平均・割合・散らばりの 3 つの見方で数を出し、グラフを並べて比べたうえで、言えないことに線を引く
10〜50分準備 教室コードは第2回と同じものを使う。生徒は前の回に集めた表を持ってくる。電卓(端末の電卓でよい)と方眼紙を用意しておくと、紙で集めた生徒もそのまま進められる。件数が 0 の生徒がいたら、この時間の初めの 10 分で教室の中を数えさせる。探究カードは v8 になり、2 欄増える。
投影 「教師」を押す。体験01(枚 5)は端末の中で完結する。自分の数を出すシート(枚 6)も端末の中に残る。体験03(枚 9)の判断の分布と、カード(枚 11)は右の壁に並ぶ。
時間配分 | 50分版(枚 1〜14 を全部使う) 前回のまとめ・目標(枚 2・3)4分 / 節1 3 つの見方で数を出す(枚 4〜7)17分 / 節2 言えることと言えないこと(枚 8〜10)13分 / 探究カード v8(枚 11)10分 / 今日のまとめ・自己評価・ふりかえり(枚 12〜14)6分
時間配分 | 20分版(枚 1・3・6・7・11・14) 目標(枚 3)2分 / 自分の数を出す(枚 6)7分 / まとめ01 の表(枚 7)3分 / カードは「出た数」と「言えないこと」の 2 欄(枚 11)5分 / ふりかえり(枚 14)3分。仕分けの練習(枚 5)と判断(枚 9)は飛ばす。
時間配分 | 10分版(枚 1・6・11) この回で決めることは 1 つだけ。出た数を 1 つ書き、言えないことを一文書く。シート(枚 6)で 1 つだけ出させて 4 分、カード(枚 11)の 2 欄で 5 分。3 つの見方を全部やらせない。
この回の評価(重点は思考・判断・表現。評価場面は「出た数と、そこから言えないことの線引き」。評価規準の全体は 単元設計のページ)
C の生徒への手立て 見方を 1 つ(割合)に決めてやり、「何人のうち何人か」だけを出させる。3 つ全部を出させない。表が無い生徒には、この時間の中で 10 分だけ数えさせ、その数で進める。
統計はここまで 平均、割合、散らばり(いちばん大きい数といちばん小さい数の幅)、グラフで並べて比べる。この 4 つで止める。差を調べる計算はしない。 easyStat は「差がありそうか見る」道具として使い、平均・割合・散らばりとグラフまでを見せる。生徒が画面で見慣れない数を見つけたときの答え方は、「高校で習う数です。いまはグラフの形で言えることを書きましょう」。これ以上は踏み込まない。
端末や道具が無い場合 やることは同じ。紙の表の合計を出し、人数で割って平均を電卓で出す。方眼紙に棒グラフを 2 本並べて、どちらが大きいか、どれくらい重なっているかを見る。道具が無いことを理由に、この回を止めない。
指導要領 [解説]総合的な学習の時間編 目標 (2)「整理・分析して」。探究の過程 ③ 整理・分析にあたる。[技術]D(2)(3) の「評価・改善」に重なる(技術は「動いたか」、探究は「数でそう言えるか」まで見る)。[指針]は D4L2(平均・中央値・度数分布の意味と使い道が分かる)と I1L2(帰納的・類推的・演繹的な推論)。単元設計は こちら、道具の使い方は 情報学探究マニュアル。
前にやったこと 表とグラフは、技術分野 中学校 第10回 で一度やっている(「動かして集めた記録を表にして、数を根拠に決める」)。もう一度教えない。この一行を読み上げるだけでよい。
この回の要 答えは、その数から言えることの方にある。「言えない」と書くのは負けではない。
手元にあるのは、日付・場所・条件・数の並んだ表。ここから出すのは平均、割合、散らばりの 3 つだけ。出したらグラフを並べて比べる
その数から何が言えるかが、今日の山場
3分。表を持ってきていない生徒を先に見つける。この時間の初めの 10 分で、教室の中を数えさせて表を作らせる。件数が少なくても、この回はできる。
問いに 30 秒。「平均」が出れば十分。割合と散らばりは、この後で出す。
平均・割合・散らばり
言えないことを書く
範囲を付けると強くなる
平均、割合、散らばり。問いによって、見る所が変わる

まず練習から。同じ表からでも、聞きたいことによって出す数が変わる。下の問いを 3 つに分ける。散らばりは、いちばん大きい数といちばん小さい数の幅のこと
進め方(5分) 3 分で分ける。答え合わせのあと、3 つ目のグループ(割合)の最後の 1 つを取り上げる。通った人数が違うときは、人数のまま比べられない。白 3 日で 41 人、黄 3 日で 38 人でも、前を通った人が違えば、多い少ないは言えない。ここが割合の使いどころ。
散らばりの最後の 1 つ 平均が同じでも中身が違うことがある、という話。「毎日 10 人ずつ」と「0 人の日と 20 人の日」は平均が同じ。数字で 2 例を板書すると 30 秒で伝わる。
20分版・10分版はこの枚を飛ばす。
自分の表を開いて、上から順に出す。全部でなくてよい。自分の問いに合う 1 つが出ていればよい。電卓を使ってよい。この画面は自分の端末に残る
進め方(8分) 7 分で出す。机の間を回り、02(割合)を必ず 1 人ずつ確かめる。「何人のうち何人か」の分母が書けているかを見る。分母が無い割合は読めない。
道具を使う生徒 「差がありそうか見たい」と言った生徒は easyStat で表を読み込み、平均・割合・散らばりとグラフを見る。それ以外の画面は触らせない。見慣れない数を見つけて聞いてきたら「高校で習う数です。いまはグラフの形で言えることを書きましょう」と答える。
05 を必ず書かせる。 思っていたのと違う数が出た生徒を、この後で必ず一人取り上げて肯定的に扱う。違った所がいちばん値打ちのある材料になる。ここで「都合のよい所だけ使う」ことを覚えさせない。
10分版はこの枚だけを使う。1 つだけ出させる。C の生徒には教師が「割合」を指定する。
| 平均 | 合計 ÷ 件数 | ふつうどれくらいかを言いたいとき。ただし、片寄った数が 1 つあると動く |
| 割合 | 当てはまった数 ÷ 全体の数 | 全体の数が違うものを比べるとき。分母(何人のうち)を必ず書く |
| 散らばり | いちばん大きい数 − いちばん小さい数 | 平均が同じでも中身が違うことがある。日ごとの差を見たいとき |
| グラフを並べる | 棒を 2 本、横に並べる | どちらが大きいか。どれくらい重なっているか。重なりが大きいほど、差があるとは言いにくい |
2 本の棒がほとんど重なっているなら、差があるとは言わない
進め方(4分) 4 行目がこの回の中心。棒の高さだけを見て「差が出た」と言う生徒が必ず出る。散らばりの幅まで描かせて、重なりを見せる。重なりが大きければ「差がありそうとは言えない」でよい。
ここで止める。 差があると言ってよいかを計算で決める方法は、この単元では扱わない。中学校では、グラフの形と重なりで言えるところまで。高校の探究で続きをやる。
平均の注意(片寄った数が 1 つあると動く)は、例を 1 つ口で出す。「4 人・5 人・4 人・30 人」の平均は 10.75 人だが、ふつうの日は 5 人くらい。
答えは、出た数から言えることの方にある

※ 出た数。掲示を白にした 3 日間、前を通った 41 人のうち 3 人(7%)が立ち止まった。黄にした 3 日間、38 人のうち 7 人(18%)が立ち止まった。日ごとの幅は、白 1〜4 人、黄 5〜9 人
進め方(6分) 2 分で選ばせ、4 分で分布を見ながら話す。正解を 1 つに決めない。 2 番目・3 番目・4 番目はどれも正しい指摘で、この一文にはその 3 つの弱さが同時にある。1 番目を選んだ生徒に「なぜそう言えるか」を聞き、他の生徒に足させる。
この一文の弱い所は 3 つ ① 「べきだ」は数から出たことではなく、自分の意見(分けて書く) ② 色を変えたときに、貼る場所や時間帯も変わっていたかもしれない ③ 6 日ぶんで、通った人も 79 人。少ない。
直した形を板書する。「この廊下の 6 日間では、黄色の掲示のほうが立ち止まった人の割合が高かった(7% → 18%)。色以外の理由があるかは分からない」。範囲を付けると、範囲の中の主張はかえって強くなる。
20分版・10分版はこの枚を飛ばし、次の枚の表を読み上げるだけにする。
| 言えること | 集めた範囲の中で、数が示していること。「この廊下では」「この 6 日間では」と範囲を付けて言う |
| 言えないこと | 集めていない所のこと。「言えない」と書くのは負けではない |
| どちらでもないもの | 自分の意見。「〜べきだ」「〜がよい」。数から出たことと分けて書く。混ぜると、数のほうまで信用されなくなる |
| 言えないことの型 ① | 理由の向き 一緒に動いていても、そちらが原因とは限らない |
| 言えないことの型 ② | この人たちの分だけ 自分の学年 32 人なら、その 32 人のこと |
| 言えないことの型 ③ | 数が少ない 3 日ぶんでは、たまたまでも起きる差 |
| 言えないことの型 ④ | 時期が片寄っている テスト前の 1 週間だけのことかもしれない |
進め方(4分) 下の 4 つの型を読み上げる。生徒の「言えないこと」は、ほとんどこの 4 つのどれかに当てはまる。書けない生徒には、4 つのうちどれが自分に当てはまるかだけを選ばせ、そこから一文にさせる。
上の表の 3 行目(意見と数を分ける)が、[指針]I3L1「主観と客観を区別して受け取る」につながる。中学校では受け取る側までで、伝える側は高校で扱う。
ここで「答えられない」と分かった生徒は、第3回の問いに戻ってよい。[解説]が言う「探究の過程が繰り返される」のは、ここで起こる。戻ることは失敗ではないと、第1回で先に言ってある。第10回は、いまの結果のままでも進められる。
今日は下の 2 欄を書き足して出し直す。思っていたのと違う数が出た人は、そのまま書く。前に書いた欄は 探究ノート に残っている
出したあと、右のカードを 3 枚以上読み、それぞれに 1 つ押す。自分のカードには押せない
カードが右に並ぶ。「言えないこと」が空か、「とくにない」になっているカードを 1 枚取り上げ、4 つの型を当てる
進め方(10分) 6 分で書いて出す。残り 4 分で互いに読み、押す。「言えないこと」の欄が空のままの生徒がいれば、必ずその場で書かせる。まとめ02 の 4 つの型から 1 つ選ばせればよい。
20分版・10分版も、この 2 欄は必ず書かせる。10分版でもカードは 1 欄進める。
思っていたのと違う数が出た生徒を必ず一人取り上げ、肯定的に扱う。第10回で人に使ってもらうと、都合のよい所だけ使った所は必ず突かれる。
全部の欄を書かないと出せない。合計 400 字までなので、長い生徒には短く言い直させる。
次回は最後。分かったことを形にして、誰かに使ってもらう
3分。第10回は、出た数から何を作るかを決めるところから始まる。数が小さくても、差が出なくても作れる。「差が無かった」という結果も、掲示や声かけの材料になる。
問いに戻ることを選んだ生徒も、第10回には出る。いまの結果のままで、誰かに一度見てもらうところまでは同じ。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
1分。目標 03 に「まだ」が多い場合は、まとめ02 の 4 つの型を次回の初めにもう一度読み上げる。型から選ばせれば、たいてい書ける。
「〇〇では、△△だった」の形。〇〇に範囲(どこで、いつ、何人ぶんか)を入れる。差が出なかった人は「差は見られなかった」と書いてよい
3分。範囲が入っている一文が、思考・判断・表現の A の材料になる。範囲が抜けている生徒には「どこで数えた分か」と一言だけ聞く。次回、この一文がそのまま人に見せる言葉になる。