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高校の情報学探究 | easyStat で確かめる | 第2回

平均の差の検定

グループの数と、同じ人の前後かどうかと、人数で、使う分析が決まる。p 値だけでは、差の大きさは言えない

10〜50分
教師用メモ

準備(授業前) 教室コードを決める(例: st02)。「教師」を押す。前回直した表を開いておかせる。道具で 1 つ実行させるので、2 つのグループに分かれる列と、平均が出せる列が 1 つずつある表を事前に配る(Excel か CSV。無い生徒には、前回のページの表を直したものを使わせる)。この回はこの単元の山で、p 値と効果量をここで必ず扱う。

投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。5 枚目の仕分けは投影に出したまま、生徒は自分の端末で印を付ける。9 枚目の二つの結果表は、投影に出して全員で読む。

時間配分(50分版) 枚は全部使う。前回のまとめ・目標 5分 / 節1 場面から分析を引く 16分 / 節2 p 値と効果量 21分(道具の枚 9分・体験02 12分) / まとめ・自己評価・ふりかえり 8分

20分版 使う枚は 1・3・5・6・9・10・13(表紙/目標/体験01/まとめ01/体験02/まとめ02/ふりかえり)。体験01 は 8 分。道具の枚は使わず、結果表の読み方は体験02 の 2 つの結果で済ませる。

10分版 使う枚は 1・9・10(表紙/体験02/まとめ02)。決めることは 1 つだけ。二つの結果のどちらの差が大きいかを選び、理由を一文。p 値と効果量の 4 点を読み上げて終わる。

この回の評価(重点は知識・技能。評価場面は「12 の場面の仕分け」と「二つの結果の読み比べ」)

  • 知識・技能 グループの数と対応のあるなしから、使う分析を選べる(体験01) | A: 人数が少ないときの扱いまで選べる
  • 思考・判断・表現 p 値と効果量を両方見て、差の大きさを言っている(体験02) | A: 人数の多さが p を小さくすることに触れている
  • 態度 p が .05 をわずかに超えた結果を、無かったことにしないでいる(まとめ02・ふりかえり) | A: 次に何を確かめるかを挙げている

指導要領 [解説 情報編]情報Ⅱ (3)「質的データや量的データについて、結果として求めている形式に応じて適切な分析手法を選択する」。[設計指針 第2版]D5L2(実データに対する分析)と D3L2(目的に応じたデータの選択と分析)。単元の規準と評価課題は 単元設計のページ。問いの型と分析の対応表、結果の読み方は 情報学探究マニュアル の easyStat の節にある。

前にやった回 ここで思い出させる。もう一度教えない

データの行き先 easyStat は計算をブラウザの中で行い、読み込んだ表を分析用のサーバへ送らない。生徒が断って集めた記録を、外へ出さずに扱える。生成 AI による解釈支援は別の機能で、押さなければ動かない。

前回のまとめ

表が整った | ここから、何を確かめるか

1 行 1 件列名だけの 1 行目数の列は数だけ→今日 | 差があるか

前回、表を直して全体を見て、足せる列も分かった。ここから「平均の差の検定」に入るが、差を見る分析は一つではない。同じ「平均の差の検定」でも、場面によって使うものが変わる

分析を決めるのは、場面の形。手法の名前を覚えることではない

教師用メモ

前回のふりかえり「いちばん直したい所」から 3 件読み上げてから始める。表が直っていない生徒は、この 2 分のあいだに 1 か所だけ直させる。前回「まだ」が多かった目標を拾う。

今日の目標

授業の終わりにできるようになること

01
2 群か 3 群以上か、対応があるかないかで、使う分析が変わることが分かる
02
p 値と効果量を両方見て、差の大きさまで言える
03
結果表のどこを見るかが分かる
節 01 | 16分
場面から、分析を引く

12 の場面を 4 つに

節 02 | 21分
p 値と効果量

小さい p = 大きい差、ではない

この回の山
数を、二つ見る

第3・4回でも繰り返す

SECTION 01

場面の形で、分析が決まる

グループはいくつか、同じ人の前後か、人数は足りているか

机の上に二つの山に分けて積まれた回答用紙と、その横に並べて置かれた三つの小さな束
体験 01

12 の場面を、使う分析で分ける

どれも「平均の差の検定」を確かめる場面。グループの数と同じ人の前後かどうかと人数を見て 4 つに分ける。まず上で付ける印を選び、次にその印を付けるものを押す

t 検定 = 2 つのグループ分散分析 = 3 つ以上対応のある = 同じ人の前と後ノンパラ = 人数が少ない・5 段階
教師用メモ

進め方(14分) 1 つ目を全員で(2分)。個人 6 分。答え合わせと確認 6 分。この枚は端末の中で完結する。

迷うもの いちばん下の「同じ 9 人の前と後で、5 段階の疲れ」は対応があり、かつ人数が少ない。どちらの印でも正解にしてある。実際に使うのはウィルコクソンの符号付順位検定で、対応のあるノンパラ。二つの条件が重なることがある、という所が押さえどころ。

押さえる三つの問い ① グループはいくつか(2 つ/3 つ以上) ② 同じ人の前と後か、別々の人か ③ 人数は足りているか、5 段階のような順番か。この三つに答えれば分析は決まる。手法の名前を先に覚えなくてよい。

詰まったら easyStat の分析サポーターに、確かめたいことを一文で入れさせる。手法名を知らなくても引ける。目標 01。

まとめ 01

三つの問いで、分析は決まる

2 つのグループ | 別々の人t 検定。運動部と文化部、男子と女子のように、別々の人を 2 つに分けて平均を比べる
3 つ以上 | 別々の人一要因分散分析。まず「どこかに差があるか」が出る。どこに差があるかは、そのあとに調べる
同じ人の前と後対応のある検定。同じ人を追っているので、一人ひとりの変わり方が使える。同じ人数でも差を見つけやすい
人数が少ない | 5 段階のような順番ノンパラ(マン・ホイットニーの U 検定、ウィルコクソンの符号付順位検定)。平均ではなく順位で比べる

※ 迷ったら分析サポーターに確かめたいことを一文で入れる。手法の名前を知らなくても引ける

教師用メモ

3 分。分散分析は「どこかに差がある」までしか言わないことを強調する。3 学年で差が出ても、1 年と 3 年なのか 2 年と 3 年なのかは別に調べる。情報Ⅱ (3) 第5回の「答えの形が決まれば、道具は決まる」と同じ筋。

SECTION 02

p 値だけでは、大きさが言えない

偶然らしくないことと、差が大きいことは別

二枚の印刷した結果表を左右に並べ、それぞれ違う行を指さして話している高校生二人
道具で探す

結果表から、二つの数を見つける

分析を 1 つ実行し、結果表の中から「p 値」と「効果量」の二つを見つけて、人数と一緒に出す

easyStat(統計の道具)t 検定・分散分析・ノンパラの検定が入っている。どれを使えばよいか分からないときは「分析サポーター」が案内する
  1. 「この枚で開く」を押す
  2. 自分の表を読み込む(Excel・CSV、または表計算から貼り付け)
  3. 「分析サポーター」に、確かめたいことを一文で入れる
  4. 出てきた分析を 1 つ実行する(2 群なら t 検定)
  5. 結果表の中から「p 値」と「効果量」の二つを探して書き出す
この授業のページの中で開く。終わったら「閉じてこの枚に戻る」で戻る
見つけたものを、一文で
みんなの見つけたもの
教師用メモ

進め方 見つけた人から出す。全員に同じ答えを求めない。出てきたものを 2〜3 個読み上げ、共通点を言葉にする。

9分。分析は 1 つでよい。全部を試させない。結果表は数が多いので、「p 値」と「効果量」の二つだけを探させる。見つからない生徒には「今回の結果を簡単に説明すると」を開かせる。出てきた二つの数を、人数と一緒にノートへ書かせる。

道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。

体験 02

二つの結果、差が大きいのはどちらか

どちらも「2 つのグループで、5 点満点の点に差があるか」を見た結果。先に一つ選んでから、理由を送る

RESULT A
全校 400 人(200 人ずつ)
グループ 1 の平均3.45
グループ 2 の平均3.65
平均の差0.20
p 値.003
効果量 d0.15
RESULT B
2 つの班 20 人(10 人ずつ)
グループ 1 の平均2.80
グループ 2 の平均4.20
平均の差1.40
p 値.082
効果量 d0.86
差が大きいのは

選んだ人数と理由が右に並ぶ。A を選んだ理由を必ず 1 つ読み上げてから、答えに入る

クラスの選び方
選んだ理由
教師用メモ

進め方(12分) 二つの表を 2 分読む。選んで送る 4 分。読み上げと答え 6 分。

答え 差が大きいのは B(平均の差 1.40、効果量 0.86)。偶然とは考えにくいのは A(p = .003)。A は 400 人いるので、0.2 の差でも p が小さくなる。B は 20 人しかいないので、1.4 の差があっても p = .082 になる。p と効果量は別のことを言っている。

ここで崩す思い込み 「p が小さい=すごい発見」。人数を増やせば p はいくらでも小さくできる。だから効果量を一緒に見る。効果量 d は、おおよそ 0.2 で小さい、0.5 で中くらい、0.8 で大きい。

B をどう書くか 「差は無かった」と書かせない。「20 人では p = .082 で、偶然とは言い切れなかった。ただし差の大きさは 1.4 点(効果量 0.86)あり、人数を増やして確かめる値打ちがある」。ここが態度の A の場面。

目標 02・03 はこの枚で見る。[指針]D5L2・I3L2。投影画面を当日中に保存する。

まとめ 02

p 値と効果量について、必ず言う四つ

p 値が言っていること偶然でもこれくらい起きるかの目安。小さいほど、偶然とは考えにくくなる。p 値が言えるのは、そこまで
p が小さい ≠ 効果が大きい人数が多いと p は小さくなりやすい。差の大きさは効果量で見る。二つを一緒に読む
.05 は約束ごと自然の境目ではない。.06 だったから無かったことにする、は誤り。数をそのまま書き、人数と一緒に示す
図と数は両方見る同じ平均・同じ相関係数でも、点の並び方が全く違うことがある。数を出したら、必ず図も見る

※ この四つは、第3回(関係があるか)と第4回(偏りがあるか)でも同じように使う

教師用メモ

4 分。この枚がこの単元でいちばん大事な枚。四つとも読み上げる。三つ目は、思っていた結果が出なかった生徒を救う所でもある。四つ目は第3回の体験01でそのまま体験させるので、ここでは予告だけ。

今日のまとめ

次回までに手元にあるもの

01
三つの問い グループはいくつか / 同じ人の前後か / 人数は足りているか
02
二つの数 p 値と効果量。片方だけでは、差の話にならない
03
自分の表で出した結果 一つでよい。どの列とどの列を、どの分析で比べたかも一緒に書く

※ 次回は「相関と散布図」。今度は散らばりを先に見る。数を 1 つにまとめると、何が落ちるかを確かめる

教師用メモ

次回は図を先に見る回。今日の四つ目「図と数は両方見る」が、そのまま次回の体験になると予告しておく。表を持って来られない生徒には、次回のページに図が埋め込んであると伝える。

自己評価

今日の目標、自分はどこまで

3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る

今日の目標、自分はどこまで | 1 つずつ選ぶ
01グループの数と対応から、分析を選べた
02p 値と効果量を両方見て、差の大きさを言えた
03結果表のどこを見るかが分かった
できただいたいまだ
教師用メモ

目標 02 に「まだ」が多い場合は、第3回の冒頭で、今日の二つの結果表をもう一度出して 3 分だけ拾い直す。効果量はこの単元で何度も出てくるので、ここで完成させなくてよい。

ふりかえり

自分の表で、差を見たいのはどこか

「〇〇と〇〇で、△△に差があるか。グループは□つ、同じ人の前後では□□」の形で一文。まだ表が無い人は、身のまわりで比べたい二つを書く

みんなが差を見たい所
教師用メモ

4 分。グループが 3 つ以上になっている生徒を 1 人拾い、分散分析になることを全員で確かめる。投影を保存し、次回の冒頭で 3 件読み上げる。