそのまま使える形にする
学校固有の呼び名や、校内で使っている道具の名前は書きません。開発環境も指定せず、Web・アプリ・計測制御のどれを選んでも同じ流れで進む形で書きます。
出典
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編
- 文部科学省。解説 情報編(PDF)、高等学校学習指導要領の告示・解説の一覧
- 該当箇所: 第2章 第2節 情報Ⅱ の「2 内容とその取扱い」の (4) 情報システムとプログラミング(ア(ア)(イ)(ウ)、イ(ア)(イ)(ウ))、「(内容の取扱い)」の (4)、(4) の全体にわたる学習活動の例(POS システムの調査、掲示板などの Web システム、サーバと連携する携帯情報端末用アプリケーション、計測・制御システム、見守りシステムのモジュール分割、深入りしない範囲の指定)
- 中学校側は 中学校学習指導要領(平成29年告示)解説の一覧。技術・家庭科 技術分野「D 情報の技術」の計測・制御のプログラミング
情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)
- 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 報告、令和8年(2026年)5月12日。報告本文(PDF)、情報処理学会の紹介ページ
- 使った箇所: カテゴリ C・D・E・F・J の項目と水準の表、「学校段階ごとの扱い」の高等学校の記述。(高選) は選択科目で学ぶことが望まれる水準の印です
中央教育審議会 教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ
- 文部科学省。会議のページ、第11回 配付資料(2026年6月25日)
- 使った要点: 「プログラミング的思考を、手順・コード中心から目的、価値、責任、評価・改善を含む課題解決全体へ拡張する」(要点 5)がこの単元の設計そのものです。「情報Ⅰは……アルゴリズム・システム開発、PBL による統合へ接続」(要点 4)も参照しました。審議中のため方向として参照し、実施は現行の指導要領に合わせます