ずれていることを書いておけば、ずれたまま使ってもよい
10〜50分準備 教室コードを新しく決める(例: c103)。「教師」を押す。基準に使うのは学校にある温度計でよい。専用の器具は要らない。本体があれば、授業の 10 分前に温度計のそばに置いておく(置いてすぐは本体が温まっていて、ずれが大きく出る)。窓ぎわと廊下の温度差も、この回の基準として使える。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。体験 01 はつまみを動かすと表の右の列が変わる。投影で 1 回動かして見せてから、各自に任せる。体験 02 は 3 つのボタンを順に押す形なので、投影で全員そろえて進めてよい。
時間配分
この回の評価
指導要領 中学校 技術・家庭科 技術分野 D(3)(計測・制御のプログラミング)。高等学校 情報Ⅱ (4)(計測・制御システムは深入りしない範囲で)。設計指針(第2版)A5(A5L2・A5L3 機器の制御)、D1L4(データはネットや IoT・センサからも来る)、D5(実際のデータ処理)、I1(論理的推論。ずれのある数から判断する)。単元の全体は 単元設計のページ、道具の使い方は 情報学探究マニュアル。
前にやった回 情報Ⅱ (4) 第9回のまとめ02「項目・形・いつまで・誰が見られる」で、記録に何を添えるかを決めた。今日の但し書き(使った基準・ずれの大きさ)は、その項目の続き。探究 第5回の体験02「そのままでは測れない言葉を、書き直す」で決めた測るものが、この本体でどれだけずれるかを、ここで確かめる。
本体が数台しかないとき この回は本体が少ないほうがよく分かる。2 台あれば体験 02 の山場(2 台で比べると結論が逆になる)を実物で見せられる。1 台なら、その 1 台と教室の温度計の差を全員で見て、体験 02 は画面の記録で進める。0 台でも、体験 01・02 は端末だけで最後まで終わる。
前回で、毎回ばらつくことは分かった。10 回はかって、真ん中あたりの数を選ぶところまで来た。では、その真ん中の数は、ほんとうの温度なのか
10 回とも同じようにずれていたら、何回はかっても気づけるか
問いに 30 秒。答えは「気づけない」。何回はかっても、ずれの向きが同じなら平均もずれたまま。ばらつきとずれ(かたより)は別のものだと言ってから体験 01 へ。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
5 か所の差を見る
2 台で比べると逆になる
学校にある温度計のとなりに、置いてみる

まず下の予想を 1 つ選ぶ。5 か所で、学校の温度計と micro:bit を並べて置いた記録。つまみで引く値を動かすと、右の列が変わる。残ったずれがいちばん小さくなる値を探す
| 場所 | 温度計(基準) | micro:bit | 引いたあと | 残ったずれ |
|---|
予想の分かれ方と、確かめた結果が右に出る。「場所によって変わる」を選んだ人に、どこで変わると思ったかを聞く
進め方(14分) 予想を選ぶ(2分)。引く値 0 のまま、5 か所の差を読む(3分)── どれも +2.2 〜 +2.4。つまみを動かして、残ったずれが小さくなる値を探す(5分)── 2.3。なぜ高く出るのかを話す(4分)。
なぜ高く出るか micro:bit の温度は本体の温度に近い。本体は動いているあいだ少し発熱するので、まわりの空気より高く出る。故障ではない。
較正の考え方 ずれの向きと大きさがどの場所でもそろっていれば、その分を引けば基準に合う。これが較正。5 か所の差の平均(2.32)を引く値にする。1 か所だけで決めない。
ばらつきとの違い 前回のばらつきは「毎回ちがう」。今日のずれは「毎回おなじ向きに外れる」。ばらつきは何回もはかれば見える。ずれは基準と比べないと見えない。ここが今日の要点。目標 01・02。
| ばらつき | 同じ所をはかるたびに数が動く。何回もはかれば見える。平均や中央値で扱える |
| ずれ(かたより) | 毎回おなじ向きに外れる。何回はかっても気づけない。基準と比べて、はじめて見える |
| 較正 | 基準と並べて置き、差を出し、その分を引いて合わせる。差は 1 か所で決めず、いくつかの場所の平均で決める |
| 基準にするもの | 学校にある温度計でよい。専用の器具は要らない。どこにでもあるもので、同じ場所に、同じ時に置くのが大事 |
※ 較正しても、ばらつきは消えない。ずれを引いても、10 回はかれば数は動く。両方とも扱う
「較正すればもう安心」と思わせない。較正はずれを消すだけで、ばらつきはそのまま残る。次の節は、較正できないときにどうするか。
2 台で分けてはかると、結論がひっくり返る

本体 A は 2.3 高く、本体 B は 0.6 低く出る(どちらも較正していない)。「教室の真ん中と窓ぎわ、どちらが暖かいか」を、3 つのやり方でくらべる。ほんとうは窓ぎわのほうが 2.5 暖かい
| 場所 | ほんとうの温度 | 本体 A の読み | 本体 B の読み |
|---|---|---|---|
| 教室の真ん中 | 22.0 | 24.3 | 21.4 |
| 窓ぎわ | 24.5 | 26.8 | 23.9 |
較正できないまま使うなら、記録に但し書きを付ける。下の 4 つを書く。書いたものはこの端末に残り、第4回の課題でそのまま開く
進め方(13分) 3 つのボタンを上から順に押す(6分)。1 つ目で結論がひっくり返るところで止めて、なぜかを聞く(3分)。但し書きの 4 欄を書く(4分)。
山場 1 つ目(A で真ん中、B で窓ぎわ)は 24.3 と 23.9 で「真ん中のほうが暖かい」と出る。ほんとうは逆。2 台のずれが違うのに、読んだ数をそのまま比べたから。2 つ目(A で両方)は較正していないのに、差 2.5 が正しく出る。同じ本体の中なら、ずれが両方に同じだけ乗るので消える。
結論 較正できないなら、同じ本体で、全部の場所をはかる。それができないなら、較正してから分ける。どちらもできないときは、但し書きを書いて「比べられない」と述べる。
但し書きで見るところ 「くらべてよい相手」。ここに「別の本体の数とは比べない」と書けていれば、この回の目標に届いている。目標 03。
| いちばんよい | 同じ本体で、全部の場所をはかる。ずれが全部に同じだけ乗るので、場所どうしの差には出てこない |
| 次によい | 基準と比べて較正してから、複数の本体で分けてはかる。引いた値も一緒に記録する |
| ずれたまま使う | してもよい。ただし使った基準・ずれの大きさ・どう扱ったか・くらべてよい相手を書く。書いてあれば、読む人が判断できる |
| してはいけないこと | ずれを知っていて書かないこと。別の本体の数と、そのまま比べること。目安の数を、ほかの機器の値と並べること |
※ 「正確にはかる」ことより、どこまで言えるかを正しく書くことのほうが大事。ずれた数でも、書いてあれば使える
「安い機械だからだめ」ではない。研究で使う機器も必ずずれる。ずれを書く習慣があるかどうかで、記録の値打ちが決まる。次回は、この記録を長く続けて、分析へ渡す。
温度のブロックで数を出し、そばの温度計の値とくらべて、ずれを 1 つ見つけて出す
進め方 見つけた人から出す。全員に同じ答えを求めない。出てきたものを 2〜3 個読み上げ、共通点を言葉にする。
8分。本体があれば実物の温度で。無ければシミュレータの温度を 1 つ決め、教室の温度計の値との差を計算させる。場所を変えても、ずれの向きがそろうところを見る。
道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。
一文でよい。身のまわりで「別々の道具ではかった数を、そのまま比べていた」ものを 1 つ書く
3 分。体重計、部屋ごとの温度計、スマートフォンの歩数。「同じ道具で前後を比べる」なら言える、という所まで運ぶ。
次回は「長時間の記録とデータの受け渡し」。今日決めた但し書きを付けたまま、時刻つきで長く記録し、CSV にして分析の道具へ渡す。