一覧へ 中学校の情報学探究 第1回 | 探究の進め方の全体像
総合的な学習の時間 | 中学校の情報学探究 | 第1回

探究の進め方の全体像

この 10 回に教科書はなく、何を調べるかは自分で決める。今日は進め方の地図だけを持つ

10〜50分
教師用メモ

準備 教室コードを 1 つ決め、第1回から第10回まで同じコードを使う(第2回で作る探究カードを、第10回まで同じ場所で開くため)。授業のはじめに、生徒の端末で 探究ノート を開かせる。技術分野の復習「探究へ」に書いたメモが、そこに集まっている。空の生徒には「この 1 年で、もっとこうならいいのにと思った場面」を思い出させる。端末が足りないときは班で 1 台にし、書く役を交代させる。

投影 「教師」を押してから投影する。体験01 は端末の中で完結するので、投影では答え合わせの結果だけを見せる。体験02 は出てきたものが右の壁に並ぶ。並んだものに良し悪しを付けない。読み上げるだけにする。

時間配分(50分版) 枚は全部使う。表紙・目標 4分 / 節1 探究の過程 16分 / 節2 気になることを出す 17分 / 今日のまとめ 6分 / 自己評価・ふりかえり 7分

20分版 体験は 1 つ(体験02 気になることを出す)。使う枚は 1・3・8・9・10・14(表紙/今日の目標/節扉2/体験02/体験03/ふりかえり)。過程の並べ替えは、まとめ01 の表を読み上げるだけにする。

10分版 決めることは 1 つだけ。気になることを 3 つ書く。使う枚は 1・9・10(表紙/体験02/体験03)。この回はまだ探究カードが無いので、体験03 の 3 つが今日の 1 欄にあたる。

この回の評価(重点は知識・技能。評価場面は「探究の過程の並べ替え」と「気になることの書き出し」)

  • 知識・技能 探究の過程の四つを順に並べ、④のあと①に戻ることがあると言える(体験01) | A: 戻る例を、自分の言葉で一つ挙げられる
  • 思考・判断・表現 気になることを、良い悪いを決めずに数多く書き出せる(体験02)。高度化の広角性の入口 | A: 場面や立場の違うものが混ざっている
  • 態度 探究ノートを読み返し、自分に近いものを 3 つ選んでいる(体験03・ふりかえり)。自律化の自己課題の入口 | A: なぜ自分がそれを選んだかを書いている

指導要領 [解説]中学校学習指導要領解説 総合的な学習の時間編 第2章 総合的な学習の時間の目標(探究的な学習の過程の四つと、それが繰り返されること)、第3章 各学校において定める目標及び内容。[技術]技術・家庭編「D 情報の技術」D(2)(3) が共通して求める問題解決の流れ(問題の発見 → 課題の設定 → 解決策の構想 → 制作・実装 → 評価・改善)。[指針]の水準は K2L1(問題発見/解決プロセスを理解し、段階を踏んで実行できる)。単元の位置づけと評価規準は 単元設計のページ。生徒が詰まったときは 情報学探究マニュアル の該当の節を開かせる。

この 10 回の性格 教科ではない。進め方の足場だけを渡し、何を調べるかは生徒が決める。今日はテーマを決めさせない。決めるのは第2回と第3回。

はじめに

この 10 回でやること

問いを立てる→確かめ方を決める→集めて、整理する→数で確かめる→作って、使ってもらう

この時間には教科書がない。何を調べるかは、自分で決める。そのかわり、進め方には決まった順番がある。10 回で、その順番を一周する

「調べてまとめました」で終わらないために、何を先に決めておくとよいか

教師用メモ

問いに挙手はさせない。考える時間を 20 秒だけ取って次へ進む。答えは今日のまとめで出す(先に決めるのは「問い」と「確かめ方」)。

「調べてまとめました」で終わる探究を、生徒は小学校で何度か経験している。それを責めない。今回は先に決めることがあるから違う、という言い方をする。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
探究の過程の四つを順に並べられる。前に戻ってよいとも言える
02
いま気になっていることを、良い悪いを決めずに数多く書き出せる
03
その中から、次回に持っていく3 つを選べる
節 01
探究の過程

四つを並べ、戻る所を見る

節 02
気になることを出す

数を出す。まだ選ばない

この 10 回
調べることは自分で決める

決めるのは次回から

教師用メモ

目標 03 は「3 つ選ぶ」まで。1 つに決めさせない。1 つに絞るのは第2回、問いにするのは第3回。今日決めきらせようとすると、書きやすいものに逃げる生徒が出る。

SECTION 01

探究の過程

四つが順に進み、また繰り返す。④のあと①に戻ることがあり、戻るのは失敗ではない

中学生が四枚のカードを机の上に円を描くように並べ、最後の一枚から最初の一枚へ指で矢印をたどっている
体験 01

四つを、進む順に並べる

バラバラに並んだ四つを、進む順にタップする。タップした順に番号が付く(もう一度タップで外れる)。全部に番号を付けたら「答え合わせ」。④の次に①へ戻ることがある。それは失敗ではなく、探究がうまく進んでいる印のこともある

教師用メモ

進め方(8分) 3 分で並べさせ、答え合わせ。そのあと「④まで行ったのに①に戻る」のはどんなときかを 2 人に言わせる。出なければ教師から出す。集め終わってから、その問いでは答えが出ないと分かったとき。

拾いたい発言 「順番が決まっているなら、考えなくてよいのでは」→ 順番は決まっていても、中身は全部自分で決める。「戻ったらやり直しになる」→ 戻れるのは、分かったことがあったから。分からないままなら戻れない。

[解説]は探究的な学習の過程を四つで示し、それが繰り返されるとしている。この 10 回では第9回で戻り道が出る。それをここで先に言っておくと、途中で詰まった生徒が投げ出しにくい。目標 01。

まとめ 01

四つの過程と、この 10 回の並び

① 課題の設定第1〜4回 | 気になっていることを選び、問いにし、すでに分かっていることを調べて絞る
② 情報の収集第5〜8回 | 変える・はかる・そろえるを決め、比べる相手を決め、できるかを見積もり、集める
③ 整理・分析第9回 | 数で確かめ、言えることと言えないことを分ける
④ まとめ・表現第10回 | 作って、使ってもらい、伝えて、次の問いへ

第9回で「これでは答えられない」と分かったら、①に戻る。戻ることは、最初から予定に入っている

※ この 10 回がふつうと違うのは、②のうち「確かめ方の決定」だけに 3 回(第5〜7回)を使うところ。集めたあとでは、取り直せないものがあるから

教師用メモ

進め方(5分) 表を読み上げ、「今日は①の手前にいる」と位置を示す。この表は毎回の「前回のまとめ」の枚で繰り返し出てくる。いま自分がどこにいるかが分かることが、自律化の運用の土台になる。

設計に 3 回使う理由を、ここで一度だけ言う。問いは後から直せるが、取り直せない記録は直せない。

言いかえ

技術の時間にやった流れと、同じところ

問題の発見① 課題の設定 | 技術は「不便」から、探究は「気になる」から入る。どちらでもよい
課題の設定① 課題の設定 | 技術は「何を作るか」、探究は「何を確かめるか」
解決策の構想② 設計 | 技術は作るものの設計、探究は確かめ方の設計
制作・実装② 実行 | 技術は作品を作る、探究は記録を集める
評価・改善③ 分析 → ④ まとめ | 技術は「動いたか」、探究は「数でそう言えるか」まで見る

※ 言葉が違うだけで、やっていることは近い。二つを別々に覚えなくてよい

教師用メモ

進め方(3分) 左の列を読み上げ、「聞いたことがある人」と確かめる。技術分野をまだ履修していない学年で行う場合は、右の列だけを読み上げて次へ進む。中身をもう一度教える必要はない。

[技術]D(2)(3) の問題解決の流れ。ここで対応を見せておくと、第5回以降「技術でやったあれ」で指すだけで通じる。同じことを二度教えない。

SECTION 02

気になることを出す

まだ選ばない。良い悪いも決めず、まずは数を出す

教室の壁に短い言葉を書いた紙が何十枚も貼られ、中学生が立ったまま眺めている
体験 02

いま気になっていることを、出せるだけ出す

学校でも、通学路でも、家でも、住んでいる町でもよい。「気になる」「引っかかる」「なぜだろう」と思ったことを、思いつくだけ送る。数が先。人のも自分のも、良い悪いを言わない。人の言葉を見て思いついたら、「便乗」を押してその続きとして書ける

0
全員の気になる
0
自分の気になる
0
便乗して生まれた
出てきた気になること
教師用メモ

進め方(11分) はじめの 3 分は 探究ノート を黙って読む時間にする。そのあと 6 分で出す。一人 3 つ以上を目安に言う。残り 2 分で壁を眺め、便乗で伸びたものを 2 つ読み上げる。

やらないこと 出てきたものに良し悪しを付けない。「それは無理」「それは探究ではない」と言わない。絞るのは第2回と第3回で、本人がやる。

止まっている生徒へ 「今週いちばん面倒だったこと」「毎日やっているのに理由を知らないこと」「人によって言うことが違うこと」の三つを口頭で投げる。探究ノートが空なら、そこから書かせる。通信が止まって集まらないときは、ノートに 3 つ書かせてから、隣どうしで読み合う形に替える。

ここで出た数と幅が、高度化の広角性の出発点になる。少ない生徒は第2回の冒頭で追加させる。目標 02。

体験 03

次回に持っていく 3 つを選ぶ

壁に並んだものと、自分が書いたものから、3 つ選んで送る。人が出したものを借りてよい。理由はまだ言えなくてよい。「/」で区切って 3 つ書く

みんなが持っていく 3 つ
教師用メモ

進め方(6分) 4 分で選んで送る。2 分で投影を眺め、同じものを選んだ人が何人いるかを見せる。同じでよいと言っておく。第2回で選ぶ場面が同じでも、自分の理由は一人ずつ違う。

1 つも選べない生徒 壁から 3 つ、指でさして写させる。借りたものでも、第2回で「自分の理由」を書くうちに自分のものになる。

この 3 つが、第2回の入口になる。10分版のときは、この枚だけで今日の 1 欄が埋まる。目標 03。

まとめ 02

この 10 回で、どこを見るか

問いと確かめ方が、ちぐはぐでない問いの形と、はかるもの・比べる相手が合っているか
授業で使った道具を、自分の問いに使えているmicro:bit か easyStat のどちらかを一度は使ったか
見積もって、やり切れる形にした時間・人・もの・許可・安全の 5 つで見て、縮めた所があるか
問いが一つに絞れている問いが一文で書けているか
別の見方があると分かっている「反対のことを言う人もいる」と書けているか
自分に関わりのあることを選んでいるなぜ自分がこれを選んだかを書いているか
自分で進められる/誰かに返している遅れたら直しているか。分かったことを誰かに届けたか

※ テストはない。この 10 回に自分が残したものが、そのまま評価の材料になる

教師用メモ

進め方(4分) 読み上げるだけでよい。中身の説明はしない。「今日は、どこを見られるかを知っておくだけ」と言い切る。使うのは第7回(見積もり)と第10回(使ってもらう)。

左の列は、[解説]の高度化(整合性・効果性・鋭角性・広角性)と自律化(自己課題・運用・社会参画)を中学校の言い方に直したもの。この七つ以外の物差しは使わないと最初に宣言しておくと、生徒が「何をすれば評価されるか」を探さなくなる。元の言葉と対応は 単元設計のページ。

今日のまとめ

次回までに持ってくるもの

01
気になることを 3 つ 今日送ったものでよい。家で増やしても、入れ替えてもよい
02
その 3 つのうち、自分が一度でも困ったもの 印を付けておく。理由はまだ言えなくてよい
03
探究ノート 技術の時間の「探究へ」に書いたメモ。次回もここから始める

次回は、6 つの場面から 1 つ選び、なぜ自分がそれを選ぶのかを書く

教師用メモ

4分。「まだ決まっていない」生徒がいてよい。1 つに決めるのは第2回、問いにするのは第3回。今日は焦らせない。

第2回は 6 つの場面(通学・部活動・給食・掲示・図書室・清掃)から選ぶ形になる。ここで予告しておくと、生徒がその目で帰り道を見る。

自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01探究の過程の四つを順に並べ、戻ってよいと言えた
02気になっていることを、良い悪いを決めずに数多く書けた
03次回に持っていく 3 つを選べた
できただいたいまだ
教師用メモ

1分。目標 03 に「まだ」が多い場合、第2回の冒頭 5 分を「気になることを増やす」時間に当てる。0 のまま第2回に入ると、場面を選ぶところで止まる。

ふりかえり

3 つのうち、自分にいちばん近いもの

選んだ 3 つのうち、自分が一度でも困ったものを 1 つ書く。「〇〇。自分は〜したことがある」の形で一文

自分にいちばん近いもの
教師用メモ

3分。自律化の自己課題の入口はこの枚で見る。A は「なぜ自分がそれを選んだかを書いている」。「自分は〜したことがある」が書けているかを目印にする。

投影は保存しておく。第2回の冒頭で 2〜3 件を読み上げるところから始める。書けない生徒への手立ては全回共通で、探究ノートを開かせ、自分が書いてきたメモを 1 つだけ選ばせる。