一覧へ 中学校の情報学探究 第4回 | すでに分かっていることを調べる
総合的な学習の時間 | 中学校の情報学探究 | 第4回

すでに分かっていることを調べる

自分の問いの答えは、もう誰かが書いているかもしれない。1 件だけ たどれる形で調べる

10〜50分
教師用メモ

準備 教室コードは第2回と同じものを使う(探究カードを第10回まで同じ場所で開くため)。板書して残しておく。学校図書館が使えるなら、この回は図書の時間に寄せてもよい。端末が無い生徒には、教科書と学校図書館の本だけで進められる。

投影 教師の端末で「教師」を押してから投影する。生徒の入力欄が消え、右の面に全員の回答が並ぶ。体験 01 は端末の中だけで終わるので集まらない。体験 02 と 03 は教室コードで集まる。

時間配分(50分版) 前回まとめ・目標 6分 / 節1 事実と意見を分ける 12分 / まとめ01 調べ方 5分 / 節2 1 件を調べる 14分 / まとめ02 もう分かっていたとき 4分 / 探究カード 6分 / 自己評価・ふりかえり 3分

20分版 03・05・06・08・10 の 5 枚。体験 01 を 5 分で切り上げ、体験 02 とカードに時間を寄せる。

10分版 06・08・10 の 3 枚。決めるのは出どころを 1 件だけ記録することだけ。カードは「調べて分かっていたこと」と「出どころ」の 2 欄を埋めて出し直す。

カードが手元に無い生徒(前回いなかった、消えた)は、この回の欄だけをその場で書いて始めてよい。前の回に戻らせない。前の欄は思い出せる範囲で書けばよい。

この回の評価(重点は 技能・態度。評価場面は「出どころの記録」と「調べた後の問いの絞り込み」。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 B 調べた 1 件について、名前・ページ・見た日を残している / A それがいつのことか、誰が言ったことかまで書いている(体験02・カード)
  • 思考・判断・表現 B 調べたことと自分が思ったことを、行を分けて書いている / A 調べた結果をもとに、問いを絞るか変えるかを決めている(体験01・まとめ02)
  • 主体的に学習に取り組む態度 B 1 件を最後までたどろうとしている / A 見つからないとき、検索の言葉を減らして探し直している(体験02・ふりかえり)

指導要領 [解説]第2章 目標 (2)「情報を集め」。[技術]D 情報の技術 (1)(4)(技術分野 第4・5回で「誰が言ったか/いつのことか」を扱っている。もう一度教えず、言葉で指すだけにする)。[指針]H1L2(知的財産権・個人情報に関わる制度の基本的な考え方)、I3L1(主観と客観を区別して受け取る)。区分して伝える I3L2 は高等学校の水準なので、ここは受け取る側までとする。

前回のまとめ

問いの形になった | 次は、もう分かっていることを見に行く

気になっていること→「〜は〜か」の問い→問いの型→すでに分かっていること

問いは自分で立てた。でも、その答えはもう誰かが書いているかもしれない。書いてあるなら、同じことをもう一度確かめる必要はない。分かっていないところまで進める

調べて答えが出ていたら、その探究は失敗なのか

教師用メモ

問いに 30 秒。「失敗ではない」で終わらせず、まとめ02 で三つの進み方を示すことを予告しておく。第1回で「戻ってよい」と言ったことが、この回で初めて実際に起きる。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
調べたことと自分が思ったことを、分けて書ける
02
自分の問いに近いことを 1 件調べ、名前・ページ・見た日を残せる
03
調べた結果から、問いを絞るか、変えるかを決められる
01 | 12分
事実と、意見

分けて受け取る

02 | 14分
1 件を調べる

出どころを残す

03 | 6分
探究カード

2 欄ふえる

SECTION 01

事実と、意見

同じ文の中に、両方がまざっていることが多い

学校図書館の本と教科書と端末を机に並べ、ノートに短い行を書き分けている中学生の手元
体験 01

この 10 は、調べたことか、思ったことか

上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す。全部に印を付けたら「答え合わせ」。思ったことが悪いのではない。どちらかを分かったうえで書き分ける

調べたこと = 誰かが見た・数えた・はかった事実思ったこと = 自分の感想・予想・言いたいこと
教師用メモ

進め方(12分) 一人で 6 分。答え合わせのあと、並んでいる順に読むと、事実 → 意見 の対になっていることを確かめさせる(3分)。「自分のノートも、この形で行を分けて書く」と宣言して次へ(3分)。

拾いたい発言 「思ったことは書いてはいけないのか」→ 書いてよい。行を分けるだけでよい。あとで「どこまでが調べたことか」を自分が見分けられるようにするため。「本に書いてあれば全部事実か」→ 本の中にも書いた人の意見が入る。「〜と書いてあった」と書いておけば、誰の言葉かが残る。

技術分野でやったこと 技術分野 第4・5回で「誰が言ったか/いつのことか。同じ出来事でも、伝わり方が違う」を扱っている。もう一度教えない。「あの回のあれ」と一言で指す。技術分野をまだ履修していない学年なら、この 1 行を読み上げるだけでよい。

[指針]I3L1(主観と客観を区別して受け取る)。この仕分けそのものが評価場面になる。目標 01。

まとめ 01

どこで調べ、どう見分け、どう残すか

学校図書館の本背表紙の番号でまとまった棚を見る。分からなければ司書の先生か担任に「〇〇について書いてある本はどこか」と聞く。目次と索引から、問いの言葉を探す
教科書いま持っているものが使える。巻末の索引から言葉を引く。理科・社会・保健体育の教科書に、数や図が載っていることが多い
信頼できるサイト出した人の名前が書いてある/いつのものか書いてある/元にした数や調べの名前が書いてある。この 3 つがそろっていれば使える。1 つも無いページは、そのままでは使わない
出どころの残し方名前・ページ・見た日の 3 つを、読んだその場で書く。あとで書こうとすると、もう一度たどり着けない

検索して何も出ないときは、言葉を 1 つ減らす。「図書室 掲示 色 中学生」で出なければ「掲示 色」だけにする。それでも出なければ、本と教科書に戻る

※ 調べたことと、自分が思ったことは行を分けて書く。第9回で「言えること・言えないこと」を分けるときに、この 2 行がそのまま使える

教師用メモ

進め方(5分) 4 行を読み上げ、「今から調べる 1 件は、名前・ページ・見た日を必ず書く」と宣言してから体験 02 に入る。10分版は、この枚と体験 02、カードの 3 枚だけを使う。

見本を板書する 「色のはたらきの本 42ページ(9月10日に見た)」。この形をそのまま写させると、書けない生徒がいなくなる。サイトなら「〇〇(出した人の名前)のページ(9月10日に見た)」。

3 つがそろっていないページ 「使ってはいけない」で終わらせない。そのページに書いてある元の調べの名前を探して、そちらを見に行く。それも無ければ、本と教科書に戻る。

[指針]H1L2。人が作ったものを使うときは、出どころを書く。第10回で外に見せるときに、ここが効く。

SECTION 02

1 件だけ、たどれる形で

たくさん集めるより、1 件をもう一度たどれることのほうが強い

本のページを開いたまま、ノートに本の名前とページと日付の三行を書いている中学生の手元
体験 02

自分の問いに近いことを、1 件だけ調べる

本・教科書・サイトのどれでもよい。1 件だけ調べる。上の欄には書いてあった事実だけを書く(自分が思ったことは入れない)。下の欄に名前・ページ・見た日を書く

調べて分かっていたこと | 書いてあった事実
出どころ | 名前・ページ・見た日

全員の 1 件が右に並ぶ。出どころが書かれていないものを 1 件取り上げ、「これは、もう一度たどり着けるか」と全員に聞く

みんなが調べた 1 件
教師用メモ

進め方(14分) 10 分で調べて送る。残り 4 分で投影から 3 件を取り上げる。件数は 1〜2 件でよい。たくさん集めた生徒より、1 件をたどれる生徒を先にほめる。

見つからない生徒 自分の問いがそのまま載っていることは、ほとんどない。「近いこと」でよいと伝える。検索の言葉を 1 つ減らさせる。学校の中の話なら、校内の掲示・記録・図書委員への聞き取りそのものが出どころになる(その場合は「図書委員の〇年生に 9月10日に聞いた」と書かせる。名前は書かせない)。

「AI に聞いた」と書いた生徒 それだけでは出どころにならない。元になった出どころを 1 件探させる。AI が挙げた本やページが実際にあるかを、図書館か検索で確かめさせる。見つからなければ、その 1 件は使わない。

端末が無い・つながらない 教科書の索引と学校図書館の本だけで成立する。この体験は端末が無くても止まらない。

知識・技能の評価場面。名前・ページ・見た日の 3 つがそろっているかを見る。目標 02。

まとめ 02

「もう分かっていた」ときに、できる三つ

01
場所を変える 全国の話として分かっていても、この学校・この町ではどうかは分かっていない
02
時を変える 3 年前の調べなら、いまはどうかが新しい問いになる
03
問いを変える 答えが出ているなら、その先へ進む。「なぜそうなるのか」「どうすれば変わるのか」

調べたから変えられたので、問いを変えるのは後戻りではない

教師用メモ

進め方(4分) 三つを読み上げたあと、実際に問いを変える生徒に手を挙げさせる。挙げた生徒は、次の枚のカードで「問い」の欄から書き直させる。挙げにくい空気にしない。第1回で「戻ってよい」と言ったことが、ここで初めて起きる。

ここで肯定的に扱っておくと、第6回で「比べる相手が無いので記述の型に直す」判断がしやすくなる。思考・判断・表現の A(絞るか変えるかを決めている)の評価場面。目標 03。

体験 03

探究カード | 調べて分かっていたことと、出どころ

前の回に書いた 4 欄はそのまま出てくる(直してもよい)。今日は下の 2 欄を書き足して、6 欄そろえて出し直す。全部の欄を埋めないと送れない。カードが無い人は、この 2 欄だけ先に書いて、上は思い出せる範囲でよい

気になっていること
自分の理由
問い | 「〜は〜か」の形で、一つだけ
問いの型 | 記述・関係・因果のどれか
調べて分かっていたこと | 書いてあった事実
出どころ | 名前・ページ・見た日

出したあと、右のカードを 3 枚以上読み、それぞれに 1 つ押す。自分のカードには押せない

6 欄そろったカードが右に並ぶ。「出どころが書けている」が少ないカードを 1 枚取り上げ、全員で名前・ページ・見た日を足す

みんなの探究カード v3
教師用メモ

進め方(6分) 4 分で書いて出す。残り 2 分で互いに読み、押す。集計を見て足りない欄を直した生徒は、もう一度出し直してよい。

長すぎて送れないとき 合計 400 字を超えると送れない。上の 4 欄を短く言い直させる。書いたものは端末に下書きとして残るので、消えない。

教室コード 第2回と同じコードでないと、前のカードが出てこない。板書のコードを全員で確かめてから始める。書いたものは 探究ノート にも残る。

次に欄が増えるのは第5回(変えるもの・はかるもの・そろえるもの)。10分版でも、この 1 欄以上は必ず進める。

今日のまとめ

3つの目標に、自分の手元のもので答える

01
分けた 調べたことと、思ったこと。行を分けて書けば、あとで自分が見分けられる
02
残した 名前・ページ・見た日。読んだその場で書く。1 件をたどれるほうが、10 件あいまいより強い
03
決めた 問いを絞るか、場所や時を変えるか、変えるか。変えるのは後戻りではない

次回からは設計に 3 回を使う。集めたあとでは取り直せないので、集める前に決めきる

教師用メモ

次回は「変えるもの・はかるもの・そろえるもの」。問いをはかれる形に落とす。今日の 1 件で「何を数えていたか」を見ておくと、次回の入りが早い。

自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01調べたことと、自分が思ったことを分けて書ける
021 件を調べ、名前・ページ・見た日を残せる
03調べた結果から、問いを絞るか変えるかを決められる
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。「まだ」が多い目標は、次回の冒頭で拾い直す。02 が「まだ」の生徒には、次回までに出どころを 1 件だけ書いてくるよう個別に言う。

ふりかえり

調べてみて、自分の問いはどうなったか

一文でよい。「問いはそのまま」「ここを絞った」「こう変えた」のどれかから書き始める

みんなの問いの、その後
教師用メモ

3 分。「そのまま」が多くても問題ない。変えた生徒を 1 人だけ読み上げ、変えられることを全員に見せる。次回は「変えるもの・はかるもの・そろえるもの」。