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情報学探究マニュアル
探究で詰まったときに開く本です。上から読む必要はありません。いま困っていることの節だけ開いてください。授業は 探究の進め方 全14回 にあります。
詰まったときの索引
| いま困っていること | 開く節 |
|---|---|
| 何を調べたいか決まらない | 1 問いをつくる |
| 「〜について」から先に進めない | 1 問いをつくる |
| 何を測ればいいか分からない | 2 変数を決める |
| 実験っぽいことがしたい | 3 確かめ方を選ぶ |
| 大きすぎて終わりそうにない | 4 できるかを見積もる |
| 時間が足りない。協力してくれる人が集まらない。許可が下りなかった | 4 できるかを見積もる |
| 道具が動かない。端末に入れられない | 9 Streamlit で Web アプリにする の「うまく行かないとき」 |
| 表が読み込めない。カメラやマイクが使えない | 6 easyStat で分析する・7 easyDataScience で予測する |
| アンケートの聞き方が分からない | 5 集める |
| 数が出たが読めない | 6 easyStat で分析する |
| 予測や分類をしたい。写真や音を分けたい | 7 easyDataScience で予測する |
| 実際にはかりたい。動くものを作りたい | 8 micro:bit ではかる・動かす |
| 人に使ってもらう形にしたい | 9 Streamlit で Web アプリにする |
| 結果をどう見せるか分からない | 10 まとめる・発表する |
| 作ったあと、どうすればいいか | 11 使ってもらう(社会実装) |
| 本体や器材が無い | 8 micro:bit ではかる・動かす、9 Streamlit |
| 発表の時間が足りない | 10 まとめる・発表する |
| 使ってもらう相手が見つからない | 11 使ってもらう(社会実装) |
| 人に聞いてよいか不安 | 12 個人の情報と、断り方 |
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1 問いをつくる
問いには 4 つの型がある
自分の問いがどの型かを決めると、この先にやることが全部決まります。
| 型 | 形 | 例 | この先 |
|---|---|---|---|
| 記述 | どれくらいか。どうなっているか | 本校の生徒は、平日にどれくらい端末を使うか | 数える・はかる・聞く。比べる相手は要らない |
| 関係 | A と B に関係があるか | 睡眠時間と、授業中の眠さに関係があるか | 同じ人で両方を測る。散らばりを見る |
| 因果 | A を変えると B は変わるか | 掲示の色を変えると、気づく人は増えるか | 実験。変える/変えないの両方を作る |
| 評価 | どちらがよいか。この方法は効くか | 2 通りの案内文の、どちらが分かりやすいか | 2 つ用意して比べる |
よい問いの 3 つの条件
- 答えが決まっていない。調べる前から答えが分かっているものは問いになりません
- 自分たちで確かめられる。「人は幸せになれるか」は確かめられません
- 範囲が決まっている。誰の、いつの、どこの話かが入っています
書き換えの例
| 前 | 後 | 直した所 |
|---|---|---|
| ごみ問題について | 本校の分別のまちがいは、どの種類でいちばん多いか | 範囲を決め、数えられる形にした |
| スマホの使いすぎ | 就寝 1 時間前に端末を置く日と置かない日で、翌朝の眠さは変わるか | 因果の型にし、比べる相手を作った |
| 地域の活性化 | 商店街の空き店舗の前を通る人は、1 時間に何人か | 自分たちで数えられる形にした |
| よい勉強法とは | 声に出して覚える方法と、書いて覚える方法で、10 分後に思い出せる語数は変わるか | 評価の型にし、測るものを決めた |
何も思いつかないとき
今日一日を朝から順にたどって、「面倒だった」「分かりにくかった」「待たされた」「まちがえた」と思った場面を 3 つ書き出します。大きい話でなくてかまいません。そのうち 1 つを選び、誰の・いつの・どこのを付けて言い直すと、もう問いの形になっています。それでも出なければ、上の書き換えの例の「前」の欄をそのまま自分の言葉に置き換えて、「後」を作ってみます。
> 問いは小さくしてかまいません。小さい問いに答えられて初めて、大きい問いに近づけます。
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2 変数を決める
問いを、測れる形にします。決めるのは 3 つです。
| 決めるもの | 何か | 例(掲示の色を変えると、気づく人は増えるか) |
|---|---|---|
| 変えるもの | 自分たちで動かすもの | 掲示の紙の色(白 / 黄) |
| 測るもの | 変えた結果として見るもの | 立ち止まって 2 秒以上見た人の数 |
| そろえるもの | 変わると比べられなくなるもの | 貼る場所、高さ、文字、時間帯、曜日 |
記述の問いには「変えるもの」がありません。測るものとそろえるものだけを決めます。
操作的定義(いちばん大事)
「気づいた」「分かりやすい」「元気」は、そのままでは測れません。誰が数えても同じ数になる形に決め直します。これを操作的定義といいます。
| そのままでは測れない言葉 | 操作的定義の例 |
|---|---|
| 気づいた | 立ち止まって 2 秒以上見た人の数 |
| 分かりやすい | 読んだあと、5 つの質問に正しく答えられた数 |
| 混んでいる | 12:20 の時点で並んでいる人数 |
| 覚えられた | 10 分後に書けた語の数 |
| 元気がない | 「今日の調子」を 5 段階で自己申告した値 |
操作的定義が書けたら、その探究は進みます。書けないなら、問いに戻ります。
そろえるものの見つけ方
「これが違っていたら、比べても意味がないな」と思うものを全部書き出します。そのうちそろえられるものはそろえ、そろえられないものは記録します。記録しておけば、あとで「これが効いたかもしれない」と書けます。
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3 確かめ方を選ぶ
自分たちでできる実験 10 例
大きな装置は要りません。校内で、1〜2 週間で、許可が取れる規模のものです。
| やり方 | 例 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 2 つ作って比べる | 案内文を 2 通り作り、別の階に貼る | 貼る場所の人通りをそろえる |
| 色・形を変える | 掲示の色を白と黄で分ける | 同じ文、同じ大きさにする |
| 置き場所を変える | 返却箱を入口と出口に置く | 同じ時間帯で比べる |
| くじで配る | 2 種類のプリントをくじで配る | 誰にどちらが行ったか記録する |
| 前と後で比べる | 声かけの前の週と後の週の残食量 | 他に変わったことも書き留める |
| 順番を入れ替える | 同じ人に A → B と B → A の両方 | 半分ずつ逆の順にする |
| 条件を変えて測る | 教室の明るさを変えて、読める速さを測る | micro:bit ではかる |
| 時間で区切る | 昼休みを 10 分ずつに分けて数える | 同じ曜日で比べる |
| 人を分ける | 学年ごとに同じ質問をする | 人数の差を割合で直す |
| やってみて記録する | 1 週間、自分の記録を取る | 記録の取り方を毎日そろえる |
比べる相手(対照)
因果と評価の問いには、比べる相手が必ず要ります。
- 「変えた方」と「変えなかった方」
- 「前」と「後」
- 「A の案」と「B の案」
比べる相手が無い計画は、因果の問いには答えられません。「やってみたらうまくいった」だけでは、もともとうまくいったのかもしれないからです。
何回やるか
1 回では偶然かもしれません。同じことを 3 回以上、または十分な人数でやります。人数の目安は、割合を見るなら 1 グループ 30 人以上、平均を比べるなら 1 グループ 20 人以上あると読みやすくなります。足りなければ、そのことを結果に書きます。
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4 できるかを見積もる
計画を縮めて、やり切れる形にします。
| 見る所 | 問い | × のときの縮め方 |
|---|---|---|
| 時間 | 何週間で終わるか。1 回のデータ取りに何分か | 期間を短く、回数を減らす |
| 人 | 何人に協力してもらうか。頼める当てはあるか | 1 クラス・1 学年に絞る |
| もの | 器材はあるか。借りられるか | 手で数える方法に替える |
| 許可 | 誰の許可が要るか。いつまでに取るか | 校内で完結する形にする |
| 安全と迷惑 | 人に不利益が出ないか。断る自由があるか | 不利益の出る側を作らない |
許可の取り方
早く動くほど楽になります。誰に・いつまでに・何を言うかを先に決めます。
| 何をする | 誰に言う |
|---|---|
| 自分のクラスで聞く | 担任 |
| 他のクラス・他学年で聞く | 担任と、相手のクラスの先生 |
| 校内に掲示する・物を置く | 担当の先生(事務、生徒指導など) |
| 校外の人に聞く・お店で調べる | 担当の先生を通して、相手先へ |
| 写真や動画を撮る | 写る人全員。掲示するなら重ねて確認 |
頼むときの文の型
> 総合的な探究の時間で、○○について調べています。△△を□□までにお願いできないでしょうか。答えたくない項目は空欄で構いません。集めたものは氏名を記録せず、◇◇にだけ使い、○月○日に消します。
許可が下りなかったとき
やめる前に、断られた理由を一つ聞きます。「誰に、どんな迷惑がかかるか」がはっきりすれば、その人が出ない形に作り替えられます。校外が無理なら校内で、掲示が無理なら口頭で、実物を置くのが無理なら紙の模型で、他学年が無理なら自分のクラスで。範囲を狭めた計画は、下りなかった計画より強いです。作り替えた計画は、断った先生にもう一度見せます。
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5 集める
アンケートの聞き方
| 使う | 使わない | なぜ |
|---|---|---|
| 平日に端末を使う時間は、1 日およそ何分ですか | 端末を使いすぎていませんか | 答えを誘導している |
| そう思う/ややそう思う/どちらでもない/あまり/思わない | 満足度は? | 段階を先に決めておく |
| 1 つだけ選んでください | 当てはまるものすべて(分析が難しくなる) | 数え方が決まらない |
| 学年(1・2・3) | 氏名 | 要らない個人情報は最初から取らない |
質問は少なくします。 答える人の負担が増えると、途中でやめる人が出て、集まり方が偏ります。問いに答えるのに要る質問だけを残します。
記録の取り方
- 決めた形で書く。単位、小数点、時刻の書き方を先に決める
- その場で書く。あとでまとめて書くと思い出せません
- 異常も書く。雨だった、行事があった、人が少なかった。あとで効いてきます
- 元のまま残す。直した表とは別に、元の記録を残しておく
人が集まらないとき
人数が集まらないことは、よくあります。手の打ち方は三つです。対象を狭める(全校 → 1 学年 → 1 クラス)。同じ人に 2 回答えてもらう(別々の人を比べる形から、同じ人の前と後を比べる形に切り替える)。1 人あたりの回数を増やす(1 人に 1 週間記録してもらう)。それでも少なければ、「18 人では」と人数を書いて出します。人数が少なくても、書いてあれば使える材料になります。
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6 easyStat で分析する
easyStat(リポジトリ)はブラウザだけで動く統計の道具です。読み込んだ表は分析用のサーバへ送られません。
最初の 3 手
- Excel か CSV を読み込む。表計算から範囲を選んで貼り付けでも入ります
- 分析サポーターを開き、自分の問いに近いものを選ぶ。手法の名前を知らなくても選べます
- 結果が出たら「今回の結果を簡単に説明すると」を開く。結果の要点、指標の見方、読み違えやすい点が出ます
問いの型と、選ぶ分析
| 確かめたいこと | 分析 |
|---|---|
| まず様子を見たい | 探索的データ分析(EDA) |
| 2 つのグループの平均に差があるか | t 検定 |
| 3 つ以上のグループの平均に差があるか | 一要因分散分析 |
| 2 つの条件を組み合わせた影響を見たい | 二要因分散分析 |
| 正規分布でない・人数が少ない | マン・ホイットニーの U 検定、クラスカル・ウォリス検定 |
| 同じ人の前後を比べる | ウィルコクソンの符号付順位検定、マクネマー検定 |
| 2 つの量に関係があるか | 相関分析 |
| ある量から別の量を予想したい | 単回帰分析、重回帰分析 |
| 「はい/いいえ」を予想したい | ロジスティック回帰分析 |
| 選択肢どうしの組み合わせに偏りがあるか | クロス集計、カイ二乗検定、フィッシャーの正確確率検定 |
| たくさんの質問をまとめたい | 因子分析、主成分分析 |
| 時間とともにどう動いたか | 時系列データ分析 |
| 自由記述に何が多いか | テキストマイニング |
結果の読み方
- p 値は「偶然でもこれくらい起きるか」の目安です。小さいほど偶然とは考えにくくなります。
< .05を区切りにすることが多いですが、それだけで「効果が大きい」とは言えません - 効果量は差の大きさです。人数が多いと p は小さくなりやすいので、効果量も一緒に見ます
- 図と数を両方見ます。同じ数でも、点の並び方が全然違うことがあります
読み込めないとき
まず表の形を見ます。1 行目に題が入っていないか/数の列に「約」「分」「円」などの文字が混ざっていないか/セルが結合されていないか/途中に空行や合計行が入っていないか。この四つでたいてい直ります。直しても読めなければ、必要な列だけを新しいシートにコピーし、そこから読み込みます。分析が選べないときは、分析サポーターに確かめたいことを一文で入れると、合う行が出ます。
言えないことを、必ず書く
- 関係があっても、原因とは言えません。第3の要因があるかもしれません
- 調べた人たちの範囲でしか言えません。1 クラスの結果を全校の話にはできません
- 測り方に引きずられます。操作的定義を変えれば結果も変わります
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7 easyDataScience で予測する
easyDataScience(リポジトリ)はブラウザだけで動く教育用の AutoML(=どの予測のやり方が合うかを、機械が自動で試して比べてくれる仕組み)です。通常の学習と予測はブラウザの中で完結します。
最初の 3 手
- 表を読み込み、予測したい列(目的変数)を 1 つ決める
- 回帰(数を予測)か分類(どれに入るかを予測)かを選び、モデル比較を走らせる
- 出てきた比較表の中から 1 つ選び、どの列が効いたか(特徴量重要度)を見る
表の作り方
- 1 行目は列名だけ。2 行目からデータ
- 1 件を 1 行に。セル結合は使わない
- 数値の列に「約」「万円」「km」などの文字を混ぜない
- 目的変数を 1 つ決めておく
当たり方を正しく測るために
- テスト用のデータは、モデルを決めるまで見ない。見てから直すと、当たって見えるだけになります
- 同じ人・同じ学校が学習側と検証側に分かれないようにする(グループ分割)
- 過去から未来を予測するなら時系列分割を使う
- 学習に使ったのと同じデータで「9 割当たった」は、当たったうちに入りません
写真と音も分けられる
- 画像分類: 何枚かずつ写真を集めて学習させると、その場で見分けます。ごみの種類、標識、葉の形など
- 音声分類: マイクから音を覚えさせて分けます。チャイム、話し声、機械音など
写真や音を使うときは、人が写ったもの・人の声は避けるか、本人に断ります。人が写り込まないもの(ごみ、標識、葉、道具、部品)を選べば、断りの手間もなくなります。
端末のカメラやマイクが使えないときは、先に撮った写真を配って、全員が同じ束を読み込む形にできます。撮る体験は減りますが、「同じ机の上だけで撮った束」と「ばらばらの場所で撮った束」を比べれば、集め方の偏りはそのまま見えます。
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8 micro:bit ではかる・動かす
MakeCode はブラウザで動き、画面の中のシミュレータで試せます。本体が無くても設計はできます。
最初の 3 手
- 入力を 1 つ選ぶ(明るさ、温度、傾き、音、ボタン、時間)
- 処理を 1 つ入れる(「もし〜なら」で線を引く)
- 出力を 1 つ選ぶ(画面に出す、音を鳴らす、記録する)
はかれるもの
| はかれるもの | 探究での使い道 |
|---|---|
| 明るさ | 教室の明るさと、読みやすさ・眠さ |
| 温度 | 室温と、集中・残食 |
| 音の大きさ | 騒がしさと、作業の速さ |
| 傾き・動き | 物が動いたか、扉が開いたか |
| ボタン・タッチ | 人が数える代わりに押す(通過人数) |
| 時間 | どれくらい続いたか |
記録する
MakeCode のデータロガーを使うと、はかった値を時刻つきで本体に貯め、あとで CSV として取り出せます。取り出した CSV は、そのまま easyStat や easyDataScience に読み込めます。
ずっと {
データを記録する: 明るさ = 明るさ
一時停止 (60000) // 1 分ごと
}
本体が無いとき
設計と組み立ては、画面の中のシミュレータで最後まで進められます。できないのは実際にはかることだけです。
- 1 クラスに数台あれば足ります。班に 1 台で回し、設計は各自がシミュレータで作る
- 1 台も無いときは、先生が 1 セットだけ記録した CSV を配ってもらい、それを easyStat に読み込みます。はかる所は見学か動画で見て、分析は全員が自分の手で行う
- はかった値をシミュレータで手入力して、そのあとの手順(平均を出す、条件で分ける)を試すこともできます
置いて使うときの注意
- 電池がどれくらい持つかを、先に 1 日試す
- 置く場所の許可を取る。人の通り道に置かない
- 「これは何ですか」と聞かれたときの紙を貼っておく(何を調べているか、いつまで、誰が)
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9 Streamlit で Web アプリにする
Python を数十行書くだけで、入力すると結果が返るページになります。提案を「触れる形」にできます。
動かすまで
この 2 行は、ふだんのアプリの画面ではなく、文字の命令を打ち込む専用の画面に打ちます。Windows なら「コマンド プロンプト」、Mac なら「ターミナル」という名前で、アプリの一覧から探せます。開いたら、app.py を保存したフォルダに移動してから(cd と打ち、そのあとにフォルダの場所を続けます)、次の 2 行を 1 行ずつ打って、そのつど Enter を押します。
pip install streamlit
streamlit run app.py
1 行目は道具を入れる命令で、入れるのは最初の 1 回だけです。2 行目が動かす命令で、打つとブラウザが開きます。開かなければ、画面に出た http://localhost:8501 のような住所を、自分でブラウザに打ちます。止めるときは、その画面で Ctrl と C を同時に押します。
うまく行かないとき
- 「streamlit が見つかりません」と出る: 入れた場所と打っている場所が違うことが多いです。
python -m pip install streamlit、python -m streamlit run app.pyの形で打ち直すと通ることがあります app.pyが見つからないと出る: フォルダの移動ができていません。その画面でls(Windows はdir)と打つと、いまいる場所のファイルが並びます。app.pyが並んでいなければ、場所が違います- 赤い文字がたくさん出る: 消さずに、いちばん下の 1 行と、書いてある行番号を見ます。字下げ・コロン・引用符・全角の記号が定番の原因です
- その画面自体が開けない・道具を入れられない: 学校の端末では、よくあることです。ブラウザだけで動く実行環境が使えるかを先生に聞きます。それでも動かせなくても、「何を入れると何が返るか」の設計は紙で書けます。設計が書けていれば、動かせる環境が見つかったときに、そこから始められます
いちばん短い例
import streamlit as st
st.title("混み具合を予想する")
hour = st.slider("時刻", 11, 14, 12)
rain = st.checkbox("雨が降っている")
wait = 3 + (hour == 12) * 8 + rain * 4
st.metric("予想される待ち時間", f"{wait} 分")
st.caption("本校の 2 週間の記録から作った目安です。12 時台は混みます")
表を読ませて、グラフを出す
import streamlit as st
import pandas as pd
up = st.file_uploader("CSV を選ぶ", type="csv")
if up:
df = pd.read_csv(up)
st.dataframe(df.head())
col = st.selectbox("グラフにする列", df.columns)
st.bar_chart(df[col].value_counts())
探究で使うときの形
| 探究の中身 | アプリの形 |
|---|---|
| 予測の式を作った | 数を入れると、予測が返る |
| 分類の基準を作った | 選ぶと、どれに当てはまるか返る |
| 調べた結果を見せたい | 条件を選ぶと、その条件のグラフが出る |
| 手順を作った | 順に答えると、次にやることが出る |
人に使ってもらうには
自分の端末で動かしているうちは、自分しか使えません。GitHub にコードを置き、Streamlit Community Cloud につなぐと URL ができます。必要なファイルは 2 つです。
app.py
requirements.txt ← streamlit, pandas など、使ったものを 1 行ずつ
公開する前に確かめます。
- 個人が分かるデータを一緒に置いていないか。CSV をリポジトリに入れると、誰でも見られます
- 相手が最初の 10 秒で何をすればよいか分かるか。説明を 1 行、上に置く
- まちがった入力でも止まらないか。空欄や 0 を入れてみる
年齢や学校の決まりで GitHub のアカウントが作れないこともあります。そのときは、自分の端末で動かして、相手にその場で触ってもらう形でかまいません。公開まで行かなくても、公開前の 3 点と、次の第11節のやめ方は、そのまま書けます。
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10 まとめる・発表する
図の選び方
| 見せたいこと | 図 |
|---|---|
| 項目ごとの多い少ない | 棒グラフ |
| 時間とともにどう動いたか | 折れ線グラフ |
| 2 つの量の関係 | 散布図 |
| 全体に占める割合 | 帯グラフ(円グラフは比べにくい) |
| ばらつき | 箱ひげ図 |
目もりは 0 から。数字も書く。題に「何を、誰に、いつ」数えたかを入れる。
3 分で渡す順番
- 何を知りたかったか(問い、一文)
- どうやって確かめたか(変えたもの・測ったもの、一文)
- どうだったか(数を 1 つ)
- 何が言えて、何が言えないか
- 誰に、どう役立つか
いちばん聞かれるのは 4 です。思っていたのと違った所を隠さないほうが、聞く人は身を乗り出します。
言えないことの書き方
> この結果は、本校 2 年 3 組 34 名の 11 月の記録によるものです。他の学年・他の季節で同じになるとは言えません。掲示の色以外にも、その週の行事が影響した可能性があります。
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時間が足りないとき
3 分が取れないこともあります。短い順に削ります。
| 使える時間 | 話すこと |
|---|---|
| 3 分 | 上の 5 つ全部 |
| 1 分 | 問い → 数を 1 つ → 何が言えないか |
| 30 秒 | 問い → いちばん意外だった数 |
| 話す時間が無い | 1 枚だけ貼って、横に立つ。聞かれたら答える |
削るときも、4 の「言えないこと」は残します。そこが抜けると、言い過ぎた発表になります。
11 使ってもらう(社会実装)
調べて終わりにしません。誰かが実際に使う所まで行きます。水準は 3 つです。
| 水準 | どういう状態か | 残すもの |
|---|---|---|
| ① 試してもらう | 相手が一度使った。反応を記録した | 使った人の言葉、うまくいかなかった所 |
| ② 続けて使える | 手順・置き場所・直し方が決まっている。自分がいなくても回る | 手順書、置き場所、連絡先 |
| ③ 仕組みとして残る | 担当・更新・やめ方が決まっている | 引き渡しメモ |
引き渡しメモの型
> 何を: 昼の混み具合を出すページ > 誰が: 図書委員(当番の人) > いつ: 毎週月曜の朝、前週の記録を入れる > どうする: 手順は 手順.md の通り。5 分で終わる > 困ったら: ○○先生に言う > やめるとき: 使う人が月 10 人を下回った月に、図書委員会で決めて止める。ページは残さず消す
やめ方を決めます。 始めたものを誰も止められない形で置いていくのは、引き継ぐ人に対して無責任だからです。
使ってもらう相手が見つからないとき
「使いそうな人」に断られることも、そもそも当てが無いこともあります。近い所から順に探します。
- 同じ班の人以外のクラスメイト。「1 分だけ触ってほしい」と頼む。これでも①の水準は満たせます
- 先生。担任、教科の先生、図書室や事務の人。自分の探究の相手に近い人がいれば、その人に
- 家の人か、きょうだい。学校のことを知らない人に触ってもらうと、説明の足りない所が出ます
- どうしても見つからないときは、自分が「その人になったつもり」で使い、迷った所を書きます。そのときは「まだ他の人には使ってもらえていない」と正直に書く。それも記録です
一度使ってもらうときに、聞くこと
- 最初にどこを見たか
- 迷った所はどこか
- また使いたいか。使うとしたらいつか
「よかったです」は情報になりません。どこで迷ったかを聞きます。
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12 個人の情報と、断り方
集める前に決める 3 つ
- 何に使うか、どこまで出すかを先に言う
- 名前を集めない。氏名・住所・学校名・顔写真は、分析に要らなければ最初から取らない
- いつ消すかを決める。終わったら消す
写真・音・動画
- 人が写るものは、写る人全員に断る
- 掲示や発表で使うなら、そのことも一緒に断る
- easyDataScience で画像や音を学習させる場合も同じです
断る自由
「答えたくない項目は空欄で構いません」を必ず書きます。断った人が誰か分かる形にしません。
出す前の最後の確認
発表・掲示・Web に出す直前に、もう一度見ます。
- 表に氏名・出席番号・個人の記録が残っていないか
- 写真に、断っていない人が写り込んでいないか
- 自由記述に、その人と分かる書き方が入っていないか
- 公開するコードやデータに、集めた記録が混ざっていないか
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この本について
ここに無いことで詰まったら、先生に 「どの節まで進んで、どこで止まったか」 を言います。節の番号で言えると、話が早く進みます。
授業は 探究の進め方 全14回。書いたメモは 探究ノート に集まります。情報の授業で扱った道具は、情報Ⅰ・情報Ⅱ の単元設計からたどれます。