一覧へ 中学校の情報学探究 第10回 | 作って使ってもらう
総合的な学習の時間 | 中学校の情報学探究 | 第10回

作って使ってもらう

調べたあと、誰かに一度使ってもらい、どちらがよいかを聞き、やめ方まで決める

10〜50分
教師用メモ

準備 教室コードは第2回と同じものを使う。10 回の最後。使ってもらう相手が見つからない生徒のために、教師が 1 人(隣の学級の先生、図書委員、保健委員など)を先に決めておく。掲示や物を置く生徒は、第7回で取った許可がまだ生きているかを確かめておく。探究カードは v9 になり、3 欄増える。

投影 「教師」を押す。体験01(枚 5)は端末の中で完結する。やめ方のシート(枚 10)も端末の中に残る。体験02(枚 7)とカード(枚 12)は右の壁に並ぶ。最後のふりかえり(枚 15)は、投影したまま読み上げて終わると単元が閉じる。

時間配分 | 50分版(枚 1〜15 を全部使う) 前回のまとめ・目標(枚 2・3)4分 / 節1 使ってもらう形にする(枚 4〜8)17分 / 節2 やめ方を決める(枚 9〜11)12分 / 探究カード v9(枚 12)9分 / 今日のまとめ・自己評価・単元のふりかえり(枚 13〜15)8分

時間配分 | 20分版(枚 1・3・7・10・12・15) 目標(枚 3)2分 / 誰に頼むかを決めて下書き(枚 7)6分 / やめ方(枚 10)4分 / カードは「使ってもらった相手と反応」と「やめ方」の 2 欄(枚 12)5分 / 単元のふりかえり(枚 15)3分。仕分け(枚 5)は飛ばす。

時間配分 | 10分版(枚 1・7・12) この回で決めることは 1 つだけ。誰に使ってもらうかを決め、声をかける。頼む下書き(枚 7)で 5 分、カード(枚 12)の「使ってもらった相手と反応」の欄で 5 分。使ってもらうのは授業の外になるので、次の帯の初めに反応を書き足させる。

この回の評価(重点は知識・技能と思考・判断・表現と態度。評価場面は「使ってもらった記録/やめ方/次の問い」。評価規準の全体は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 B: 出た数に合う形(掲示・声かけ・手順・micro:bit の合図など)を一つ選び、作っている(体験01・02) | A: なぜその形にしたかを、使う相手の側から言える
  • 思考・判断・表現 B: 今までのやり方と作ったものを並べ、どちらがよいかを相手に聞いている(体験02・まとめ02) | A: 相手の答えを受けて、直した所がある
  • 主体的に学習に取り組む態度 B: 相手に一度使ってもらい、その人の言葉を残している(水準①。自律化の社会参画) | A: 手順・置き場所を決めて自分がいなくても回る形にし、やめ方まで書いている(水準②)

C の生徒への手立て 使ってもらう相手を教師が 1 人指定する。まず 1 人に見せるところまででよい。作るものが決まらない生徒には「掲示 1 枚」を指定する。

2 水準で止める ① 試してもらう(B) ② 続けて使える(A)。担当と更新まで決めて仕組みとして残す水準は、中学校では求めない。ただしやめ方は全員に書かせる。始めたものを誰も止められない形で置いていくのは、人に対して無責任だから。

指導要領 [解説]総合的な学習の時間編 目標 (3)「積極的に社会に参画しようとする」。探究の過程 ④ まとめ・表現から、① 課題の設定へ戻る所にあたる。[技術]D(2)(3) の「評価・改善」と D(4)「良い面と心配な面を挙げて、どう使うかを決める」に重なる(その続きが、この回のやめ方)。[指針]は G3L2(合意・確認が取れる)と B5L2(伝えたい事柄が伝わるコンテンツを作り、評価できる)。単元設計は こちら、10 回ぶんのメモは 探究ノート。

前にやったこと 動かして、評価し、直すことは、技術分野 中学校 第11・12回 で一度やっている。もう一度教えない。この一行を読み上げるだけでよい。

前回のまとめ

数は出た | ここで終わりにしない

第8回 | 集める→第9回 | 数で確かめる→今日 | 使ってもらう→次の問いへ

前の回で、範囲を付けた一文が書けた。それを自分だけのノートで終わらせないのが、この 10 回の最後の仕事。誰か一人に、実際に使ってもらう

分かったことを、誰に返すか

教師用メモ

3分。問いに 30 秒。「困っていた人」「最初に気になった場面の人」が出れば十分。第2回で自分が書いた理由に戻る生徒がいたら、それを全体に返す。最初の一人が、たいてい相手。

差が出なかった生徒・答えが出なかった生徒も、この回は同じように進める。「差は見られなかった」も、相手にとっては使える知らせ。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
出た数に合う形を一つ選び、誰かが使える形にできる
02
相手にどちらがよいかを聞き、その言葉を記録できる
03
やめ方(いつ・誰が・どうやって終わりにするか)を決められる
節 01 | 17分
使ってもらう形にする

2 つの水準と、頼み方

節 02 | 12分
やめ方を決める

全員が書く

今日の合言葉
始めたものは、止め方まで決める

置いていかない

SECTION 01

使ってもらう形にする

作っただけでは、まだ誰にも届いていない

自分たちが作った掲示を廊下の相手に見せて、感想を聞き取っている中学生
体験 01

これは、どこまで届いているか

まず練習から。ある学年がやったことを、3 つに分ける。①は相手が一度使って、反応が記録されている状態。②は手順と置き場所が決まっていて、自分がいなくても回る状態

作っただけ = まだ誰も使っていない① 試してもらった = 一度使われ、反応が残っている② 続けて使える = 手順と置き場所が決まっている
教師用メモ

進め方(5分) 3 分で分ける。答え合わせのあと、「作っただけ」の 3 つを取り上げる。作ったことと、届いたことは別。3 つ目(画面の中では動く)でつまずく生徒が多いので、ここを丁寧に言う。

①と②の違いは「自分がいなくても回るか」の 1 点。②の 2 つは、どちらも人と場所と時が決まっている。ここを見せる。

20分版・10分版はこの枚を飛ばし、次の表(枚 6)を読み上げるだけにする。

まとめ 01

届き方の 2 つの水準と、残すもの

① 試してもらう相手が一度使った。反応を記録した残すもの | 使った人の言葉、うまくいかなかった所
② 続けて使える手順・置き場所が決まっている。自分がいなくても回る残すもの | 手順書、置き場所、聞く相手の名前

まず①まで行く。 一人に一度使ってもらえれば、それで①。②まで行けるかは、相手と場所しだいで、行かなくてよい

数が出た人掲示・声かけ・手順書・並べ方の変更。出た数をそのまま書いて添える
差が出なかった人「変えても変わらなかった」も知らせ。他の人が同じことを試さずにすむ
micro:bit を使った人何を合図にするかを決める(暗くなったら光る、うるさくなったら知らせる)
教師用メモ

進め方(4分) 上の表を読み上げる。①が B、②が A。②を全員に求めない。②まで行った生徒には、手順書が 3 行で書けているかを見る。長い手順書は、次の人が読まない。

下の表は、作るものの決め方。作るものは第5・6回で選んだ道具でほぼ決まる。掲示や紙なら「誰がはり替えるか」、micro:bit なら「何を合図にするか」。ゼロから考えさせない。

差が出なかった生徒を必ず一人取り上げる。「変わらなかった」を伝えるのも、人の役に立つ。ここで自信をなくさせない。

体験 02

誰に頼むかを決めて、声をかける

下の欄には、どちらがよいかを聞く一文を必ず入れる。「今までのやり方と、これと、どちらがよいですか」。相手が答えやすいのは、この聞き方

誰に | いつ
何と言って頼むか | 下書き

下書きが右に並ぶ。どちらがよいかを聞く一文が入っていないものを 2 件取り上げ、全員で足す

みんなの頼み方
教師用メモ

進め方(8分) 5 分で書いて送る。残り 3 分で 3 件を読み上げ、足りない所を全員で足す。相手が決まらない生徒には、教師がその場で 1 人指定する。隣の学級の先生、図書委員、保健委員。空欄のまま終わらせない。

第7回の断りの言葉をここでも使う。 名前を書かない、答えたくなければ答えなくてよい。相手が大人でも同じ。

今日のうちに声をかけられる生徒は、この時間の終わりに行かせてよい。使ってもらうのは授業の外になるので、反応は次の帯の初めに書き足させる。10分版はこの枚とカードだけ。

まとめ 02

どちらがよいかを聞く | 4 つ目の問いの型

どれくらいか(記述)数える・はかる・聞く第6回で使った
関係があるか(関係)同じ場面で両方をはかる第6回で使った
変えると変わるか(因果)変える側と、変えない側を作る第6回で使った
どちらがよいか(評価)2 つを並べて、使う人に選んでもらう今日、ここで使う

第3回で型を 3 つに絞ったのは、この 4 つ目をここまで取っておくため。よいかどうかを決めるのは、作った自分ではなく使う人

※ 聞くときは、必ず 2 つを並べて見せる。片方だけ見せて「よいですか」と聞くと、たいてい「よい」と返ってくる

教師用メモ

進め方(4分) 4 行目だけを丁寧に言う。片方だけ見せて聞かないのがこの型の要。今までのやり方と、作ったものを、並べて見せる。

「どちらがよいですか」の後に「どうしてですか」を足すと、直す材料になる。一言だけ足させる。

相手の答えが「今までのほうがよい」だった生徒を、次の回(または次の帯)で必ず取り上げる。それが分かったことも成果で、直す所が一つ見つかったということ。

SECTION 02

やめ方を決める

始めたものを、誰も止められない形で置いていかない

掲示の下に小さな紙をはり、いつまで続けるかを書き込んでいる中学生の手元
体験 03

いつ、誰が、どうやって終わりにするか

3 つとも書く。全員が書く。一度きりで終わるもの(1 回配っただけ)も、「その日に回収する」と書けばよい。この画面は自分の端末に残る

01
いつ
02
誰が
03
どうやって
04
続けるなら、残すもの
※ 04 は水準②まで行く人だけ。①で終わる人は「なし」でよい
教師用メモ

進め方(6分) 5 分で書く。机の間を回り、02 が空の生徒に声をかける。決める人がいないなら「自分が」でよい。誰も書いていないものが、いちばん残ってしまう。

「学期末に図書委員会で続けるか決める」「卒業までに次の人に渡すか、外す」。この程度の一文で足りる。重く考えさせない。

これは技術分野 D(4) でやった「良い面と心配な面を挙げて、どう使うかを決める」の続きにあたる。止め方まで決めるのが、作った側の責任。ここだけは全員に書かせる。

まとめ 03

外に出す前に、もう一度見るもの

01
個人が分かるものが残っていないか 名前・学級・顔写真。答えてくれた人の書いた字も、そのまま見せない
02
数と、自分の意見が分かれているか 「〇〇では△△だった」と「だから〜がよいと思う」を、行を分けて書く
03
言えないことが書いてあるか 前の回で書いた一文を、そのまま添える。これがあると、かえって信用される

写真や声を使うなら、写っている人に断る。断られたら使わない。代わりに絵や図にする

教師用メモ

進め方(2分) 3 つを読み上げる。01 は第7回の「出す前にもう一度確かめる」の実行にあたる。ここが最後の確かめの場になる。

03 は不安がる生徒が多い。「言えないこと」を書いてあるほうが信用されると、はっきり言う。書いていないほうが、後で突かれる。

体験 04

探究カード v9 | 使ってもらった相手と、やめ方と、次の問い

最後のカード。下の 3 欄を書き足して出し直す。まだ使ってもらっていない人は、これから頼む相手と日を書いて出し、使ってもらった後に書き直す。前に書いた欄は 探究ノート に残っている

問い | 前に書いたもの
出た数 | 前に書いたもの
使ってもらった相手と反応 | 相手の言葉のまま
やめ方 | いつ・誰が・どうやって
次の問い | 一文で

出したあと、右のカードを 3 枚以上読み、それぞれに 1 つ押す。自分のカードには押せない

最後のカードが右に並ぶ。第2回に出した版と並べて、同じ生徒の問いがどう変わったかを 2 人ぶん見せる

みんなの探究カード v9
教師用メモ

進め方(9分) 6 分で書いて出す。残り 3 分で、投影から 2 人を選び、第2回の版と今日の版を並べて見せる。10 回で問いがどう変わったかを、本人に言わせる。これが単元の締めになる。

「次の問い」は必ず書かせる。 答えが出た人は「次はこれを確かめたい」、出なかった人は「今度はこう変えて確かめたい」。探究は一周では終わらないことを、最後に形で残す。

20分版・10分版は「使ってもらった相手と反応」と「やめ方」の 2 欄でよい。次の問いは、次の帯の初めに書き足させる。

全部の欄を書かないと出せない。合計 400 字までなので、長い生徒には短く言い直させる。

今日のまとめ

10 回で通った道

① 課題の設定第1〜4回気になることを選び、問いにして、すでに分かっていることを調べて絞った
② 情報の収集(設計)第5〜7回変える・はかる・そろえるを決め、比べる相手を決め、できるかを見積もった
② 情報の収集(実行)第8回集めて、表にした。集まらなかったものも書いた
③ 整理・分析第9回数で確かめ、言えることと言えないことを分けた
④ まとめ・表現第10回作って、使ってもらい、やめ方を決め、次の問いを書いた

この四つは、何度でも回る。次の問いから、また①が始まる

教師用メモ

3分。第1回で「戻ることは失敗ではない」と言ったことに、ここで戻る。第9回で問いに戻った生徒がいれば、その生徒を例に出す。戻った回数が多い探究ほど、たいてい良い。

この四つの並びは、他の教科の課題や、部活動の困りごとにもそのまま使える。[指針]K2L1が言う「他の問題解決場面にも適用させたい」とは、このこと。

自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01出た数に合う形を選び、誰かが使える形にできた
02どちらがよいかを聞き、相手の言葉を記録できた
03やめ方(いつ・誰が・どうやって)を決められた
できただいたいまだ
教師用メモ

1分。目標 02 に「まだ」が多いのは、使ってもらうのが授業の外になるため。次の帯の初めに、その 3 分だけを取り直す。ここを飛ばすと、10 回が「調べてまとめただけ」で終わる。

ふりかえり

10 回をふりかえって、いま言えること

単元のふりかえり。下の 3 つに、できた/だいたい/まだ、を 1 つずつ選ぶ。そのあと、一文を書いて送る

10 回ぜんぶをふりかえって | 1 つずつ選ぶ
01自分に関わりのあることを選び、なぜ選んだかを言える
02計画を立て、進まないときに自分で直せた
03分かったことを、誰かに返せた
できただいたいまだ

「この 10 回で、自分は〇〇ができるようになった。次は△△を確かめたい」の形で一文

10 回をふりかえって
教師用メモ

進め方(4分) 3 つの分布を見せてから、一文を書かせる。上の 3 つは、[解説]の自律化の三つ(自己課題・運用・社会参画)を、生徒に言う言葉に直したもの。単元の評価の材料はここに集まる。

03 に「まだ」が多い場合は、使ってもらう時間が足りていない。次の帯で 10 分だけ取り、相手に見せるところまでやらせる。ここを飛ばすと、この 10 回が「調べてまとめただけ」で終わる。

最後に、投影したまま数人の一文を読み上げて終わる。書いたものは 探究ノート に残り、次の探究のときに開ける。