一覧へ 中学校の情報学探究 第5回 | 変えるもの・はかるもの・そろえるもの
総合的な学習の時間 | 中学校の情報学探究 | 第5回

変えるもの・はかるもの・そろえるもの

問いを はかれる形に落とす。決めるのは 変えるもの・はかるもの・そろえるもの の 3 つ

10〜50分
教師用メモ

準備 教室コードは第2回と同じものを使う。板書して残しておく。この回から設計に 3 回を使う。集める前に決めきるためで、集めたあとでは記録を取り直せない、と最初に言う。道具(micro:bit・easyStat)はこの回と次の回で選ばせるが、触らせるのは第8回でよい。

投影 教師の端末で「教師」を押してから投影する。体験 01 は端末の中だけで終わる。体験 02 と 03 は教室コードで集まり、右の面に全員の回答が並ぶ。

時間配分(50分版) 前回まとめ・目標 6分 / 節1 3 つの箱に分ける 13分 / まとめ01 決めるのは 3 つ 5分 / 節2 数え方を決める 13分 / まとめ02 書けたら進む 4分 / 探究カード 6分 / 今日のまとめ・自己評価・ふりかえり 3分

20分版 03・05・06・10・11 の 5 枚。体験 01 を 6 分で切り上げ、カードの「はかるもの」「そろえるもの」の 2 欄まで進める。

10分版 06・08・10 の 3 枚。決めるのははかるものを 1 つ決め、数え方を一文で書くことだけ。カードは「はかるもの」の 1 欄を埋めて出し直す。

カードが手元に無い生徒(前回いなかった、消えた)は、この回の 3 欄だけをその場で書いて始めてよい。前の回に戻らせない。

この回の評価(重点は 思考・判断・表現。評価場面は「変える・はかる・そろえるの 3 つ」と「数え方の決め方」。単元設計は 単元設計のページ)

  • 知識・技能 B 変える・はかる・そろえるの 3 つを、自分の問いで 1 つずつ挙げている / A この 3 つをまとめて変数と呼ぶことを、自分の例で言える(体験01・今日のまとめ)
  • 思考・判断・表現 B はかるものが決まっている / A はかるものを誰が数えても同じ数になる言い方に直している(体験02・カード)
  • 主体的に学習に取り組む態度 B 数え方が書けないとき、問いに戻って書き直している / A 直した理由を言える(まとめ02・ふりかえり)

指導要領 [解説]第2章 目標 (1)「課題に関わる概念を形成し」。[技術]D 情報の技術(技術分野 第8回で「動く前に『こうなるはず』を予想し、実際と比べる」を扱っている。しきい値を決めたことと同じだと一言で指す)。[指針]D4L1(実データを表やグラフにして検討できる)、C1L1(身近なものがモデルだと分かる)。モデル図を自分で描く水準は求めない。

前回のまとめ

分かっていないところは見えた | ここから設計に 3 回使う

問いが決まった→調べて絞った→何を変え、何をはかるか→比べる相手→できるか見積もる

ここから 3 回、集める前の設計に使う。長いと感じるかもしれない。それでも先に決めるのは、問いは後から直せるが、取り直せない記録は直せないから

「ちゃんとはかった」と、どうすれば言えるのか

教師用メモ

問いに 30 秒。答えは出なくてよい。「二人が別々に数えて、同じ数になるか」がこの回の合格の基準だと、まとめ02 で示す。

3 回もかけることに納得しない生徒がいる。「集め終わってから、これでは答えられないと分かる」のがいちばん多い止まり方だと、ここで一度言っておく。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
自分の問いで、変えるもの・はかるもの・そろえるものを 1 つずつ決められる
02
はかるものを、誰が数えても同じ数になる言い方に直せる
03
この 3 つをまとめて変数と呼ぶことを、自分の例で言える
01 | 13分
3 つの箱に分ける

どれがどれか

02 | 13分
数え方を決める

誰が数えても同じに

03 | 6分
探究カード

3 欄ふえる

SECTION 01

3 つの箱に分ける

動かすもの、見るもの、動いてしまうと困るもの

机の上に三つの空の箱が並び、中学生が小さな紙片を一枚ずつどれかの箱に入れている手元
体験 01

この 12 は、どの箱に入るか

場面は「掲示の色を変えると、立ち止まる人は増えるか」。上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す。全部に印を付けたら「答え合わせ」。変えるものは、ふつう 1 つだけ。2 つ同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなる

変えるもの = 自分たちで動かすものはかるもの = 変えた結果として見るものそろえるもの = 変わってしまうと比べられなくなるもの
教師用メモ

進め方(13分) 一人で 6 分。答え合わせのあと、「そろえるもの」がいちばん多いことを全員に確かめさせる(3分)。ここが手薄なまま集めに行く班が多い。そのあと、自分の問いで 3 つを口に出させる(4分)。

拾いたい発言 「変えるものを 2 つにしてはいけないのか」→ できるが、どちらが効いたかを分けるには人数も回数も増える。中学校では 1 つに絞る。「数える人もそろえるのか」→ 人が変われば数え方が変わる。だから次の節で数え方そのものを決める。

そろえられないもの 天気、行事、その日の欠席。そろえられないものは記録する。記録してあれば、第9回で「これが効いたかもしれない」と書ける。

記述の問い(どれくらいか)の生徒 変えるものはない。はかるものとそろえるものだけを決める。この体験でも「変えるもの」の箱が空でよいと先に言っておく。

[指針]C1L1。「変えるもの → はかるもの、そろえるもの」の関係が、そのままモデルになっている。目標 01。

まとめ 01

決めるのは 3 つ

変えるもの自分たちで動かすもの | 掲示の紙の色(白/黄)
はかるもの変えた結果として見るもの | 前を通った人のうち、立ち止まった人の割合
そろえるもの変わってしまうと比べられなくなるもの | 貼る場所、貼る高さ、文字、時間帯、曜日

記述の問い(どれくらいか)なら、変えるものはない。はかるものとそろえるものだけを決める

※ そろえられないもの(天気・行事)は、そろえずに記録する。記録してあれば、あとで理由として書ける

教師用メモ

進め方(5分) 3 行を読み上げ、自分の問いに当てはめて 3 つを口に出させる。10分版は、この枚と体験 02、カードの 3 枚だけを使う。

技術分野でやったこと 技術分野 第8回で「動く前に『こうなるはず』を予想し、実際と比べる」を扱っている。そのときに決めたしきい値(何度を超えたら光らせるか)と、ここで決めることは同じ。もう一度教えない。技術分野をまだ履修していない学年なら、この 1 行を読み上げるだけでよい。

この 3 つの呼び名 ここではまだ「変数」と言わない。日本語の 3 語を先に置く。名づけは今日のまとめの枚で行う。

SECTION 02

誰が数えても同じ数になる言い方

「にぎやか」では数えられないが、「立ち止まった人の数」なら数えられる

同じ廊下を二人の中学生が別々に数え、手元の記録用紙の数字を見比べている場面
体験 02

そのままでは数えられない言葉を、書き直す

にぎやか1 分間に聞こえた話し声の数 / 教室で話していた人数
がんばっている1 週間に練習に出た日数 / 提出した回数
気づいた立ち止まった人の数 / 1 分間に通った人数のうち、見た人の数

自分の問いの中から、そのままでは数えられない言葉を 1 つ取り出して上に書く。下に、いつ・どこで・何を数えるかが入った形で書き直す。上の 3 行が手本

そのままでは数えられない言葉
数えられる言い方 | いつ・どこで・何を数えるか

全員の書き直しが右に並ぶ。まだ数えられないものを 2 つ取り上げ、全員で数え方を足す

みんなの書き直し
教師用メモ

進め方(13分) 8 分で書いて送る。残り 5 分で投影から 3 件を取り上げる。毎回「二人が別々に数えて、同じ数になるか」と聞く。これが合格の基準で、ここがこの回の山場。

よくある直し 「多くの人が見た」→ 何人からが多いのか決まっていない。「よく分かった」→ 誰がどう判定するのか。「元気になった」→ 何を何段階で聞くのか。数える時点(いつ)が抜けているものがいちばん多い。「1 分間に」「昼休みに」を足させる。

言葉を集める生徒 数えないと決めてもよい。ただしそのことを書かせる。人に聞く探究なら「何人に聞いたか」「同じ話が何人から出たか」が数になる。

書けない生徒 「何を」「どうなったら」の 2 語だけ先に書かせ、教師が問いの形に並べ直して見せる。並べ直したものを写させてよい。

思考・判断・表現の A の評価場面。誰が数えても同じ数になる言い方に直せているかを見る。目標 02。

まとめ 02

書けたら進む | 書けないなら問いに戻る

01
数え方が書けた そのまま第6回へ進む。比べる相手を決める段に入れる
02
書けない 問いが大きすぎるか、言葉が決まっていない。問いに戻って書き換える
03
合格の基準は一つ 二人が別々に数えて、同じ数になるか

はかれないまま集めるほうが、あとで止まる。問いに戻るのは後戻りではない

教師用メモ

進め方(4分) 三つを読み上げ、02 に当たる生徒に手を挙げさせる。挙げた生徒は、次の枚のカードで「問い」の欄から書き直させる。挙げにくい空気にしない。第4回で問いを変えた生徒がいれば、そのときと同じ扱いだと言う。

書けない原因はほとんど「問いが大きい」。「ごみについて」のままでは数え方が立たない。情報学探究マニュアル の書き換えの例を、その場で見せるとよい。

体験 03

探究カード | 変えるもの・はかるもの・そろえるもの

前の回に書いた 6 欄はそのまま出てくる(直してもよい)。今日は下の 3 欄を書き足して、9 欄そろえて出し直す。全部の欄を埋めないと送れない。記述の問いの人は「変えるもの」になしと書く。カードが無い人は、下の 3 欄だけ先に書いてよい

気になっていること
自分の理由
問い | 「〜は〜か」の形で、一つだけ
問いの型 | 記述・関係・因果のどれか
調べて分かっていたこと
出どころ | 名前・ページ・見た日
変えるもの | 自分たちで動かすもの
はかるもの | 誰が数えても同じ数になる言い方で
そろえるもの | そろえられないものは記録する

出したあと、右のカードを 3 枚以上読み、それぞれに 1 つ押す。自分のカードには押せない

9 欄そろったカードが右に並ぶ。「誰が数えても同じ数になる」が少ないカードを 1 枚取り上げ、全員で数え方を足す

みんなの探究カード v4
教師用メモ

進め方(6分) 4 分で書いて出す。残り 2 分で互いに読み、押す。「はかるもの」が空のカードは、第6回に進ませない。比べる相手は、はかるものが決まっていないと選べない。

長すぎて送れないとき 合計 400 字を超えると送れない。前の回の欄を短く言い直させる。書いたものは端末に下書きとして残るので、消えない。

道具を選ぶ 「実際にどれくらいか、はかりたい」なら micro:bit(明るさ・温度・傾き・音)。「差がありそうか、見たい」なら easyStat。選ぶのは 2 つのうち 1 つ。どちらも無くても止まらない。ストップウォッチと「正」の字、方眼紙の棒グラフで同じことができる。

高度化の整合性(問いと確かめ方がちぐはぐでない)の材料が、問いの欄とはかるものの欄。合わない生徒には、この 2 行を並べて読み上げさせる。

今日のまとめ

この 3 つをまとめて、変数と呼ぶ

変えるもの
自分たちで動かすもの
掲示の紙の色(白・黄)
はかるもの
変えた結果として見るもの
立ち止まった人の数
そろえるもの
変わってしまうと比べられなくなるもの
貼る場所・高さ・時間帯

この 3 つをまとめて変数(=変わる数のこと)と呼ぶ。誰が数えても同じ数になる形に決めるのが、今日の仕事だった

次回は比べる相手を決める。「増えた」と言うには、何と比べて増えたのかが要る

教師用メモ

進め方(1分) ここで初めて「変数」という語を当てる。語から入らないのがこの回の設計。3 語を先に使わせてから名づけると、定義を覚えさせなくてよい。高校の探究で同じ語がそのまま出てくる、と一言だけ添える。

知識・技能の A の評価場面。自分の例で「これが変数です」と言えるかを見る。目標 03。

自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01変えるもの・はかるもの・そろえるものを決められる
02はかるものを、誰が数えても同じ数になる言い方に直せる
03この 3 つをまとめて変数と呼ぶことを、自分の例で言える
できただいたいまだ
教師用メモ

1 分。02 が「まだ」の生徒は、次回の冒頭で 1 人ずつ数え方を口に出させる。そこが決まらないと第6回が進まない。

ふりかえり

はかれる形にしてみて、問いはどうなったか

一文でよい。「問いはそのまま」「数え方を決めた」「問いを書き直した」のどれかから書き始める

みんなの数え方
教師用メモ

3 分。書き直した生徒を 1 人読み上げる。次回は「比べる相手を決める」。今日決めたはかるものを、何と比べるかに進む。