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情報Ⅱ (5) 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究 | 単元設計
逆算で設計する。根拠は三つ。学習指導要領と解説 情報編の「情報Ⅱ」(5)、情報教育課程の設計指針 第2版、情報・技術WG のまとめ。本文の [解説][指針][WG] は、下の出典の該当箇所を指します。
この回の並びのファイル名は lessons/9-01〜9-08 です。情報Ⅱ の 5 単元を 5〜9 に置いているため、(5) は 9 になります。
この単元の位置
[解説]は (5) を「この科目のまとめとして位置付け」ます。内容も一行だけで、「『情報Ⅰ』及び『情報Ⅱ』で身に付けた資質・能力を総合的に活用し、情報と情報技術を活用して問題を発見・解決する活動を通して、新たな価値の創造を目指し」と書かれています。ア・イ の細目がないのは、生徒がテーマを決めるからです。
[解説]は二つの自由を明記しています。
- テーマの範囲: 「コンピュータや情報システムの基本的な仕組みと活用、コミュニケーションのための情報技術の活用、データを活用するための情報技術の活用、情報社会と情報技術の中から一つ又は複数の項目に関わる課題を設定」。この 4 つは、単元 (4)(2)(3)(1) にそのまま対応します
- 時期の分割: 「学習上の必要があり、かつ効果的と認められる場合は、指導の時期を分割することもできる」。8 回を年度末にまとめてもよいし、単元 (2)(3)(4) の後に 2〜3 回ずつ分けて入れてもよい、ということです
この設計は年度末にまとめて 8 回を基本にし、分割案も下に書きます。
本質的な問い
自分が見つけた問題を、自分で選んだ道具で解く。その解き方は、誰かの役に立つ形になっているか。
[解説]の「新たな価値の創造を目指し」を、生徒が自分に向けて問える形にしたものです。
単元の目標(3観点)
| 観点 | 単元の目標 | 根拠 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 情報Ⅰ・情報Ⅱ で身に付けた知識と技能から、自分の問題に必要なものを選んで使える | [解説]「知識及び技能の深化・総合化」 |
| 思考・判断・表現 | 問題を発見して明確にし、解決の方法を選び、実行し、結果を評価して改善できる。過程を人に説明できる | [解説]「思考力、判断力、表現力等の向上」 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 新たな価値を創造しようとし、情報社会に参画しその発展に寄与しようとしている | [解説]「新たな価値を創造しようとする態度、情報社会に参画しその発展に寄与しようとする態度」 |
評価課題(この単元そのもの)
「情報と情報技術で、自分が見つけた問題を解く」(第1〜8回の全体)
この単元は全体が評価課題です。個人またはペアで、次の 4 つの領域から一つ以上を選びます。
| 領域([解説]の表記) | つながる単元 | 例 |
|---|---|---|
| コンピュータや情報システムの基本的な仕組みと活用 | (4) 情報システムとプログラミング | 部活の連絡の仕組みを作る |
| コミュニケーションのための情報技術の活用 | (2) コミュニケーションとコンテンツ | 地域の人に届く形で情報を出す |
| データを活用するための情報技術の活用 | (3) 情報とデータサイエンス | 学校のデータから予測を作る |
| 情報社会と情報技術 | (1) 情報社会の進展と情報技術 | 新しい技術の使い方のルールを提案する |
| 観点 | B(おおむね満足) | A(十分満足) | C の生徒への手立て |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 情報Ⅰ・Ⅱ で学んだ手法を一つ選び、正しく使っている | 複数の単元の手法を組み合わせ、選んだ理由を説明している | 探究ノートを開かせ、自分が書いてきたメモから一つ選ばせる |
| 思考・判断・表現 | 問題を理想と現実のギャップで書き、解決の結果を評価している | 評価をもとに方法を直し、直した理由と次の課題を示している | 「今のままだと誰が困るか」を先に一文で書かせる |
| 態度 | 中間の指摘を受けて計画か作品を直している | 自分の解決が誰にどう役立つかを述べ、次に取り組むことを挙げている | 指摘を一つだけ選ばせ、直す所を一行で決めさせる |
規準は[指針 K3L1](自分や他者が持つ問題について冷静/客観的に捉えて記述できる。高必)、[指針 K4L1](自分の問題に対し記述/説明/分析/解の検討が行なえる。高必)、[指針 K2L2](結果を評価し、必要なら反復改善を行える。高必)を合わせたものです。
各回と評価(形成的評価の場面)
| 回 | 題 | この回ですること | [指針]の水準 | 重点 | 評価場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | テーマの決定 | 4 領域から選び、問題を理想と現実のギャップで書く | K1L1 → K1L2、K3L1 | 思 | 問題の記述(教室に集まる)/ふりかえり |
| 2 | 問いの設定と計画 | 何を作る/調べるか、いつまでに何をするかを決める | K1L2、F3L4 の考え方 | 思 | 計画表と、必要な道具の一覧 |
| 3 | 調査とデータの収集 | 先行する取り組みと、必要な材料を集める | H2L3(情報操作/印象操作を考慮して受け取る)、D1L4 | 技・態 | 出どころの記録/集めたものの一覧 |
| 4 | 中間発表 | 中間発表。ここで方針を変えてよい | G3L3、G4L3 | 態 | 中間発表と、受けた指摘 |
| 5 | 制作と分析 | 選んだ手法で実際にやる | 選んだ領域の (高選) 項目 | 技 | 作業の記録(端末に残る) |
| 6 | 評価と改善 | 自分の結果を評価指標か使用者の反応で測り、直す | K2L2 | 思 | 評価の結果と、直した所 |
| 7 | 発表 | 相手に伝わる形で出す。質問に答える | G3L3、B6L3 | 思・態 | 発表と相互評価 |
| 8 | 振り返りと次の問い | 何が新しかったか、次に何をするかを書く | K3L3、K4L1 | 態 | 最終の振り返り(探究ノートに残る) |
時期を分割する場合
[解説]が認めている分割の一例です。年度末に 8 回続けて取れない場合に使います。
| 入れる位置 | 回 | すること |
|---|---|---|
| 単元 (1) の直後 | 第1回 | テーマの候補を出しておく(この時点では決めない) |
| 単元 (2) の直後 | 第2回 | コンテンツで解ける問題かを検討する |
| 単元 (3) の直後 | 第3回 | データで解ける問題かを検討し、テーマを決める |
| 単元 (4) の直後 | 第4〜8回 | 計画から発表までを続けて行う |
分割する場合も、第4〜8回は続けて取ります。作って直す作業を間隔をあけて行うと、前回やったことを思い出す時間で消えるからです。
設計指針(第2版)との対応
- K. 問題発見/問題解決: この単元の背骨です。指針は K1L2・K1L3・K2L2・K3L1・K4L1 を「情報科の必履修科目の中で問題解決の一環として実践を通じ扱う」としています。情報Ⅰ (1) 第9・10回で一度通したものを、ここでは自分で選んだ問題と道具でもう一度回します。K1L3 の収束的/発散的手法は「生徒の状況に応じて適切なものを選び実践する」とあるので、発想法は指定しません
- 選んだ領域の (高選) 項目: 生徒がどの領域を選ぶかで、使う項目が変わります。データなら D5L2、システムなら J3L1・J3L2・F2L4、コンテンツなら B5L4・B6L3、情報社会なら H5L4・X3L3 です。第1回のテーマ決めの時点で、教師はこの対応を見て「その生徒がどの水準に届こうとしているか」を把握します
- G. コミュニケーションとメディアおよび協調作業: G3L3(集団の前でプレゼンテーション)と G4L3(自分の望みと違う発言でも相手の立場を理解する)は、第4回の中間と第7回の発表がその場面です
情報Ⅰ・情報Ⅱ とのつながり
[解説]は「共通教科情報科の第2款の第1『情報Ⅰ』で身に付けた資質・能力も活用するとともに、数学科など他教科とも積極的に連携を図る」と求めています。
- 問題解決の一連の流れは 情報Ⅰ (1) で、伝え方は (2) で、手順とプログラムは (3) で、データとネットワークは (4) で身に付けたものです
- 情報Ⅱ の 4 単元は、それぞれがこの単元のテーマ領域に対応します。上の表のとおりです
- 数学科との連携は、データを扱う生徒では必須になります。統計の手法は数学で扱ったものを使い、ここでは目的に合う手法を選ぶ判断に時間を使います
生徒の探究とのつながり
この単元は、それ自体が探究です。総合的な探究の時間や課題研究と同じテーマで進めてもかまいません。情報の側からは、次の三つを提供します。
- 道具の一覧: 情報Ⅰ・Ⅱ で扱った手法を、目的から引ける形で第1・2回に置きます。「予測したい → 単元 (3) の重回帰」「使ってもらいたい → 単元 (4) の設計と統合」
- 書き溜めたメモ: 各回の復習の「探究へ」に書いたものが、端末の中の 探究ノート に集まっています。第1回のテーマ決めは、まずそれを読み返すところから始めます
- 評価の形: 第6回で「自分の結果を評価して直す」を必ず入れます。総合的な探究の時間の評価規準とも重なります
他校でそのまま使える形にする
学校固有の呼び名や、校内で使っている道具の名前は書きません。テーマの例も、どの学校にもある場面(部活、連絡、掲示、地域)から選んでいます。
出典
高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編
- 文部科学省。解説 情報編(PDF)、高等学校学習指導要領の告示・解説の一覧
- 該当箇所: 第2章 第2節 情報Ⅱ の「2 内容とその取扱い」の (5) 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究、「(内容の取扱い)」の (5)(テーマの 4 領域、指導の時期の分割)、およびその解説(知識及び技能の深化・総合化、新たな価値の創造、情報Ⅰ で身に付けた資質・能力の活用、数学科など他教科との連携、大学等との連携・外部の学習機会の活用)
情報教育課程の設計指針 − 初等教育から高等教育まで(第2版)
- 日本学術会議 情報学委員会 情報学教育分科会 報告、令和8年(2026年)5月12日。報告本文(PDF)、情報処理学会の紹介ページ
- 使った箇所: カテゴリ K の項目と水準の表、各カテゴリの (高選) 項目、「学校段階ごとの扱い」の高等学校の記述
中央教育審議会 教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ
- 文部科学省。会議のページ、第11回 配付資料(2026年6月25日)
- 使った要点: 「実際の課題解決で活用できる高次の資質・能力」(要点 2)、「生活や社会を情報の観点から捉え、情報技術で問題解決し、新たな価値創造を支える」(要点 3)、「PBL による統合へ接続」(要点 4)。この単元は、その方向が現行の指導要領の中で最もはっきり形になっている場所です。審議中のため方向として参照し、実施は現行の指導要領に合わせます