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中学校 技術・家庭科 技術分野「D 情報の技術」 | 単元設計

逆算で設計する(高次の資質・能力 → 単元の目標・評価規準 → 評価課題 → 学習過程 → 形成的評価)。根拠: 中学校学習指導要領と解説 技術・家庭編 技術分野「D 情報の技術」(1)〜(4)、設計指針第2版の中学校段階((中情) 印の水準。カテゴリ A・F を中心に、B・C・D・G・H・J・K・X)、情報・技術WG の要点。本文の [解説][指針][WG] は、下の出典の該当箇所を指す。

WG の要点のうち、この単元設計に効いているもの:

  1. 情報活用能力を、小学校の情報の領域 → 中学校の情報・技術科 → 高等学校の情報科を核として体系的に育成する方向。この単元は、その真ん中に置く
  2. プログラミング的思考を、手順・コード中心から目的・価値・責任・評価改善を含む課題解決全体へ広げる方向。だから第6〜11回は「誰の何を良くするか」から始め、評価と改訂で終える
  3. メディアリテラシー・AI・情報モラルを、情報技術の適切な取扱いとして明確化する方向。第5回を独立して置くのはこのため
  4. 単元設計は、高次の資質・能力 → 目標・評価規準 → 評価課題 → 学習過程 → 形成的評価の順に逆算し、教科書の見開きを毎時消化する方式から離れる方向

なお WG は中学校の教科名を「情報・技術科」とする方向を示しているが、審議中なので、この単元は現行の技術・家庭科 技術分野「D 情報の技術」(平成29年告示)で実施できる形で書く。WG は 2026年6月の第11回までを参照した。

なぜ中学校版を作るか

高等学校「情報Ⅰ」の 4 単元は、中学校技術分野で学んだことの上に立っている。同じ考え方を、中学校で扱う水準と題材で先に一度通すことで、高校で「はじめて聞いた」が減る。この単元は高校の縮小版ではない。中学校で身につけるべき内容([指針]の「(中情)」印が付く水準)に合わせて書き下ろす。

高校との関係は各回の教師用メモと、下の「高等学校「情報Ⅰ」とのつながり」に書く。高校側の設計は 高等学校 情報Ⅰ 単元(1)の設計 から読める。教える人が、前後のつながりを見て加減できるようにする。

本質的な問い

その技術は、誰の何を良くするために作られたのか。自分ならどう作り、どう直すか。

[解説]D(1) の「情報の技術の見方・考え方」(社会からの要求、使用時の安全性、システム、経済性、情報の倫理やセキュリティ等に着目し、最適化する)と、[指針 J1L1]「身近にあるシステムを同定し、その意図(目的+ビジョン)と仕組み/機能/特徴/役割/限界などを調べたり確認できる」(中情) を、生徒が自分に向けて問える形にしたもの。

単元の目標(3観点)

観点単元の目標
知識・技能情報の技術の仕組み(デジタル表現、ネットワーク、情報セキュリティ)を理解し、双方向性のあるコンテンツと計測・制御のプログラムを、目的に合わせて作る技能を身につけている
思考・判断・表現生活や社会の中から問題を見いだして課題を設定し、解決策を構想して設計・製作し、動作の確認と評価をもとに改善している
主体的に学習に取り組む態度よりよい生活や持続可能な社会の構築に向けて、情報の技術を評価し、活用しようとしている

指導要領の対応: D(1) 生活や社会を支える情報の技術 / D(2) 双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決 / D(3) 計測・制御のプログラミングによる問題の解決 / D(4) 社会の発展と情報の技術。D(2)(3) はどちらも「問題を見いだして課題を設定し、設計・製作し、評価・改善する」流れを求めるので、第6〜11回はこの流れを二度通す形にした。

教室での実行環境

プログラミングはページの中で動く部品で行う。命令のカードを並べる形(順次・分岐・反復)で、文字入力を最小にする。学校でビジュアル型の環境や教材ロボットを使っている場合は、この部品で考えを整理してから、そちらで作る流れにできる。 生徒の回答は教室コードで集約する。氏名は入れない。データは 24 時間で消える。

評価課題(単元末のパフォーマンス課題)

「学校や家の困りごとを一つ、情報の技術で解決する」(第11回)

観点B(おおむね満足)A(十分満足)C の生徒への手立て
知識・技能順次・分岐・反復のどれかを使ったしくみが動く条件や繰り返しを組み合わせ、想定外の入力にも対応している授業で動かした見本をそのまま写させ、1 か所だけ(数、条件、出す言葉)変えさせる
思考・判断・表現誰の何を良くするかを決め、しくみにしている別の解決策と比べて、選んだ理由を述べている「誰が」「いつ」「何に困るか」の 3 語だけを先に書かせ、そこからしくみを 1 つ決めさせる
態度動作を確かめて直している直した点と理由を書き、社会での使われ方まで考えている確かめる場面を 1 つに絞って(「ボタンを押したとき」)、動いたか動かなかったかだけを記録させる

各回と評価

各回のページには、表紙の教師用メモに「この回の評価」を、ふりかえりの枚に「目標の自己評価」(生徒が3段階で答え、投影に分布が出る)を置く。自己評価の分布は、次回冒頭で「まだ」の多かった目標を拾い直すために使う。

回題指導要領評価の重点主な体験
1身のまわりの情報の技術D(1)(4)知・態教室の中の情報の技術を探す/その技術が良くしたことを言う
2デジタル化のしくみD(1)知2 進数のスイッチ/絵をマスに分けて数にする/写真に付いている記録(メタデータ)
3情報が届くしくみD(1)知ばらして送る/届く道を切ってみる/データがどこに保管されるか
4安全な利用と情報セキュリティD(1)知・態場面ごとに危ないところを見つける/合言葉の強さ/守る技術
5メディアと AI とのつきあい方D(1)(4)思・態同じ出来事の伝わり方を比べる/AI が作ったものを見分ける/責任は誰にあるか
6双方向のしくみの設計D(2)思誰の何を良くするかを決める/やりとりの流れを図にする
7双方向のしくみの制作D(2)技命令カードを並べて動かす/入力を確かめる
8計測と制御のしくみD(3)知・思センサの値を見る/しきい値を決める/動く前に予想する(モデル)
9条件で動くプログラムD(3)技分岐と反復で自動で動かす/想定外を試す
10データの収集と判断D(3)(4)技・思動かして集めた記録を表とグラフにする/数を根拠に決める
11プログラムの評価と改善D(2)(3)思・態提出/相互評価/改訂版
12これからの情報の技術D(4)態技術の良い面と心配な面を挙げる/どう使うかを決める

高等学校「情報Ⅰ」とのつながり

高校側の設計は 高等学校 情報Ⅰ 単元(1)の設計 から。情報Ⅰの各単元は、下の中学校の回を「中学校で聞いた」前提として確かめてから、(高必) の水準へ進む。

中学校高等学校 情報Ⅰ
第2回 デジタルで表す(2) 第3〜7回 デジタル表現(標本化・量子化・符号化、圧縮)
第3回 つながって届く(4) 第1〜3回 ネットワークとインターネット、パケット、サーバ
第4回 安全に使う(1) 第4・5回 個人情報 / (4) 第5回 暗号と認証
第5回 メディアと AI(1) 第1・3・8回 情報の特性、モラルと法、よりよい情報社会へ
第6・7回 双方向のしくみ(3) 第5〜8回 プログラムの基本構造 / (4) 第6回 情報システム
第8・9回 計測・制御(3) 第9・10回 モデル化とシミュレーション
第10回 データを集めて見る(4) 第8〜10回 データの形式、分析の流れ、2つの事柄の関係
第11回 評価し直す各単元末のパフォーマンス課題
第12回 これからの技術(1) 第7・8回 情報技術の発展と社会

小学校とのつながり

小学校では、情報の領域や各教科の中で「コンピュータは指示した内容を自動的に処理する装置で、手順を与えると思ったとおりに動く」([指針 A2L1]小情)「情報は媒体に保管できる」([指針 D1L1]小情)「他人に見られたくない情報がある」を体験している。この単元は、それを仕組みの説明と自分で作るの水準に上げる。第1回の導入で、小学校で作ったプログラムの話を聞くところから始めるとつながる。小学校側の設計は 小学校版の単元設計。

設計指針(第2版)との対応

指針の表記は「カテゴリ・項目・水準」。たとえば F4L1 は、カテゴリ F の項目 4「ソフトウェアのテストと改良」の水準 1。末尾の (中情) は中学校の情報の内容(技術・家庭科 技術分野)で扱う水準、(中般) は中学校で教科を限らず扱う水準、(小情) は小学校の水準、(高必) は高校の必履修科目で扱う水準を指す。指針の「学校段階ごとの扱い」の中学校の記述は、多くの水準を「技術科の中で」扱うとしている。この単元はその水準を、次の回に置く。

生徒の探究とのつながり

この単元で身に付ける「誰の何を良くするかを決める」「動く前に予想し、実際と比べる」「集めた数を根拠に決める」「相互評価を受けて直す」は、そのまま総合的な学習の時間と、技術分野の他の内容(A 材料と加工、B 生物育成、C エネルギー変換)の問題解決の課題の道具になる。指針も K1L1・K2L1 を「他教科やその他の問題解決場面にも適用させたい」とする。授業の側からは、次でつなぐ。

他校でそのまま使える形にする

学校固有の呼び名や、校内で使っている道具の名前は書かない。教室コードで集まる部品は、どの学校でもこのページだけで動く。使っている教材ロボットや開発環境は、教師用メモで「学校のものに置き換える」と示す。

出典

中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 技術・家庭編

情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)

中央教育審議会 教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ