足せない列どうしは掛け合わせて数え、偏って見えたものが本当に偏っているかを数で確かめる。人数が少ないときは、使う検定が変わる
10〜50分準備(授業前) 教室コードを決める(例: st04)。「教師」を押す。18 人分の回答はこのページの中にあるので、道具が無くても節1 は進む。道具でカイ二乗とフィッシャーを試させるので、選択肢の列が 2 つある表を事前に配る(Excel か CSV。部活・通学手段・「はい/いいえ」など)。自分の表がある生徒はそれを使う。
投影 「投影」で 1 枚ずつ送る。5 枚目は、左の 18 行の回答を投影に出したまま、生徒は自分の端末で右の表を埋める形にすると進みやすい。埋めた表はその端末の中に残る。
時間配分(50分版) 枚は全部使う。前回のまとめ・目標 5分 / 節1 数えて並べる 16分 / 節2 偏りを数で確かめる 21分(道具の枚 9分・体験02 12分) / まとめ・自己評価・ふりかえり 8分
20分版 使う枚は 1・3・5・6・9・10・13(表紙/目標/体験01/まとめ01/体験02/まとめ02/ふりかえり)。体験01 は 9 分。道具の枚は使わず、数え上げた表と体験02 の選択で節2 を進める。
10分版 使う枚は 1・5・6(表紙/体験01/まとめ01)。決めることは 1 つだけ。2×3 の表を埋め、割合にそろえて偏って見えるかを一文。検定は名前だけ言って終わる。
この回の評価(重点は知識・技能。評価場面は「2×3 の表を数えて埋める」と「人数が少ないときの選び方」)
指導要領 [解説 情報編]情報Ⅱ (3)(質的データの分析手法の選択と結果の解釈)。情報Ⅰ (4) のデータの形式と分析の流れ。[設計指針 第2版]D5L2(実データに対する分析)と D3L2(目的に応じたデータの選択と分析)。単元の規準と評価課題は 単元設計のページ。クロス集計・カイ二乗・フィッシャーの引き方は 情報学探究マニュアル の easyStat の節にある。
前にやった回 ここで思い出させる。もう一度教えない
データの行き先 easyStat は計算をブラウザの中で行い、読み込んだ表を分析用のサーバへ送らない。生徒が断って集めた記録を、外へ出さずに扱える。生成 AI による解釈支援は別の機能で、押さなければ動かない。
ここまでは足せる数の列を見てきた。平均を比べ、散布図で並びを見た。ところが表の中には、部活・通学手段・「はい/いいえ」のように足せない列もある。それどうしを比べたいとき、平均は使えない
足せない列どうしは、掛け合わせて数える
第1回の「足せる列と足せない列」に戻して始める。足せない列が二つあるとき何ができるか、という問いで入ると早い。前回「まだ」が多かった目標を 2 分拾う。
18 人分から 2×3 の表へ
カイ二乗とフィッシャー
偏りの大きさも、数で出る
足せない列どうしにできるのは、数えることだけ

左は 18 人分の回答。どちらの列も名前で、足せない。左を数えて、右の表のマスを埋める。合計も入れる。埋め終わったら、偏って見えるかどうかを目で見る
| 番号 | 部活 | 朝食 |
| 1 | 運動部 | 食べる |
| 2 | 運動部 | 食べる |
| 3 | 運動部 | 食べる |
| 4 | 運動部 | 食べる |
| 5 | 運動部 | 食べる |
| 6 | 運動部 | 食べない |
| 7 | 運動部 | 食べない |
| 8 | 文化部 | 食べる |
| 9 | 文化部 | 食べる |
| 10 | 文化部 | 食べる |
| 11 | 文化部 | 食べない |
| 12 | 文化部 | 食べない |
| 13 | 入っていない | 食べる |
| 14 | 入っていない | 食べる |
| 15 | 入っていない | 食べない |
| 16 | 入っていない | 食べない |
| 17 | 入っていない | 食べない |
| 18 | 入っていない | 食べない |
| 朝食 \ 部活 | 運動部 | 文化部 | 入っていない | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 食べる | ||||
| 食べない | ||||
| 合計 |
埋め終わったら、部活ごとに「食べる」の割合を出してみる。人数がそろっていないので、実数のままでは比べられない
進め方(14分) 数え方を全員で 2 分(運動部の「食べる」を一緒に数える)。個人 7 分。答え合わせと割合 5 分。この枚は端末の中で完結する。
答え 運動部 食べる 5/食べない 2(計 7)。文化部 食べる 3/食べない 2(計 5)。入っていない 食べる 2/食べない 4(計 6)。合計は 食べる 10/食べない 8/全体 18。
割合にそろえる 運動部 71%、文化部 60%、入っていない 33%。実数のままでは比べられない(人数がそろっていない)ので、行か列のどちらかで 100% にそろえる。見せるときは帯グラフ。ここが A の見取り。
押さえる 足せない列どうしにできるのは数えることだけ。数えた表がクロス集計表。行と列の合計を必ず入れる。目標 01。
| クロス集計表 | 二つの選択肢を掛け合わせて数えた表。行と列に合計を入れる。合計が合わなければ、数え落としがある |
| 実数では比べられない | グループごとに人数が違う。行か列のどちらかで 100% にそろえてから比べる |
| 見せるときは帯グラフ | 割合にそろえた帯を縦に並べると、偏りが目で見える。人数も一緒に書く |
| 偏って「見える」まで | ここまでは目で見ただけ。本当に偏っているかは、次の節で数で確かめる |
※ 「はい/いいえ」も名前の一つ。足せないので数える。第1回の「足せない列」がここで生きる
3 分。二行目がここでの山。18 人のうち運動部が 7 人、入っていないが 6 人と人数が違うので、5 と 2 を直接比べても意味がない。情報Ⅱ (3) 第5回「質と質はクロス集計、見せるときは帯グラフ」に戻して結ぶ。
18 人なら、このくらいの差は偶然でも起きる

数えた表をそのまま読み込み、カイ二乗とフィッシャーを両方かけて、目で見た偏りと合っているかを自分の手で確かめる
※ この枚は提出しない。自分の手で確かめて、分かったことをノートに書く
進め方 提出させない枚。手を動かして確かめるところまで。机間指導で、止まっている生徒だけを見る。
9分。提出させない枚。2 行 3 列の表は、数えた形のまま読み込める。期待される数が 5 を下回るマスがあると道具が知らせることがあるので、その表示を必ず見せる。目で見て偏っていた表が、検定では偶然の範囲に入ることを、その場で確かめさせる。
道具は外で公開されている Web アプリ。この授業のページの中で開くので、別のページへは移らない。閉じれば、そのままこの枚に戻る。ブラウザの中で動き、入力はこの授業のサーバーには送られない。
数えた表は 2 行 3 列、合計 18 人。偏りを確かめる検定には二つある。この表で使うのはどちらかを選び、理由を送る
| 期待される数(偏りが無いとしたら、こうなるはず) | 運動部 | 文化部 | 入っていない |
| 食べる | 3.9 | 2.8 | 3.3 |
| 食べない | 3.1 | 2.2 | 2.7 |
※ この表は、行の合計と列の合計から計算したもの。6 つのマスすべてが 5 を下回っている
選んだ人数と理由が右に並ぶ。「カイ二乗」を選んだ理由を必ず 1 つ読み上げてから、答えに入る
進め方(12分) 期待される数の表を 2 分読む。選んで送る 4 分。読み上げと答え 6 分。
答え フィッシャーの正確確率検定。カイ二乗検定は、期待される数が小さいと当てにならない。目安は「5 を下回るマスがある」。この表は 6 つとも 5 未満なので、フィッシャーを使う。
「期待される数」の説明 偏りが無いとしたら、こうなるはずという数。全体の 10/18 が「食べる」なので、運動部 7 人なら 7 × 10 ÷ 18 = 3.9 人。実際は 5 人。この「はずの数」と「実際の数」の離れ具合を、まとめて 1 つの数にするのがカイ二乗。
ここで押さえる 帯グラフでは 71% と 33% で大きく違って見えた。ところが 18 人では、このくらいの差は偶然でもよく起きる。実際に道具で計算すると p は .05 より大きくなる。目で見た偏りと、検定の結果は分けて書く。
「差が無かった」と書かせない 「18 人では偶然とは言い切れなかった。人数を増やして確かめる値打ちがある」。第2回の三つ目(.05 は約束ごと)と同じ扱い。
目標 02・03 はこの枚で見る。[指針]D3L2。投影画面を当日中に保存する。
| カイ二乗検定 | 数えた表の偏りを確かめる。期待される数が 5 を下回るマスがあると当てにならないので、そのときは使わない |
| フィッシャーの正確確率検定 | 人数が少ないときに使う。起こりうる並び方を数え上げて、直接その確からしさを出す |
| 偏りの大きさ | p 値だけでは大きさが言えないのは、第2回と同じ。偏りの大きさを表す数(クラメールの V)も一緒に見る |
| 目で見た偏りと、検定 | 帯グラフで大きく違って見えても、人数が少なければ偶然でも起きる。二つを分けて書く |
| 言えないこと | この 18 人の話。部活の種類が朝食を決めているとも言えない。関係と原因は、ここでも別 |
※ 人数が少なくても、「18 人では」と書いてあれば使える材料になる。無かったことにするのが誤り
4 分。三行目で第2回の四つに戻る。クラメールの V は名前だけでよい(おおよそ 0.1 で小さい、0.3 で中くらい、0.5 で大きい)。五行目は第3回の「隠れた 3 つ目」に戻して結ぶ。
※ 次回は「自由記述の分析と報告」。この単元の最後の回になる。自分のデータで一つ確かめ、言えることと言えないことを 1 枚にする
次回が単元末の評価課題になることを、ここで予告する。第1〜4回で出した結果のうち一つを選んで持って来させる。まだ結果が出ていない生徒には、次回の前半で自分のデータを一つ分析する時間があると伝える。
3 つの目標それぞれに、できた/だいたい/まだ、を 1 つ選ぶ。右の帯にクラス全体の分布が出る
目標 01 に「まだ」が多い場合は、数え落としが原因であることが多い。合計が 18 になっているかを確かめさせるだけで直ることが多い。
「〇〇によって△△が偏っていると思っている。まだ数えていない」の形で一文。数えたことがある人は、そのとき何人だったかも書く
4 分。ここに出たものが、次回の「自分のデータで一つ確かめる」の候補になる。投影を保存し、次回の冒頭で 3 件読み上げてから始める。