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情報Ⅱ (2) コミュニケーションとコンテンツ | 単元設計
逆算で設計する。根拠は三つ。学習指導要領と解説 情報編の「情報Ⅱ」(2)、情報教育課程の設計指針 第2版の (高選) 水準、情報・技術WG のまとめ。本文の [解説][指針][WG] は、下の出典の該当箇所を指します。
この回の並びのファイル名は lessons/6-01〜6-12 です。情報Ⅱ の 5 単元を 5〜9 に置いているため、(2) は 6 になります。
この単元の位置
[解説]は (2) を「文字、音声、静止画、動画などを組み合わせたコンテンツを協働して制作し、様々な手段で発信する活動を通して」と定めています。情報Ⅰ (2) が「相手に伝わる形を考える」までだったのに対し、ここはまとまった規模のものを、班で分担して作り、外に出し、評価を受けて直す単元です。作ることより、設計 → 制作 → 発信 → 評価 → 改善の一周を回すことに時間を使います。
[指針]も同じことを言っています。B5L4・B6L3 について「情報科の選択科目の中で、ある程度まとまった規模のチーム制作とともに学ばせることが考えられる」。
本質的な問い
同じ内容でも、誰が、どの形で、どこへ出すかで、届くものは変わる。自分たちの作ったものは、受け取った人に何をさせたのか。
[解説]の (2) 冒頭「多様なコミュニケーションの形態とメディアの特性に着目し、目的や状況に応じて情報デザインに配慮し」を、生徒が自分に向けて問える形にしたものです。
単元の目標(3観点)
| 観点 | 単元の目標 | 根拠 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | コミュニケーションの形態とメディアの特性の関係を説明できる。文字・音声・静止画・動画を組み合わせたコンテンツを制作できる。発信の手段と、それぞれの届き方を説明できる | [解説 ア(ア)(イ)(ウ)] |
| 思考・判断・表現 | 目的と状況からメディアの組合せを決められる。情報デザインに配慮して制作し、評価をもとに改善できる。発信したときの効果と影響を予想し、手段とコンテンツを直せる | [解説 イ(ア)(イ)(ウ)] |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 班で役割を分けて進め、受け手の視点からの評価を受け入れて直そうとしている | [解説](2) の趣旨、[指針 G4L3・G5L3] |
[解説 内容の取扱い (2)]: 「アの(ア)及びイの(ア)では、コンテンツに対する要求を整理する活動も取り入れる。アの(ウ)及びイの(ウ)では、発信者、受信者双方の視点からコンテンツを評価する活動を取り入れる」。前者が第2回、後者が第10・11回です。
評価課題(単元末のパフォーマンス課題)
「決めた相手に、決めた行動をしてもらうためのコンテンツを班で作り、発信して、評価をもとに直す」(第7〜12回)
- 3〜4 人の班。相手(学校の誰か、地域の誰か)と、その人にしてほしい行動を一つ決めます。[解説]が例に挙げる「目的や状況に応じた Web サイトの制作」に沿って、設計・制作・発信・評価・改善の流れを意識させます
- 設計段階は発散してから収束します。[解説]は「ブレーンストーミングなどの思考を拡散する方向で目的や状況を広く考えた後に、実際に制作するものについて情報を整理して設計につなげる」と述べています
- 制作段階は役割分担を行い並行して作業します。文字・静止画・音声・動画のうち 2 つ以上を組み合わせます
- 発信段階では、内容・想定される効果と影響を考え、必要に応じて発信の範囲を限定します
- 評価は、ルーブリックで定めた段階的な基準による自己評価と相互評価で行います
| 観点 | B(おおむね満足) | A(十分満足) | C の生徒への手立て |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | メディアを 2 つ以上組み合わせ、それぞれを選んだ理由を書いている | 相手の受け取り方まで考えて組合せを決め、代わりの案と比べている | 第1回の表に戻り、相手が「見る」「聞く」のどちらの場面かを一つ決めさせる |
| 思考・判断・表現 | 情報デザインの配慮を一つ挙げて実装している | 発信後の効果と影響を予想し、範囲や表現を自分たちで限定している | 「この人が見て、次に何をするか」を一文で書かせる |
| 態度 | 相互評価を受けて、コンテンツか発信方法を直している | 直した点と理由をふりかえりに書き、次の制作に生かすことを挙げている | 受けた評価のうち一つだけ選ばせ、直す所を一行で決めさせる |
各回と評価(形成的評価の場面)
| 回 | 題 | [解説] | [指針]の水準 | 重点 | 評価場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 伝え方の形とメディアの特性 | ア(ア) | G1L3、G2L4 | 知 | 形態とメディアの対応表/ふりかえり |
| 2 | 受け手と目的の設定 | ア(ア) イ(ア)。取扱い (2)「要求を整理する活動」 | B6L3(事柄を的確に伝える構造/メディア選択。高選) | 思 | 要求の一覧と、優先順位 |
| 3 | 目的と相手に応じたメディアの組合せ | イ(ア) | G2L2、B5L3 | 思 | 組合せの決定と、選ばなかった案の理由 |
| 4 | 文字と静止画の制作 | ア(イ) | B5L3 | 技 | 素材の加工(端末に残る) |
| 5 | 音声の制作 | ア(イ) | G2L1 | 技 | 録音と編集、聞き取りやすさの確認 |
| 6 | 動画の制作 | ア(イ) | G2L1 | 技 | 短い動画(15 秒)と、切った理由 |
| 7 | 情報デザインを踏まえた設計 | イ(イ) | B5L4(統一された UX をグループで設計/制作。高選) | 思 | 設計図(画面の並びと導線) |
| 8 | 分担と並行制作 | 解説の「役割分担を行い並行して作業」 | G5L3、F3L4 の考え方 | 態 | 分担表と進み具合(教室に集まる) |
| 9 | 公開先と公開の方法 | ア(ウ) イ(ウ) | H4L3、G1L3 | 知・思 | 発信手段の選択と、範囲を限定した理由 |
| 10 | 公開後の受け取られ方 | イ(ウ)。取扱い (2)「発信者、受信者双方の視点」 | H2L3(情報操作/印象操作の認識)、H5L2 | 思 | 効果と影響の予想/受け手として見た指摘 |
| 11 | 評価基準と相互評価 | 解説の「ルーブリックなどで定めた段階的な基準による評価」 | G4L3 | 思・態 | ルーブリックによる自己評価と相互評価 |
| 12 | 改善と再公開 | イ(イ)(ウ) | B5L4 | 思・態 | 改訂版と、直した理由(単元末) |
各回のページには、表紙の教師用メモに「この回の評価」を、ふりかえりの枚に「目標の自己評価」を置きます。第4〜6回の制作は、学校の設備に合わせて道具を選べるように、特定のソフトウェアの操作手順は書きません。
設計指針(第2版)との対応
- B. 情報の創造とデザイン: B5L4「統一された/好ましい UX を持つコンテンツ/機能やアプリケーションをグループで設計/制作できる」(高選) と B6L3「事柄を的確に伝える構造/メディア選択のコンテンツやアプリケーションを創出できる」(高選) が、この単元の中心です。指針は両方を「ある程度まとまった規模のチーム制作とともに学ばせる」としており、第7〜12回がその形です
- G. コミュニケーションとメディアおよび協調作業: G2L2(マルチメディアやハイパーテキストのコンテンツを計画/デザインし作成。中情)は前提として確かめ、G2L4(マスメディア等の社会的役割や影響)へ第1・10回で広げます。G5L3(グループの目的に向けて自己の活動を判断し他者と調整。高必)は第8回の分担そのものです
- H. 情報社会/メディアと倫理/法/制度: H2L3(情報操作/印象操作を認識できる。高必)は第10回で、作る側に回ってから捉え直します。自分たちのコンテンツが受け手にどう働くかを見るのが、この単元でしかできない扱い方です
- J. システムとその設計: J2L2(人間とのインタフェース)は、指針が「情報デザインやデザイン思考(B5、B6)の内容とともに学ぶのが自然」としています。第7回の設計がその場面です
情報Ⅰ とのつながり
[解説]は、コミュニケーションの多様化・情報デザイン・コンテンツについて、情報Ⅰ (2) コミュニケーションと情報デザイン と関連付けて扱うよう求めています。
| 情報Ⅰ (2) で学んだこと | この単元での広げ方 |
|---|---|
| メディアの特性、デジタル化の仕組み | 組み合わせて作る。素材の加工まで自分でやる |
| 相手と目的から表し方を選ぶ | 相手の要求を整理してから選ぶ。選ばなかった案も残す |
| 情報デザインの工夫 | まとまった規模で、統一感をもって設計する |
| 一人で作って見せ合う | 班で分担して並行制作し、外に発信して評価を受ける |
生徒の探究とのつながり
探究の成果は、結局のところ人に伝わらなければ終わりません。この単元の一周(要求の整理 → 設計 → 分担制作 → 発信 → 評価 → 改善)は、探究の発表そのものの作り方です。
- ポスター、スライド、動画、Web のどれで出すかを、相手の要求から決められるようになります。復習の「探究へ」で、自分の探究の相手と、その人にしてほしい行動を書き溜めます
- メモは端末の中の 探究ノート に集まります
- 第11回のルーブリックは、探究の発表の自己評価にそのまま流用できます
他校でそのまま使える形にする
学校固有の呼び名や、校内で使っている道具の名前は書きません。制作に使うソフトウェアも指定せず、「文字・静止画・音声・動画を扱える道具」とだけ書きます。
出典
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編
- 文部科学省。解説 情報編(PDF)、高等学校学習指導要領の告示・解説の一覧
- 該当箇所: 第2章 第2節 情報Ⅱ の「2 内容とその取扱い」の (2) コミュニケーションとコンテンツ(ア(ア)(イ)(ウ)、イ(ア)(イ)(ウ))、「(内容の取扱い)」の (2)、および (2) の全体にわたる学習活動の例(設計・制作・発信・評価・改善の流れ、ブレーンストーミング、役割分担、発信範囲の限定、ルーブリック)
情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)
- 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 報告、令和8年(2026年)5月12日。報告本文(PDF)、情報処理学会の紹介ページ
- 使った箇所: カテゴリ B・G・H・J の項目と水準の表、「学校段階ごとの扱い」の高等学校の記述。(高選) は選択科目で学ぶことが望まれる水準の印です
中央教育審議会 教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ
- 文部科学省。会議のページ、第11回 配付資料(2026年6月25日)
- 使った要点: 「情報Ⅰは基盤理解から情報デザイン……PBL による統合へ接続する」(要点 4)、「メディアリテラシー、AI、情報モラルの明確化」(要点 6)。審議中のため方向として参照し、実施は現行の指導要領に合わせます