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道具 1 easyStat で確かめる | 単元設計
easyStat(リポジトリ)を使って、自分の問いを数で確かめられるようになる 5 回です。回のファイル名は lessons/s-01〜s-05。
この単元の位置
「何を確かめたいか」を先に一文で書いてから触るという順番を、5 回かけて身につける単元です。easyStat には 23 の分析が入っていますが、全部を覚える必要はありません。覚えるのは、確かめたいことの形から分析を引く道すじだけです。
使う場面は二つあります。情報Ⅰ (4)・情報Ⅱ (3) のデータの単元で手法の意味を学んだあとに実際のデータへ当てるときと、探究の第10回で自分たちが集めたデータを分析するときです。どちらから入ってもかまいません。
データが外へ出ません。 easyStat は計算をブラウザの中で行い、読み込んだ表を分析用のサーバへ送りません。生徒が断って集めた記録を、外へ出さずに扱えます。生成 AI による解釈支援は別の機能で、押さなければ動きません。
本質的な問い
その数は、何を言っていて、何を言っていないのか。
単元の目標(3観点)
| 観点 | 目標 |
|---|---|
| 知識・技能 | 確かめたいことの形(差・関係・偏り)から分析を選び、easyStat で実行できる。p 値と効果量の意味を説明できる |
| 思考・判断・表現 | 結果から言えることと言えないことを分けて書ける。図と数を両方見て判断できる |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 思っていたのと違う結果を隠さず、測り方や集め方に戻って考え直そうとしている |
評価課題(単元末)
「自分のデータで一つ確かめ、言えることと言えないことを 1 枚にする」(第5回)
| 観点 | B(おおむね満足) | A(十分満足) | C の生徒への手立て |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 確かめたいことに合う分析を選び、結果の数を正しく読んでいる | 効果量まで見て、差の大きさを言える | 分析サポーターを開かせ、問いに近い行を一つ指させる |
| 思考・判断・表現 | 言えないことを一つ書いている | 測り方・集め方のどこが限界かを具体的に書いている | 「この結果は、誰の、いつの話か」を先に書かせる |
| 態度 | 結果をそのまま示している | 予想と違った所を示し、次に確かめることを挙げている | 予想と結果を並べて書かせる |
各回
| 回 | 題 | ここでできるようになること | 使う分析 |
|---|---|---|---|
| 1 | 表の読み込みと探索的分析 | 表を分析できる形に直し、まず全体を見る。足せる列と足せない列を区別する | 探索的データ分析(EDA)、データ加工・整形 |
| 2 | 平均の差の検定 | 2 群・3 群以上、対応のあるなしで分析が変わることが分かる | t 検定、一要因分散分析、マン・ホイットニーの U 検定、ウィルコクソンの符号付順位検定 |
| 3 | 相関と散布図 | 散らばりを見てから数を見る。関係と原因を分ける | 相関分析、単回帰分析、重回帰分析 |
| 4 | 度数の偏りの検定 | 選択肢どうしの組み合わせの偏りを確かめる。人数が少ないときの扱いが分かる | クロス集計、カイ二乗検定、フィッシャーの正確確率検定 |
| 5 | 自由記述の分析と報告 | 文章の中の多い語を見る。結果を相手に伝わる 1 枚にする | テキストマイニング、結果表と図の書き出し |
各回は 10分版・20分版・50分版の 3 つの進め方を教師用メモに持ちます。探究の帯の時間に 10 分ずつ入れることも、1 コマで通すこともできます。
p 値と効果量について、必ず言うこと
- p 値は「偶然でもこれくらい起きるか」の目安です。小さいほど偶然とは考えにくくなります
- p が小さい=効果が大きい、ではありません。人数が多いと p は小さくなりやすいので、効果量を一緒に見ます
p < .05は約束ごとであって、自然の境目ではありません。.06だったから無いことにする、は誤りです- 図と数を両方見ます。同じ平均・同じ相関係数でも、点の並び方が全く違うことがあります
第2回で必ず扱い、第3・4回でも繰り返します。
情報の授業とのつながり
| 思い出すこと | 戻る回 | 生徒が聞いた言葉 |
|---|---|---|
| 足してよい列か(尺度) | 情報Ⅰ (4) 第8回 | 形式が決まると、できる計算が決まる |
| 集める前に決める | 情報Ⅰ (4) 第9回 | 集める前に決め、分析の前に見直す |
| 関係と原因 | 情報Ⅰ (4) 第10回 | 一緒に動いていても、動かしているとは限らない |
| 整形は結果の一部 | 情報Ⅱ (3) 第4回 | 機械が直せる所と、人が決める所 |
| 手法の選び方 | 情報Ⅱ (3) 第5回 | 答えの形が決まれば、道具は決まる |
| 言えることの外側 | 情報Ⅱ (3) 第6回 | 言えることの外側に、線を引く |
詳しい引き方は 情報学探究マニュアル 第6節 にあります。
どの段階で使うか
- 高等学校 情報Ⅰ: データの単元の後であれば、第1・3回だけでも効きます
- 高等学校 情報Ⅱ・探究: 5 回すべてを、自分のデータで行います
- 中学校: 第1回と第2回(差があるか)まで。技術分野 第10回「残して、見える形にして、数で決める」の続きとして
設計指針(第2版)との対応
- D5(実際のデータ処理): D5L1 から D5L2「実データに対する重回帰/時系列/移動平均/クラスタなどの分析ができる」(高選) へ。指針は「情報科の選択科目の中で興味の持てる実データの実習として体験させるのがよい」としています
- D3(データの扱い/データと社会): D3L2・D3L3。尺度と、データから言えることの範囲
- I3(主観と客観): I3L2。結果(客観)と解釈(主観)を分けて書く。第5回の 1 枚がその場面
他校でそのまま使える形にする
学校固有の呼び名や校内の道具名は書きません。使うデータは枚の中に埋め込むか、教師が事前に配る公開データを想定します。easyStat はブラウザだけで動き、インストールは要りません。
出典
- 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編(PDF)。情報Ⅰ (4)、情報Ⅱ (3)
- 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 報告「情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)」令和8年5月12日。カテゴリ D・I
- easyStat(アプリ / リポジトリ)。23 機能、入力(Excel・CSV・貼り付け・テキスト直接入力)、分析サポーター、「この分析を簡単に説明すると」「今回の結果を簡単に説明すると」、図表の編集、APA スタイル風報告表